打ち合わせが終わって、
フロアにおりてきた
がひとこと。
「なんかパンの香りがする」

たしかに言われてみれば、
パンのいい香りがします。

誰かが言いました。
「そういえばが
パンを食べていたような‥‥」

たしかに、はっとりさん、
さっきパンを食べていた気がします。

‥‥と、
「あ、そうなんです、そうなんです」
と言いながら
が机の下からとりだしたのは、
いびつにちぎって食べられた
食パンの残骸的なもの。
しわくちゃのビニール袋に入っています。

ええと‥‥なんというか、岩みたいな？
その見た目、
食べかけにしてもひどくない？

と、見ていると
、
「わたしこれ、大好きなんですよー」
と言ってパクパク食べてみせ、
そのままに
「あ、召し上がります？」
と差し出しました。

‥‥え、その残骸を社長に？
ちぎって食べているから
きれいっちゃきれいとは言え、
同僚にあげるのにも
躊躇する見た目だわ‥‥。

しかしそこは食への好奇心が旺盛な
、
ちぎってすこし食べたあと、
「これはきっと焼いたほうがうまいね」
と、非常に正直な感想を言って、
去っていきました。

すごいな‥‥と思いました。