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2022/06/21 07:09
akiko.kusaoi

自分のゼロに立つ

ほぼ日の學校、
昨夜の講師は河合塾講師の三浦武さんでした。

「大きくなったら予備校教師になりたい」
七夕の短冊にそう書く子供はいない、と
自虐気味に語りながらも
ひょんなことから就いた仕事が
三浦さんにとっての「一生の仕事」に
なるまでのプロセスを
聞かせてくださいました。

まずはご自身が浪人になったときの
発見から。
高校生でも大学生でもない
何者でもない宙ぶらりんな存在。
それは属性をはぎとられて
生身の自分に出会うこと。
「自分のゼロに立つ」という
表現もされました。

自分は秀才ではない。
だから「わかる」のに苦労する。
予習して、授業の前の晩に
自分がわかっていった過程を
生徒の前でしゃべる。
わからないから知ろうとする。
わからないことが尊い。

生身の自分に出会う浪人生たちに、
嘘をつくことなく、彼らの
1年間を満ち足りたものにしたい。

浪人生にとっては、
「なかったことにしたい1年」
かもしれないけれど、それを
「忘れられない1年」にしたい。

浪人に限らず「つまずく」ことの
恵みにも言及されました。

サイコロの6を出し続ける人生は、
速く進むけれど、
制度の上をすべる不幸があるかもしれない。
どこかで1は出る。
それなら早い方がいい。
つまずくことで、見る時間ができる。
経験が増える。

そして三浦さんがこんな風に
考えるようになった
予備校の伝説的先生の存在……

書ききれないくらい
胸に沁みるお話の連続でした。

そして最後は、
三浦さんが現代文の読解と同じく
人間を「人間につなぎとめる」ための
切ない努力であると考える芸術の話。
三浦さんが愛してやまない
蓄音機の音に耳を傾けて
余韻を楽しみました。

この授業はいずれ、
ほぼ日の學校でご覧いただけます。
どうぞお楽しみに。