ポカスカジャンの脱線マガジン。

ツアー日記

8月11日(水)


玉ちゃんの静岡〜浜松〜名古屋ルポ

朝、増田さんちで目覚める。
いれたてのコーヒーの香りで目覚める。
朝陽を少し過ぎた太陽で目覚める。
だんだんと昨日のギグのことを思い出す。
まだ少しアルコールが残っているようだ……。
俺は山川健一か?
省吾がのんちんの一件(スタッフの女の子を泣かせたこと)
でブーブー言っている。
「俺は苦情処理係じゃねえ」
いつもは「ドラえもんじゃねえ」って言ってるのに……、
と心の中でつぶやく。
それにしても増田さんご夫妻には本当にお世話になった。
たまりまくった洗濯物から食事から体のアカから
布団乾燥機の施された布団から、昨日省吾がこの日記の中で
どこまで書いたかわからないけど、泣く女まで、
とにかくありがとうございました。That's PSJです。

次の目的地、浜松までの車中、
今回の旅のテーマソングになりそうな
ドラゴンアッシュの『天使』がヘビーローテーションで
鳴り響く。制作の新井さん(44)ともども盛り上がる。
『グレイトフルデイズ』を買いに行こうと息が合う。
20才の古谷一行の息子、恐るべし。才能に年齢関係なし。

ライブ会場である浜松『CAPO3』に到着。
70年代フォークにこだわったキレイなフォーク喫茶。
壁には、井上陽水のレコードから、
長渕の『祈り』の歌詞から(しかもコード付き)が
飾られている。省吾と一緒にそれを見ながら唄う。
勝手にスグ、ハモってくる。さすが、もと水商売だ。
空き時間に、省吾がどこからかミニマージャンセットを
買ってくる。なぜかワハハ本舗名義で領収書を切っている。
これは必要経費か?
とりあえずのんちん(大久保)の服を洗っている間の
コインランドリーで、東風戦のみの半々チャンをやる。
省吾が、僕とのんちんに親の倍満ワレメをツモられて、
ハコをかぶる。泣きのもう半々チャンを頼んでくる。断る。
遊んではいられない。

そしてライブだ。お客さんは14人だ。でも盛り上がった。
あたたかい。僕の出番は少ないけど、とてもよかった。
おれたちはバンドだ。グループでもユニットでもない。
バンドだ。だから俺はバンドマンだ。とてもいい響きだ。
バンドマン。
CDは8枚売れた。14人中8枚。
のんちんは、そんなみんなのいる会場の中で
女の子の電話番号を聞き出そうとしている。
僕と省吾は恥ずかしくなって目を見合わせる。
でも省吾も聞きたかったはずだ。何故なら僕もそうだから。

冷や麦をCAPO3のマスターにご馳走になったあと、
今日の寝所、ワハハのスタッフのアパッチの実家へと急ぐ。
車中、のんちんはついさっきGETした電話番号のコに
モーレツアタック。
省吾DJによるクラプトンの
『サンシャイン・ユア・ラブ』を大合唱して電話を邪魔する。
新井さんまで唄っている。
夜中12:00過ぎ、アパッチの実家に到着する。
お風呂と食事とお酒をご馳走になる。
大酒飲みの僕らが来るということで、
大量のお酒を用意してくれている。ありがとうございます。
でもみんなあんまり飲まずに、2:00前には寝てしまった。
拍子抜けさせてすみませんでした。
そして今3:00、ぼくはこうして日記を書いています。

もう今日は名古屋でライブだ。
俺も、TVで今やってるウッドストックのコステロみたいに
ガンバルぞー、と言ったら
隣でアパッチが『いや、コステロじゃなくて椿鮒子だよ』
と言った。

(玉井伸也)

註:椿鮒子/つばきふなこ。ワハハ本舗お手伝い兼新人女優。
風貌は井上ひさしそっくり。

ツアー日記

8月10日(火)


時折、病的にたたきつける雨を抜け、
車は下田から静岡へと向かっている。
そういえば今朝カーテンの間をくぐり抜けて、
俺の後頭部を焦がした夏の太陽。
俺は自分の汗に溺れるほどの大汗をかきながら
それでも眠り続けていた。

何か、今日はイヤな予感がする……。

午後12時、車は静岡の会場、グッドマンの実家である
松風堂に到着した。
仕込みの時間までにはちょっと早すぎるので、
WOWOW班・ポカスカ班それぞれ別れて時間をつぶす。
午後3時30分、ポカスカ号から小道具、楽器類を降ろし
会場である甘味処・松風堂に運び込む。

「あ〜、まぁこの広さなら30〜40人ぐらい
 つめこんでちょうどいい広さだな……」

  甘かった。イヤ、ここが甘味処だからではナイ。
なんと観客動員74名、もうめんどくさいのでいきなり
本番の話になるが、お客さんが会場に入りきれずに
入り口であふれている。
これが最初に書いたイヤな予感でないのは確かな事だ。
かえって、うれしくてしかたがない。
が、しかし、このキャパシティにこの人数。
クーラーは完全に意味をなさないただの箱だ。

ライブが始まり、30分を過ぎたくらいの頃、
松風堂のおかみさん(グッドマン・ママ)が
うちわと飲み物をお客さんに振る舞ってくださった。
この偶然の演出が、LIVEをがぜんアットホームにした。
ボルテージは最高、静岡のLIVEは大成功に終わった。
片づけもそこそこに打ち上げ会場へと。

「イヤな予感なんて、あてにならないな……」

などと思っていた予感は、最後に的中した。
打ち上げで皆、酒も入り盛り上がっている。
お手伝いに来てくれた女の子達も、
やっと打ち解けてきたようだ。
それがいけなかったのか……このあとはもう……。

なぜ、日記を書こうとしている俺のヨコに
泣いている女がいるんだ?
わけがわからない。のんちんは寝ちまった。
新井さんはどこだ。玉ちゃんはどうした。
そのとき書いた原稿はめちゃくちゃで、
グッドマンからダメ出しされてしまった。

気を取り直して。

私たちPSJを呼んでくださったマスダさん、
お店を貸してくださった、そして飲み物とうちわを
出してくださったグッドマンママ、
静岡のファンのかたがたに、感謝。

(PSJ 中山省吾)

1999-08-15-SUN

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