ツアー日記
9月24日(木)
今日は、一日だけ東京へ帰る。
といっても仕事を済ませたら、また河口湖へトンボ帰り。
さて本日のお仕事は、TV東京の“しもじま”
峰竜太さんが司会で毎週いろんなゲストを迎えて
トークをくりひろげる(深夜なのでエロ話が多い)。
この番組に我々PSJがゲストといいたい所なのだが、
実は我らが座長佐藤正宏が本当のゲスト。
都内のしゃれたレストランバーでのロケ、
峰さんのいろいろな質問やつっこみで番組はすすんでゆく、
そして佐藤さんのお気に入りの焼酎“もりいぞう”が
出され、佐藤さんもごきげん、
舌も軽くなり場のおフンイキもイイ感じになってきた。
俺たちの出番はもうちょっと後のほう。でも・・・。
佐藤さん大丈夫かな・・・?
それでも佐藤さんのグラスはかわくことなく
もりいぞうで満たされる。そしてやっと俺たちの出番。
「ドォーモー ポカスカジャンでーす
ジャガジャガジャーン」
「こいつらが若手のポカスカジャンれーす」
・・・れーす?・・・やぱりだ。舌がまわってない。
顔を見ると目がトロンとしている。でも何だか皆楽しげだ。
まあいいや、ということで俺たちも楽しくやることにした。
楽しい時間はすぐに過ぎ去る。
撮影はあっという間に終わった。
そしてまた俺たちはポカスカ号にのりこみ、
皆の待つ河口湖へと急いだ。
(PSJ / 中山省吾)
グッドマンのワークショップ参加ルポ
生徒の中に、この秋WAHAHA本舗に正式に所属する
ことになったヴァチスト太田さんという女性がいる。
パントマイムで大道芸をやっている人だ。
そこで急きょ、喰さんは彼女を講師にしたて、
みんなにパントマイムを教えてもらうことにした。
基本から、ということで、立つ姿勢を教わる。
おしりに力を入れて、頭のてっぺんから糸で吊られている
マリオネットのような気持ちで立つのだという。
ここからしてむずかしい。
さらに、いちばん簡単だという「壁」という技を教わる。
目の前に、あたかも壁があるように、手と全身をつかって
演じるというものである。
体だけでなく、目線も重要らしい。
これまたむずかしい。
太田さんの模範演技はさすがプロで、
ほんとうにそこに壁があるように見える。
壁の厚さまでもわかる。
ぼくらはへっぴり腰で、なんだかグニャグニャな壁を
前にして体を動かした。
喰さんはさらに、その「壁」がどういうものなのかを
即興で演じるように課題を出した。
最前列にいたぼくには、わりと早くに指名が来る。
ぼくはとっさに「壁に残されたダイイング・メッセージを
探す探偵」というものを演じたのだが、ハードル高すぎ。
たぶん誰にも伝わらなかったと思う。
パントマイムが一段落すると、日舞である。
橘左梗先生という、橘流の師範がゲストで
いらしており、教えていただくことになったのだ。
(ちなみに左梗先生は、ちいさなオバアちゃんである。)
これまた日舞だけかと思ったら、喰さんは、
「基本を教えてもらったら、パントマイムと日舞を
合体させて踊ってみましょう」
とまたもや難題を出す。
そういえば喰さんは、WAHAHA本舗の公演で、
ロックにあわせて洋装で日舞を踊らせたり、
日舞班と洋舞班が同じ曲で左右から出てくる、
などとという演出をしている人だ。
つきあいの古い左梗先生はそこらへんがよくわかっていて、
「日舞にパントマイムを取り込むのね。わかったわ」
と、アッサリ。そんなこと簡単にできるのだろうか。
最初に正座しての挨拶のしかた、そこからスッと
美しく立つための所作を教わる。さらに、歩き方。
これは、女の踊りと男の踊りでは、
まったく違うのだそうだ。
「男が女形をやってもいいですよ。
日舞の基礎は女形なので、はずかしがらずに
やってみてください」
ということなので、僕は女形班に入ることにした。
膝をそろえ、内またで、前に出す足と同じ側の
肩を下げながら歩く。
だんだんフェミニンな気分になってくる。
でも、ものすごく筋力が要る歩き方だ。
体力も要る。すこし歩いただけで汗をかいてしまった。
そこまで終わったら、喰さんが、
「それでは、壁にぶちあたって苦悩している男のところに、
女が入ってきて壁をこわし、ふたり寄り添う、という
ストーリーでお願いします」
と演出。いきなり群舞になってしまった。
ぼくはWAHAHA本舗の役者である佐藤勝栄さんという、
男の踊りを習っている女性とコンビを組んだ。
彼女はぼくよりも10センチほど背が高く、
まるで宝塚の男役スターのようだ。
背が低い僕と並ぶと、それだけで十分に可笑しい。
彼女は踊りが上手なので、僕は足をひっぱってはいけないと
いう思いから、左梗先生の言う通りに懸命に踊った。
膝が笑うほどに足の筋肉を使う。
「しな」をつくるのに、コミカルにならないように
するのが難しい。笑わせるのは嬉しいのだが、
笑われるのは不本意である。だから懸命に踊った。
頭の中で、僕は玉三郎である。藤間勘十郎かもしれない。
すると、
「筋がいいわ」
と左梗先生に褒められた。ものすごく嬉しい。
つい、
「で、弟子入りします!」
と言ってしまった。
さて、そのあとは、明日の最終日の発表に向け、
各班がそれぞれひとつの劇団として、
寄席形式での発表をするための
準備をはじめることになった。
僕の班は、わりと頼りなげで優柔不断なリーダーが
いることから、
「劇団 のらくら」
という名前になった。ちなみに他の班は「無芸塾」と
「モナリ座」である。どっこいどっこいだ。
それぞれの班では、夜、シチュエーションバーを
開いているので、明日の演目もそれにならって、
「幽霊寄席」
「極道寄席」
「出稼ぎ外人寄席」
という課題が出た。
我が劇団のらくらは、幽霊寄席である。
幽霊が寄席をやったら、どうなるか、ということだ。
明日発表するのに、今からネタを考えるのである。
なんておそろしい。うらめしや〜〜〜〜、と皆で声を
そろえたが、アイデアはちっとも浮かばない。
「これでは浮かばれません〜〜」
と裏声でだじゃれを言ったが、誰も聞いてくれなかった。
(グッドマン)
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