ポカスカジャンの脱線マガジン。

ツアー日記

9月25日(土)  確か晴れ 河口湖

今日は、ワークショップ集大成の日。
1名の脱走者(急用が出来たので帰ります。の置き手紙を
残し消えた。それ以上の理由は謎のまま)を含む
今回のワークショップも、
これから始まる長い一日に向け、ムードあり。
興奮した人、醒めた人、途中から来て訳の解らない人、
にぎやかす人、料理を作りまくる人、はずす人、
なんだか佐野元春になってくる。
でもポカスカジャンも傍観者になってばかりもいられない。
喰さんからの宿題、“ツアーの歌”を作らなければならない。
歌詞は決まっている。
ツアーで起こった本当の事を歌えばいい。
大体、しゃべりネタは歌うとつまらなくなるのだけど、
あまり気にしない。
普通の曲に“間奏”というものがあるように、
僕たちも曲の途中でしゃべればいい。
それはポカスカジャンの“間奏”だ。
人はそれを“コント”と呼ぶ。
キッチリと否定しておく。“間奏”だ。
そして曲だ。
“マジカニミアレルツアー”だけに、ビートルズの
“マジカルミステリーツアー”のコード進行を
モチーフにする。人はそれを“パクリ”という。
言わせて頂く。“モチーフ”だ。オマージュだ。
リスペクトだ。
言う程に胸が苦しくなる。

曲が完成する。
やたらと“間奏”の多い曲だ。
ノンチンの趣向で、最後はストーンズぽい。
ビートルズモチーフのストーンズぽい曲。
文だけでみると、XTCの変名バンドがやりそうなネタだ。

てるやひろし(元オホホ商会座長。彼はいつも舞台上で泣く。
が、何故泣いているか観てる人に伝わらない為、いつも
『何故この人は泣いているんだ?』と言う不思議ワールドに
導いてくれる)の泣き落語を含む“心に残るあの一曲落語”
を経て、“福田和江裁判”だ。
僕は福田和江の実弟という端役で参加。
近親相姦でSMに倒錯した弟だ。
検察側の証人のはずが、弁護側に寝返ったりの反則を使い、
みんなのヒンシュクを買う。
だんだん相手にされなくなる。さみしい。

陪審員で活躍のグッドマン(ほぼ日編集部員)は、喰さんの
“本音を出させる”作戦に苦戦してる。
でもその苦戦してる姿がだんだん何かを伝えてくる。
喰マジックだ。

裁判は観てた人の判断という形で幕。
その後の出し物は大演芸ワールド炸裂。
裁判での緊張がうそのよう。

極道の沖縄踊りも、幽霊の日本舞踊も、
外国人の歌謡ショーもみんなマジでおもしろい。
ポカスカジャンこのあとにミニライブやるのイヤだなムード。
やりづら過ぎる。
でもやる。
“ツアーのうた”から最後、このワークショップの
テーマソングである“人生(たび)の空から”をやる。
イヤラしいが、この曲をやらない手はない。
ポカスカジャンの3年半の歴史の中で、ヒトの曲を
まともにただ歌うだけというのは初めてだ。
盛り上がる。
喰さんはふすまの上のかもいに乗って、
ピョンピョン飛び跳ねている。
しかも両手グーを握っての“グーダンス”だ。
手を放している。
危ない。
夜はこれからだ。

(PSJ/玉井伸也)


グッドマンのワークショップ参加ルポ

昨晩はほとんど眠っていない。
今日の発表のためのネタづくりをしていたのである。

各班には、助っ人として、WAHAHA本舗の役者さんや、
九十九一さんらのプロが入ってくれた。
ぼくらの班の助っ人は、なんと喰さんである。
ちょっとしたヒントをくれるだけなのだが、
それでもありがたい。
おかげでなんとかアイデアが出そろうところまでは、
昨晩のうちに終わらせることができた。

ちなみにこんなものである。

★幽霊日舞
★幽霊ヨーデル
★幽霊の梅ちゃん
●幽霊の染の助染太郎
●ひとだまジャグラー
●林屋三平の霊界落語
★三角布のホンジャマ
●背後霊の二人羽織
★背後霊の腹話術
★幽霊のタップダンス
●幽霊漫画トリオ
★貞子と亡霊100m走
★地獄の絵描き歌
★欽ちゃんの幽霊仮装大賞:心霊写真
●欽ちゃんのよい霊わるい霊ふつうの霊
★ドリフの幽霊早口言葉
●幽霊合唱団
●幽霊ポエム
●霊界子供番組:お岩さんといっしょ
★幽霊電撃ネットワーク
●ドラマ・幽霊刑事

星印が、じっさいに演ることになったネタだ。
それぞれ出演者を決め、練習に入った。
全員参加の「幽霊日舞」と「ドリフの幽霊早口言葉」は
みんなで練習、その他はコンビなりグループなりピンで
稽古しなくてはいけない。
さらに、毛糸で幽霊のカツラをつくったり、
ひとだまをつくったりと、やることはいっぱいある。
みんな、かなりテンパっている。

さらに、じつはこの最終日には「裁判劇」のフィナーレも
ある。この裁判劇、初日にダメ出しされた弁護側と
検察側は、翌日、それぞれ緻密に
ドラマをつくりあげてきた。
それにひきかえ、陪審員であるぼくらの班は
弁護側と検察側の丁々発止を見て、
その感想を適当に述べて終わり、
というふうになってしまった。
だから最終日は、ちゃんとドラマを終わらせるため、
ぼくらの班に喰さんの演出が入った。
これは他の班にはナイショだ。
その内容は、全部はとても書ききれないけれど、
すごくシリアスなものである。
3回の公判劇で陪審員が有罪無罪の決着をつけられる
わけがないので、「不まじめに見ていた人たちが、
ひとりの女の人生を真剣に考えようと、はじめて一致
団結して、考え始める」ということで終わらせるのだ。
しかし、演出されるということは、エチュード(即興)の
域を越えて、ちゃんと芝居をするということである。
昨晩おそくまでそのことで綿密な打ち合わせが行われ、
ぼくらはそのことだけでもイッパイイッパイになって
しまっていた。

その練習もしなくてはいけない。
寄席のネタも完成させなくてはいけない。
小道具作りもある。
午前中、「落語形式で思い出の歌を紹介する」エチュードの
スタッフ版が行われ、時はすでに昼近い。
裁判劇の開始は午後4時。
寄席の開始は午後8時。
もう、わけがわからない。

しかし、やれば、できるものである。
裁判劇は、ちょっと意図したものとは
違ってしまったけれど、いちおう、完結した。
感極まって泣き出す人も出たほどである。

寄席のほうは、裁判劇が終わったという安堵感から、
かなり楽しんで演じることができた。
ちなみに、僕は「幽霊日舞」「幽霊ヨーデル」
「幽霊の梅ちゃん」「貞子と亡霊100m走」
「欽ちゃんの幽霊仮装大賞:心霊写真」
「ドリフの幽霊早口言葉」「幽霊電撃ネットワーク」の、
11のネタのうち7つに参加した。
受けたり受けなかったりだったけど、かなり満足だ。

そして他の班の「極道寄席」「出稼ぎ外人寄席」も、
とても楽しいものだった。
終わってしまうのが残念なほどだった。

そのあと飲み会になり、みんなの頬が赤くなった頃、
ポカスカジャンが、全国ツアーでの出来事を曲にして、
完成披露を行った。もちろん笑える曲なんだけど、
やけに切ない気持ちになってしまう。
なんだか、祭りが終わったあとの気分に似ていた。

(グッドマン)

1999-10-06-WED

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