ポカスカジャンの脱線マガジン。

5月30日(火) 天気いいけど蒸すねって誰かが言ってた。
by玉ちゃん


数限りなく増え続けるもの。
それは夢、それは愛、それは溢れ出る君への想い・・・
って言ったら凡庸の流行歌か。
ワハハでは勿論それはボツネタの事を指す。
ボツネタ。
金と銀の爆笑という斧が沈む湖の前で、
笑いを求めたドン・キホーテ達が、
演出家の前で、季節はずれのしだれ柳を打ち上げるのだ。
その様はまるで晩夏に生き急ぐ蝉の如しだ。
稽古場の夜空に散ったのは誰だ!?
ミンミンと鳴いたのは誰だ!?……私だ。
しかも新人・宮之原淳と、これまた新人・椿鮒子を
引き連れてだ。
そう、私はこの3人チームのリーダーなのだ。
決して年功序列でリーダーが決まった訳ではない。
何故なら鮒子は36歳・新人(私は31歳・5年目)、
しかも井上ひさし似だ。
宮之原に至っては、元小林寺空手のチャンピオンだ。
瓦だって割るぞ!! 10枚以上!! 
しかしこの井上ひさし・空手チャンピオン・
津軽(私、玉井)の布陣をもってしても
演出家の牙城は崩せない。
何故だ? ハーモニーの問題か!? 
座長・佐藤さんの言うところの、心の有り様、
気持ちの問題か!? 否、答えはもう分かっている。
でも言わない。
・・・貴方はそこまでこの私に言わそうとしてるのか? 
貴方って誰だ? 否、貴方だ!! 
貴方にだァー(エコーで飛ばす)!!
対象のない八つ当たりってのは、成立するのだろうか? 
そう言えば今までしたことがない。あんまりすっきりしない。
むしろみっともない。とてもかっこ悪い。
しかし早川義雄の言葉もあるではないか。
かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう。の逆。有りか?
否、かっこ悪いことがかっこいいとは限らない。
かっこ悪いまんまだったりする。そうか、かっこ悪いのか。
でもいいではないか、同志よ!
ネタがボツになったところで、また作ればいいではないか。
今まで何度もしてきたように、なぁ宮原、鮒子。
数限りなく増え続けるもの、それは・・・

5月31日(水)雨音はショパン猪狩のリコーダーの調べ
(雨っちゅう事!)byしょうご


本日、ポカスカジャンは夕方からお仕事!
蒸し暑く汗臭い稽古場を抜け出して向かう場所はナント
新宿末広亭!! そうなんです、寄席なんです!
ポカスカジャンが結成されて今年で5年目、
色んな会場でネタを披露して来ました。
日清パワステ、リキッドルーム、
野外ではガチャピン&ムック兄さん達と一緒に
1万5千人のチビッ子達に囲まれて、そして初のツアーでは、
あんみつ屋さんのテーブルをかたづけて
約10畳に80人を詰め込んだ伝説のライブ。
数えればきりが無いほどポカスカジャンは
色んな場所でライブを繰り広げて来た、が! しかし!!
寄席は初めて。不思議な緊張感が3人を包む。
この緊張感の根っこに在るモノは、たぶんポカスカジャンが
ポカスカジャンとして動き出す前に、
コミックバンドとは? 音曲とは? を学ぶ為に
3人で訪れた場所がここ末広亭だったからだろう。

末広亭に到着すると木戸を抜けて楽屋へ、
若干ビビりつつ引き戸を開けると
そこに座っていたのは、春風亭柳生師匠!!
……動かない…………貫禄と言うものだろうか、
しかしよく見るとユラユラ動いている。
年輪と言うものだろうか……、などと思っていると
2階の楽屋へ案内された、案内されたのだが
出番までまだチョット時間があるので
(ホントは緊張で落ち着かないのもある)
末広亭の裏にある喫茶店“楽屋”で時間をつぶす。
この店は創業40年の老舗らしい、
色んな芸人達を見て来たんだろう、
たぶん今日の僕達の様な始めて高座に上がる若手の緊張を
1杯のコーヒーで和らげていたにちがい無い。
楽屋に戻ると(何かややこしいなぁ〜)今日の出演者である、
ミッキーカーチスさん、快楽亭ブラックさん、
そして我らの高田文夫先生(立川藤志楼)が
雑談を交わしていた。
さあ僕らもそろそろ出番だ衣装に着替え
チューニングを済ませて舞台袖で待機していると、
高田文夫先生が
『寄席の客は重たいぞ〜バウバウ』
そう言って満面の笑顔を見せた。
高田先生なりの励まし方だ、ありがたい……。
そして、めくりが変わり
“ポカスカジャン”の名前が出された。
『ジャカジャカジャカジャ〜〜〜〜ン!!
 どーもーポカスカジャンで〜す!!』
2人のギターが火を吹きのんちんが絶叫する!!

緊張の20分が終わった。お客さんは暖かかった。
なかなかいい反応だった。
そして、僕らを励ましてくれた高田先生への反応は……
イマイチのようだった。
それにしても、寄席は良いもんだ、
芸人の気持ちをピッ!と引き締めてくれる。
また機会があれば呼んでいただきたい。

6月1日(木) byのんちん

さあ、いよいよ今日から6月。
泣いても笑ってもあと2週間で幕が開く。
若手からベテランまで各々どんな気持ちなんだろうか? 
オレに関しては、これから地獄が始まるんだから
今のうちに飲めるだけ飲んどけ・・みたいな感じだ。
飲みおさめはズバリ10日とにらんでる。
それまでは浴びるほど飲んでやる。
それにしても自分は今までどれくらいの酒を
飲んできたんだろう。25メートルプールが一杯になる位
飲んだだろうか? 酒を飲まなければ車の一台も
買えたんじゃなかろうか? 酒さえ飲まなければ
左手の一差し指にヒビもはいらなかっただろう? 
酒さえ飲まなければ丸ノ内線で痴漢にケンカを売って
眉間から血を流したりしなかっただろう? 
酒さえ飲まなければ痔にもならなかっただろう? 
なんか「酒さえ飲まなければ」っていう唄ができそうだなぁ。
やしきたかじんにでも唄ってほしいなぁ。

話しはだいぶそれたが、今回の公演はなんともう
だいたいの構成が出来ているのだ!
こ・こ・これはすごい!
これを読んでる皆さんは、
「えっ、それってすごいの?」「それって遅いんじゃない?」
って思うかもしれませんが
ワハハにとっては奇跡的なことなんです。
勿論まだできてないネタもたくさんあるが、
構成表が稽古場に貼ってあるんです。
もう神棚みたいなもんです。
手を合わせて柴田さんが泣いてます。
久本さんがその横で小躍りして、
佐藤さんがバンサイしてます。
梅垣さんがお弁当箱から豆をだしてまいてます。
すずまささんが記念写真を撮ってます。
無理もありません。
話しによるとワハハの人達はその昔、
本番前日まで台本ができてなかったり、
初日にも台本がなく本番中舞台そででプロンプしてもらって
セリフを言ったり、ほとんどアドリブで芝居をしたりと、
そんな経験があるからです。
しかし油断は禁物です。
みんな解ってます。
これからあるんです、
いろいろあるんです。
何人かが泣くはずです。
ワハハはびっくり箱なんです。

2000-06-15-THU

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