6月23日(金) 天気 梅雨 by たまちゃん
ワハハには里親制度というものがある。
去年たくさんの新人が入って来た時に、
まだ自立出来ていない右も左も分からぬ、
将来に不安を抱く若手の
良き相談相手になろうじゃないか風の発想の元、
ワハハの演出家である喰さんをはじめ、
経理部長の村井さん(宮崎学激似)、
経営スーパー・アドバイザー(別にスーパーは経営してない。
経営に関するアドバイザー)の土屋さん通称ツッチー他、
事務所の大人軍団(素直に僕らはオヤジ連と呼んでいる)が
作った制度なのだ。
まだ見習い期間中の寺田奈美恵テラリンコ(20歳)や
安藤理夫アンドレ(元カリスマ見習い美容師)に混じって、
僕も里子だ。里親はツッチー土屋さんだ。
ツッチーは言う。
「タマ、お前は俺のとこ来なくていいよーッ!
ねーちゃんのとこでも行ってろよー!」
邪険にされる。
この土屋家でいったら、
さしづめ僕は2回連続大学受験に失敗した浪人息子か?
因みに僕は里親・土屋家では長男だ。
弟に宮之原淳、安藤アンドレ、
妹に兵頭有紀(20歳)の布陣だ。
この公演中も僕を除いて
土屋家は皆で焼き肉を食いに行こうとしていた。
電話が掛かってきた。
「タマ、お前今何してるの? 仕事だっけ?(んな訳ない)
またねーちゃんのとこだろー?(家でプロ野球ニュースだ)
アレーッ! 珍しいねーッ! ぐふふっ。
(意味なく笑ってる、さては既に飲んでると見た)
高円寺の焼き肉屋にいるんだけどさぁ(二つ返事だ)」
結局この焼き肉屋では里子だけでカルビ22人前を食う。
単なるタカリだ。
風下にいたツッチーは煙りまみれだ。
「ただでさえハゲてんのに、余計髪の毛抜けるだろーッ!」
親父、自分で言ってる。
子供、みんなゲラゲラ笑ってる。
この日の話題はやはり石だ。
「お前ら、もっと気合い入れて石作れーッ! 石売れーッ!」
別に宝石商の隠語でも何でもない。
純粋に丸ごと石だ。
「あの石売場だって、お前らなぁ、立派な表現の場なんだよ。
石で自分を表現するんだよ。上手いとか下手じゃなくて、
自分を表現するんだよッ」
勢いついた2軒目でも石の話だ。
そして3軒目の寿司屋……でもだ。
寿司屋の大将が聞く。
「何なさってるんですか?」
ツッチーが答える。
「石売ってるんですよ……」
呆気にとられる大将。
いやアンドレもだ。
勿論その後に事情を説明する。
そーすると大将までもが励ましてくれる。石にだ。
ツッチーは熱い。
いや、この世代の人達、喰さん村井さん、
ポカスカジャンのCD「Kおとわざ」のプロデューサー
北さんも、とにかくオヤジ連はとにかく熱い。
だから側に居てめちゃくちゃオモシロイ。
のんちんとよく話すのが、このオヤジ連の熱さだ。
どっからワープしてくるのか。
そのエネルギーたるや、おもしろ過ぎる。
(この“ほぼ日”の糸井さんも
どっかからワープしてきてる)。
世代っていう言葉が適切なのかどーなのか
よく分からないけど、
とにかくあの辺の年齢の人達は皆そうだ。
すくなくとも僕の周りはそうだ。
そのエネルギーに胸が焦げそうになる。
燃料となり燃焼してる人。
若さがエネルギーの明かしだ、というのであれば
世代でも年齢でもなく、人だ、と思った。
結局、電車のなくなった土屋ファミリー御一行は
そこから近い僕の家に来る事になった。
ここでも石だ、ハゲだと土屋さんが一番騒いでいる。
一番最初に寝てしまった僕に
次の日なって宮之原が、その後を教えてくれた。
「土屋さん、玉井さんが寝た後も一人でずっと騒いで、
大変だったんですよ。寝ようって自分で言うくせに、
また騒ぎだして、寝ないんっすよー。
上半身裸になって、電気消した部屋に
モチ肌浮かびあがってんすよー。
んで、俺が何かしちゃったらゴメンなって言うんすよー。
アレってマジっすか? もう訳わかんないっすよー!」
……そうか宮之原、訳わかんないのか。
そういうわかんない事は里親に相談しろ。
それが里親制度なんだから。
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