まず政治についてですけど、
地中海世界というのはギリシャの頃から、
例えばフェニキアやカルタゴなんかと
しょっちゅうすごい戦争をしてたんです。
あの周辺に住んでいたのは約4〜5000万の人口。
周辺で取れる総農産物を4〜5000万で割ると
どうにか生きていけるんですが、余剰農産物を
つくれる場所と地味がよくないところがあるので、
どうしても食料の奪い合戦になるんです。
それが戦争の原因なんですね。
ローマは最初のうちには食料の争奪戦に
参加するわけですけども、徐々に、
大きな国にして足りないところには
あるところから持ってくればいいじゃないか、
というようになってくるんです。
それが、パックスロマーナですね。
パックスロマーナつくるのに約100年くらいで、
それまでに内戦もありいろいろあるんですけど、
ローマの政治家はまず民族問題について考えた。
民族の違いというのは切り抜けられないから、
そいつらには外人だろうが、少なくとも
社会的な権利として平等をあげたんです。
宗教に関してもキリスト教あるいはユダヤ教が
まず存在していて、ちょうどポンペイの火山が
爆発するときに活躍したひとは、そこをいかに
抑えつけることをして皇帝になるんですけど、
トップクラスの人間が怖い宗教に対峙している。
国境をローマのように広めると
国境防備という問題が出てくるんです。
ライン川周辺にはゲルマン人という
とんでもなく強いひとたちがいるのだし、
国境をどう維持するかは大変な課題なわけです。
それで有名なハドリアヌスの長城をつくるけど、
これは万里の長城に比べたらちゃちなもんです。
だからあれは防備じゃなくてむしろ信号的で、
ここから先は私たちも行かないから、逆に
あなたたちも来ないでね、というものなんです。
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