「ポンペイに学べ」 青柳正規教授と、鼠穴で対談しました。 |
予告編 シーザーはかっこいい 2000年のはじめに連載された 「ポンペイに学べ」のコーナーですが、 このたび、その続き篇というか、 さらにおもしろくなった対談を、 ちかぢか、お届けできることになったんです。 今日はその「さわり」を、お届け!! (2001年8月2日、昨日の対談風景です。 「ほぼ日」移転後、初の対談になりました) 対談の途中から、少しだけ、 できたてほやほやの抜粋をしてみましょう。 ------------------------------------ 青柳 「例えば、シーザーなんかは、 その時代に求められていた大変な事業を 実現させる方向で社会システムをつくればいいんだ、 と信じていたんでしょうね。 そのためには、王様になって実現させて そうすれば民衆もよろこぶし・・・と、 彼はその自信を持っていたと思います」 糸井 「聞いてると、シーザーはかっこいいなあ。 やっぱ、『シーザー』って名前だけあるよ! ・・・そんなヤツぁ、 どうやって作られたんでしょう?」 青柳 「すごい社会混乱のなかで、 政治的決断をその都度要求されますよね。 そういうなかで身につけていったんでしょうねえ。 だから彼のあたまのなかでは、自分が王様になって えらくなって好き放題のことをやるぞっていうのは やりたいことのうちの、ごくわずかなことでしょうね。 本来の目的は、自分の描いている ローマのような世界で、住んでいる人たちが 幸せになって豊かな生活を送りたいということで。 それを実現するためには、 自分が王になるのがいちばんいいだろうと」 糸井 「そのシーザーの倫理って、 キリスト教の倫理ではないですよね」 青柳 「そうではないですね、その時はまだ」 糸井 「シーザーがそうやって願うのは、 なんでなんでしょうねえ・・・」 青柳 「地中海世界は、 エジプト人も住んでいれば、 北アフリカにはベドゥウィンみたいな人も 住んでいますし、いろいろな文化が接している 濃密な空間なんですよねえ、全体が。 濃密な空間で、 ギリギリの折衝をしたり ギリギリの戦争をしたりしてきていますから。 われわれだと例えば 貧しい国があれば食料を送ればいいやとか 言いますけれども、食料を送れば 一部の人たちが受けて、貧富の差が 拡大するおそれもあるわけです。 だから、善意が悪意になりうるわけです。 世界中に通じる善意なんてないんです。 それが国際社会ですよね。 そういった濃密な空間が、 地中海という地域には、昔からあったわけで、 そのなかで、単純に、 『みんなで平和に暮らしましょうよ』 なんて言っても、バカって言われますよね」 糸井 「うん(笑)」 青柳 「そうしたら、権力によって 自分の描く社会の到来の実現を夢見る・・・。 そのためには権謀をつかってという。 そういうのが、個人のなかに いちばん凝縮されているのが、シーザーでしょうね」 糸井 「かっこいいなあ」 青柳 「かっこいいですよ。 とんでもない色男。 きれいなプロポーションだったらしいですし。 崩れた着方をして、ほとんどの女性が コロッといったらしいですね」 糸井 「そういうことは、なんでわかるんですか(笑)」 青柳 「(笑)ははは。 文献に書いてあるんです。 非常にシャープな感じの。 いま、アメリカのインテリ系で かなりかっこいいと言われている エリートたちがいますよね。 でも、シーザーは、それよりもっとかっこよくて、 もっと優しさに満ちた感じがあって、 慈愛の目があって、それでいて、 非常に人を吸いつけるような魅力が、 あったと思いますねえ・・・」 糸井 「(笑)それを語っている 青柳先生が、もうほれてますよ!」 青柳 「あははははは」 ------------------------------------ 「アウグストゥスの別荘」を発見し、 来年からは大々的な発掘調査をおこなう 青柳正規教授とdarlingの対談なんですけど、 こりゃー、おもしろかったよーーーーーー!!!!! 今日はごくごく一部をお届けしましたが、 8月下旬くらいからのほぼ日で、本格的に この対談をお届けしようかと思っています。 「それまでに、まだ読んでいないかたは、 バックナンバーをどうぞ」というお知らせでしたっ。 興味を持ったからは、8月7日から開催される展覧会の 世界遺産ポンペイ展にも、ぜひどうぞ。 (では、8月下旬からの連載を、おたのしみに) |
2001-08-03-FRI
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