POMPEII
「ポンペイに学べ」
青柳正規教授と、鼠穴で対談しました。

第1回 そもそも、「学ぶ」って何だろう?


※今日から、「ポンペイに学べ」の
 第2シーズンの対談がスタートします。
 はじめて読んでも、かなりおもしろいですよ。

 本格的な対談の内容に入る前に、
 「そもそも、『学ぶ』って何だ?」と
 青柳正規さん(歴史学者)とdarlingが
 しゃべっているので、
 その部分から、お届けいたしますね。

 文中の「ほぼ日ブックス」というのは
 今年の10月下旬ぐらいから次々と刊行される
 ほぼ日関連書籍のシリーズもののことです。
 この情報については、今後、徐々に
 ほぼ日で紹介していきますので、お楽しみに!



糸井 ぼくは最近、
「学ぼうと思えば犬のくそからでも学べる」
と思っているんですよ。
青柳 ハハハ。
それ、いいですねえ。
糸井 「学ぶって、いったいどういうことなのか」
と考えてまして・・・それでこの、
朝日出版社さんとの共同プロジェクトの
「ほぼ日ブックス」というシリーズを
作ったところもあるんです。

つまり、本と言うと
すごく大事な美術品のように
扱われがちだし、読みにくくても
無理して読むような先入観があるけど、
何かを伝えるとか、読むとか、
学ぶとかいうのは、
ほんとうにそういうものなのかなあ?
という疑問がありまして・・・。

今の人が生きていくために
必要な道具を次々に出していく気持ちで
読みやすくて、しかも大切なことが書かれていて、
読んだ途端に実際に使えるような本を、
作ってみたかったんですよ。
そういう本なら、自分でも読みたいんです。

もちろん、保存するための本ではなくて、
遊んだり、楽しんだり、
使ったりするための本だから、
買ったとたんに読み捨てられても構わない、という。
青柳 それは、おもしろいですね。
糸井 「学ぶ」っていうのは、
「すでにある知識を得ること」じゃなくて、
「学ぶ方法を理解すること」だと思うんですよ。

やっぱり、どこの世界でも
どういう人材がいちばん欲しいかと言うと、
環境が変わっても
そのつどやっていけるヤツだし、
「こういう場所なら、こういうことを俺はしたい」
と、素手で何かを
つかみ取ることのできる人ですよね。

だから、教科書を読んで
何かの知識を得るというよりは、
いまおもしろい仕事を
実際にしている人の横で
その人のやっていることを
見たり聞いたりするほうが、
ものすごく、
「学ぶ」ことになると思うんです。

ぼくはこの本を、そんなようにして
作りたいと考えています。

青柳先生のそばで、多少のムダ話も含めて、
じっくりと会話をしているような本って、
あとあと何かのヒントになるんじゃないか、
とぼくは考えているんですよ。

素晴らしいアイデアなり業績なりを残すのは、
やはり人間ですから、それならいっそ、
現役で何かをしている人の
話し方の個性まで出てしまう本のほうが、
丁稚奉公に近い学び方をできると思うんです。
青柳 いいですねえ。
学び方を学ぶことについては、
エリザベス1世が
おもしろいことを言ってますよ。
彼女は、60歳を超えてから、
12番目か13番目の
外国語の勉強をはじめたんですよ。
糸井 うわ、すげえ。
青柳 すでに10何カ国語は
きちんと習得していたわけです。
だけどもうひとつをやりだした。
それでまわりの重臣たちが
「どうしてそんなにやれるんですか」
と尋ねたらしいんですが、彼女は
「わたしは自分で勉強してきて、
 2番目か3番目の外国語を身につけた時から
 外国語を学ぶ方法を会得しました。
 だから、今からやる言語に関しても、
 時間さえあれば、何の苦もなくできるのです」
と・・・。
学ぶ方法を知っている、というのは、
そういうことですよね?
糸井 まったくそうです。


(※次回に、つづきます)

2001-09-04-MON

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