社長に学べ!

黄色いマグで珈琲が飲めるか

安森 話は変わるけどさ、イトイさん。
糸井 どうぞ。
安森 いま、お年寄りの携帯の待ち受け画面って
「孫」か「犬」がほとんどなんだってね。
糸井 それはつまり「下にいる神」なんでしょうね。
安森 下にいる?
糸井 孫や犬って、自分より「上」じゃなくて、
自分より「下にいる神さま」でしょう?
安森 なるほど‥‥うまいこというねぇ。
糸井 (笑)。
安森

でもね、いま、だれかの赤ん坊を見かけたら
「かわいい女の子ですね」って言うらしいよ。

たとえ、赤ん坊が「男」だったとしても。
糸井 ああ、そのほうが、喜ばれやすいですもんね。
安森 それと、万が一、女の子に向かって
「元気な男の子ですねー!」なんて言っちゃったら、
いかにもマズいじゃないですか。
糸井 ああ、同時にリスクヘッジでもある(笑)。
安森 そう、そう。
糸井 安森さんが携帯の待ち受けにするとしたら、
だれですか。
安森 うーん、まぁ、神さまとまでは言いませんけど、
眺めてて、
いちばんおもしろいのは、カミさんかなぁ。
糸井 ほー‥‥。
安森

あんなおもしろい人、見たことないよ。

会社にも異分子がいないとダメって話を
さっきまでしてましたけど、
あれくらい異分子だと、ほんとおもしろいね。

‥‥いや、書かないでよ、これ?
一同 (笑)
糸井 でも、長年連れ添ってわかりきってると思ってても、
想像の範囲を超える部分って、ありますよね。
安森 そうなんだよ‥‥おもしろいんだよなぁ。
糸井 ということは、これまでの人生のなかで
いちばんおもしろかったのって‥‥結婚ですか?
安森 そうです。
糸井 みんなが「結婚なんてさ‥‥」っていう時代に、
「いちばんおもしろいのは、結婚だ!」と。
安森 歳を取るにつれて、おもしろくなります。
糸井 ははぁ‥‥。
安森 ときどきチラッチラッと見えるんですよね。
あたらしい発見が。
糸井 いまだに。
安森 それでいて、こちらの「打つ手」の7割は外れる。
糸井 あはははは(笑)。
安森 会社のことだったら、だいたい当たるけど。
糸井 そんなもんですか。
安森

うん、会社のことについては、だいたい当たる。

ああ、でも、お客さまのことについては‥‥
もしかすると、カミさんと、同じくらいかも。
糸井 え、それはなんだか、意外ですね。
安森 だって、ぼくが「これは売れる!」って
太鼓判をおした商品は、
そんなにね、売れたためしがないんだよ。
糸井 やけに自信を持って言いますねぇ(笑)。
安森 オレが、「なんだこれ?」って言った商品が、
けっこう売れちゃうんだよな。
糸井 「社長がダメって言ったから、イケるぞ!」と(笑)。
安森 だって‥‥イトイさんさ、
ぼくは、百貨店で育ったんですよ?
糸井 ええ。
安森 百貨店で育ったぼくにとっては、
極端に言えば‥‥
「黄色いマグカップで珈琲を飲めるか!」なんです。
糸井 ん?
安森

いや、文字どおりの意味でね。

つまり、黄色いマグカップなんかで
珈琲を飲んでも
ぜっんぜん、うまいと思えないんですよ。
<続きます!>
2008-08-15-FRI
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