出版部門の人材募集について
──糸井重里
いままで、たくさんの本を読んできました。
これまで、たくさんの本を書いてきました。
思えば、何冊かの本を制作してきました。
本というものには、なにかとお世話になっていました。
「出版は文化だ」とか、
考えなしに言いたがるムードは嫌いです。
本に関わることが、
特別に大事な仕事のように考えるのも、
疑問だと思っています。
でも、本はすばらしい助けにもなってくれるし、
遊びがいのあるおもちゃでもあります。
先生や、ともだちの代りだってしてくれます。
勇気をくれることもあるし、
必要な辛さや暗さを味わわせてもくれます。
世界中を震撼させることだってできるかもしれない
巨大なパワーそのものにも成り得るし、
たったひとりの人を喜ばせることさえできない
(かもしれない)無力なものでもあります。
しかし、たしかなことがあります。
本で、おもしろい仕事ができる。
これだけは、言えるはずです。
本に関わる仕事がつまらなかったり
退屈だったりするのは、
きっとなにか根本のところが、
まちがっているのだと思います。
ぼくは、そんなふうな感じで、
出版という仕事のことを考えています。
他の出版社とは、ちがっているかもしれません。
こんな考えを持った社長の会社で
あなたがリーダーになって出版をやっていくんですよ、
ということをお知らせして、
「出版プロデューサー」を募らせていただきます。
あなたが、ぼくをこきつかってください。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
2006年6月6日
(株)東京糸井重里事務所
代表 糸井重里
出版の「司令塔」を募集しています
――山田真哉
現在、出版業界では
「出版プロデューサー」という肩書きで
編集・制作・営業を行ったり、
出版のアドバイスを行っている方がいらっしゃいます。
しかし、今回募集する「出版プロデューサー」は
それとはちょっと違います。
「出版プロデューサー」の仕事に加えて
本を出す前のマーケティングから、
本を出すタイミング、
本を出した後のイメージ調査まで行う、
いってみれば「超出版プロデューサー」なのです。
私は出版に関わりはじめて10年近くになるのですが、
「いい本ができた」
「売れる本ができた」
というときは、必ず作業の中心に、
しっかりと指揮を取る人がいました。
サッカーでいう、「司令塔」とでもいいましょうか。
それが編集者だったり、営業だったり、社長だったり、
あるいは著者自身だったりするんですが、
とにかく中心となる人物がいたほうが、
企画から販売まで一貫したコンセプトで
進めることができるのです。
現在の出版業界に「司令塔」は
既定のポジションとしては存在していません。
しかし、「ほぼ日」としては
出版事業の一番大事なポジションとして、
「司令塔」が欲しくなったのです。
ですので、編集や営業の経験も
役には立つと思いますが、
一番期待しているのは
常に全体を見回すことができる
「司令塔」としての能力です。
全体を考えて、判断し、行動する。
そういう意味では、
著者よりもクリエイティブな仕事です。
現在出版関係でない方も、
いまからスタートしても遅くはありません。
既成概念にとらわれない発想も必要なので、
未経験者のほうがいいかもしれないくらいです。
「司令塔募集」
にしてしまうと何のことだかよくわからないので
「出版プロデューサー募集」
とさせていただきましたが、
気持ちとしては、「司令塔」という
出版業界初のポジションを募集しています。
興味のある方、ぜひ「ほぼ日」で「司令塔」として
キラーパスをどんどん飛ばしてください!
2006年6月14日
(株)東京糸井重里事務所
CFO 山田真哉
こういう人に来てほしい
──採用チームより
これまで、東京糸井重里事務所は、
『オトナ語の謎。』
『言いまつがい』
『SayHello! あのこによろしく。』
『春風亭昇太ひとり会 はじめての落語。』
という4冊の本を自社出版してきました。
ですが、出版事業について、
積極的に取り組んできたかというと
かならずしもそうではないように思います。
といいますのも、過去に出版した4冊というのは
企画されたコンテンツの延長上に出版があり、
「このコンテンツは本にしたほうがいい」と判断して
はじめて本のプロジェクトが立ちあがる、
というパターンがほとんどだったのです。
つまり、これまでの東京糸井重里事務所にとって、
出版事業というのはどちらかというと
受動的なものでした。
今年、ほぼ日刊イトイ新聞は創刊8周年を迎えます。
ウェブサイトとしても、会社としても、
積極的に変化していかなくてはならないと
考えています。
その一環として、
東京糸井重里事務所は、出版事業について、
これまで以上に
能動的に取り組んでいくことを決めました。
つきましては、
その柱となってくださる人材を募集します。
ひと言でいってしまうと、
本の企画、制作、プロモーション、流通、営業という、
「生むことから届けることまでのすべて」に
責任をもって関わってくださる方が理想です。
どうしてそのように考えるかというと、
ほぼ日刊イトイ新聞では、
販売するすべてのコンテンツ、そして商品に対して
担当者が「生むことから届けることまでのすべて」に
関わる姿勢で取り組んでいるからです。
なにかを生み出す苦労だけでなく、
届けるときの苦労を知っているほうが
なにかを生み出すときに
より豊かな姿勢で取り組むことができる。
きっと、本についても同じことがいえるのではないかと
私たちは考えています。
とはいえ、
すべてを完全にひとりでまっとうするスーパーマンを
無責任に募集しようというのではありません。
現在の東京糸井重里事務所の
スタッフや人脈、抱えるコンテンツといったものを
自由に、有効に、利用していただき、
おそらくそのときどきで結成されるであろう
書籍のチームを強い牽引力で率いていく、
そういうイメージを持っています。
東京糸井重里事務所にとっての出版は、
これまで能動的に取り組んでこなかった事業ですから、
「出版部」というような
部署があるわけではありません。
トップに糸井重里はいますが、上司はいません。
1年間にこれだけの本を出せ、
というようなこともありません。
そのかわり、引き継げるような
完成されたシステムもありませんし、
専属の部下もいません。
ひょっとしたら、出版に必要な備品すら
いまはそろっていないかもしれません。
いわば、そこにあるのは耕される以前の畑です。
土壌をつくり、種を蒔き、水をやり、刈り取って、
食卓まで届けてくださる熱意ある方を募集します。
「本を、生むことから届けることまでのすべて」に
関わっていただきたいと思いますので、
出版と営業の両方に経験豊富な方が理想ですが、
応募は広くお受けいたします。
出版にまったく経験のない方でも
「ものを生み出して届ける」ことに情熱があれば
学んで埋め合わせることも可能だと思っています。
やり方は決まっていませんが、
やっていただきたいことは山ほどあります。
そして、それを待っているお客さんの数も
きっと多いと思います。
やりがいを感じられた方、どうぞ、ご応募ください。
東京糸井重里事務所社員一同、
わくわくしながらお待ちしております。
なにとぞ、よろしくお願いいたします。