#5 成長するコンサートと、大いなるマンネリ。
【今回の内容】
前回のつづきです。
「ロック・ジャパニーズ」が、
どのようなチームによって作られるのか、
を知るために、いままでのツアー運営について、
ステージプロデューサーと舞台監督の
おふたりに、話を伺っています)
----どのくらいの期間、ヤザワさんのツアーを
プロデュースなさっているんですか。
プロデューサー
「12年ですね。舞台監督も、同じ時期から一緒に」
舞台監督
「はい、そうです」
----そのあいだ、ずっとグレードアップをしてきたんだ。
すごいなあ。
その期間に、スタッフの志気が
大きく変わった点って、ありますか。
プロデューサー
「基本的には、変わっていないと思いますね。
ヤザワさんがどんどん進化しているように、
いい意味でツアースタッフたちは成長していますので、
その意味では変わってきていますけれども。
12年前のメインスタッフたちは
みんな、30代の中盤頃で、
仕事をバリバリにやっている人達でした。
最初にぼくが任された時、正直言いまして
3年間やらせていただこうと思っていたんです。
ホップステップジャンプで、3年。
そこでいいものが出るまで、やろうよ、
っていうところでやっていました」
----そんなに、長くやるつもりは、
なかったんですね、最初の頃は。
プロデューサー
「でも、ツアーをやるようになって、
ヤザワさんに言われたんですよね。
その時、ボス(ヤザワさん)は40代だったんですけど、
『あと10年、歌わせてくれない?
・・・俺、50歳になるまで歌いたいからさあ』
そう言われれば、こちらも続けたくなりますよね。
でもそれから2〜3年経ったら、
『俺、60歳まで歌えるかもしんない!』
ってなってきて(笑)、
これからどうなるか楽しみです」
----その12年間って、大きいなあ・・・。
プロデューサー
「やっぱりおかげさまで、
バリバリやっている人とチームを作れて
これまで10何年、やってきているわけですから、
それなりのパワーもつけさせてもらってます。
ボスのツアーに行っていない時は、
スタッフみんな、
ほかの仕事にいっていますからね。
そうやって他の仕事で得たものも
各自に持って帰ってきてもらって、ボスのツアー。
当然、ボーダーラインは毎年毎年あがってくるわけで、
それを見るのは、こわいけどおもしろいですよ。
コンサートって、成長していくもんですから」
----そういう話を聞くと、
ステージスタッフってかっこいいなあ!
と思うんですよね。
もう、どんどん話していただきたいです。
コンサートという「なまもの」を、
短い期間に成長させようっていうことが、
おそろしいしおもしろいなあと思って、
いま、お話を聞いていましたよ。
プロデューサー
「成長しないコンサートって、
お客さんも、見ていて、つまらないですから」
----それは、そうですよね。
プロデューサー
「初日と最終日とは、やっぱり
おんなじじゃあつまらないわけじゃないですか。
これはもう、お客さんには見えないところですけど、
リハーサル本番仕込み、リハーサル本番仕込み、って
毎日毎日くりかえしていくと、テンション的には
どんどんあがってきますからねえ。
『こんなにかっこよくなっていくんだ』
って、よろこばせてもらえますよ」
----そういう成長の可能性を毎日見えることは、
すごく気持ちいいでしょうねえ。
舞台監督
「しかも同時に、
『大いなるマンネリ』という方向での
グレードアップも、あるんですよ。
例えば、力道山の空手チョップ。馬場の16文キック。
みんな、明らかに
試合でそれを見にきているわけです」
----ああ、なるほど。
舞台監督
「むしろ、力道三の空手チョップを
見られないと、お客さん、怒っちゃいますよね?
それとおなじようなことが、
ボスのコンサートにも、あるわけです。
実はボス自身から聞いたことがあるんですけど、
『止まらない〜HA〜HA〜』や
『TRAVELLING BUS』っていうのを、
『これは、空手チョップなんだよ』って。
その通りだと思うんです。
ファンとしては、そりゃあもう、
必ずやって欲しい曲なんですよ。
『大いなるマンネリ』として。
去年まで3年連続でHA〜HA〜をやったから、
今年はやめようかっていってやめた年のおわりに、
『やっぱ、やるべきだったよな』って
ボスがおっしゃった時もあるんですよね。
もちろん、そのHA〜HA〜をやっても、
いつでもアレンジは違う、ミュージシャンも
演出も何もかもぜんぶグレードアップさせてる、
しかも、HA〜HA〜の雰囲気は、
いつも必ずそこにあるっていうのが、
大いなるマンネリだと思うんです。
グレードアップの方向も、いろいろあります。
去年はここから爆弾が飛び出してここから出たけども
今度はこっちからドドンと爆弾が出るとか、
CO2がバーッと吹きあがるのが好きという人もいるし、
『ルイジアナッ♪』っていったら、ステージの両側から
ボーン、爆弾ドーン!っていくのがいい人もいるし、
じゃあ今年は爆弾赤にしてみようか、とか(笑)、
そういうことも、グレードアップかもしれない。
必ずやってほしいことも、大事なんですよね」
----とにかく爆発にもいろんな爆発がある(笑)。
でも、ヤザワさんのコンサートに行ったら、
そりゃあ、タオル投げたいですからねえ。
あのタオル投げを見ることで、明らかに
「うお!来たあ」って思いますもん。
ツアーを秋からはじめるとしたら、
いつぐらいに、そのツアーの
全体のイメージが決まるんですか。
プロデューサー
「タイムスケジュール的なこととしては、
あんまりはやくやりすぎちゃうと、忘れちゃう(笑)。
というか、不安になっちゃうんですよ。
初日が10月なのに、6月7月でできちゃってると、
これでいいのかなあ、って思わざるをえないでしょ。
考える期間が長すぎると突っ走れないので、
そこらへんは、追いつめてありますけど」
----「突っ走れないから、追いつめてある」って、
なんか、おもしろいですね。
(つづく)
|