伊達

糸井さんがラグビー界に来てくださるのは、
本当に嬉しいんですよ。心強いです。

富澤

いろんなことが動き始めますから。

伊達

動きます、どんどん動きます。
遅いです、来るの。

糸井

すっごいプレッシャー（笑）。

伊達

東北のツリーハウスもいいですけど
ラグビーのことも、もっとやってほしい。

糸井

そうだそうだ。
ぼくらは東北の仕事で
お会いしたんですもんね。

伊達

もっと早く来てほしかったですよ。
だって、糸井さんがいれば、
どんどんPRできるわけでしょう？
キャッチコピーとか盛り上げ方とか、
糸井さんならどう考えるんだろうって。

富澤

ラグビーをやっていない方の目線だから
本当に貴重なんですよ。

糸井

まあでも、キャッチコピーとかで
盛り上げるっていうのは、おまけですから。
やっぱりね、おもしろいのは内容なんです。
あとは、にわかを大事にすることかな。

伊達

ラグビーって、にわかファンを
置いてけぼりにしてしまいがちな
スポーツでもあるんですよね。
意識して、にわかファンを大事にしないと。

富澤

ラグビーの試合を観てもらったら
おもしろいのがわかるじゃないですか。
でも、観てもらうには、
どうしたらいいのかっていうところですよね？

糸井

そこですね。

伊達

「ほぼ日」さんの企画で、
気軽にラグビー観戦ができるような
イベントも開催されたと聞きました。

糸井

やりましたね。
「ものすごく気軽にラグビーを観にいこう」
ということで、ぼくらはただ観るっていう立場で
試合をたのしむのは得意なんですよ。
「お弁当はどうしようかなー」とか、
いろんなことを考えるのが大好きで。
野球のイベントで何年もやってきたことですが、
どんなスポーツを観に行っても
おもしろいのはわかっているんですよ。
「これからラグビーがおもしろいぞ！」と思って
いっしょに観に行くお客さんを募集すると、
ちゃんと人が集まってくれるわけです。

伊達

ああ！

糸井

ぼくらの専門用語で言う、
「バカ」たちが企画していてね（笑）。
お客さんもニッコニコして集まるんですよ。

富澤

「おもしろそうなことやってんな」って
人が集まってくれるんですね。

富澤

「行こう、行こう」って来るわけですね。

糸井

ぼくも、そのうちのひとりなんです。
中竹竜二さんがヘッドコーチをする
U20（20歳以下）日本代表と
香港代表の試合でした。

伊達

あっ、本当に若いですね。

糸井

本当に若かったですよ。
中竹さんにお願いして、
ミーティングとか練習まで、
見学させてもらったんですよ。

サンド

へぇーっ！

糸井

おもしろかったですよー！
雨が降っている寒い日で、
選手から湯気が立っていたんですよね。

伊達

ああ、よくわかります。

糸井

おふたりがプレーしていた頃も、
湯気が立ってましたか？

富澤

我々の湯気は少なめでしたけど。

伊達

足湯程度の湯気だね。

糸井

少なめの湯気でしたか（笑）。
本格的な選手たちの湯気は、
前が見えないぐらいに立ってましたよ。

富澤

スクラムなんか組むと、湯気がすごそうですね。

糸井

すっごいですよ。
その景色を見るだけでも、じーんときます。
湯気が立つぐらい激しい練習をした後で、
氷水の入ったバケツの中に入っていって、
ニッコニコしながらカメラに向かって
ピースサインをするんです。

伊達

すごいな、その光景（笑）。

糸井

動物的なワイルドさがあるのに、
ウエルカムな雰囲気があって、
すごくたのしかったんです。
あのときに出場していた選手たちが、
今も活躍していたら嬉しいですよね。

サンド

へぇーっ！

糸井

練習前のミーティングも見させてもらいましたが、
このミーティングに、すごく言葉があるんですよ。
チームとしての作戦や動きなんかを、
選手たちみんなが話せるんです。

富澤

はぁー！

糸井

中竹流なんじゃないかと思うんだけど、
コーチが「お前どう思う？」と質問すると、
すぐにじぶんの言葉で喋るんですよ。

伊達

「俺はこう思う」が
ちゃんと言えるわけですね？

糸井

そうそう、そうそう。
ラグビーってじつは、
案外言葉にできるスポーツなんだなと思って
興味があったんですよね。
スポーツでは、言葉で表現しないで
「まあ見ていてください」で
済んじゃうこともありますよね。
たとえば野球選手へのインタビューでも、
「来た球を振ったら飛びました」
みたいに答えることがよくありますから。
でも、ラグビーをやる人は話せるんです。

伊達

あー、なるほど。
たしかに、試合が終わった後に
キャプテンの話を聞いていても、
プレーの細かいところを話しますもんね。

糸井

そうですね。

（つづきます）

2019-03-02-SAT