糸井 |
今回の地震で、緊急速報が テレビですごい回数、流れました。 |
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山下さん |
流れましたね。 ただ途中から、はずれることも多かったです。 |
糸井 |
ああなるとちょっと、 『オオカミ少年』というか‥‥。 どうしましょう、 緊急地震速報はあてにしていいのでしょうか? |
山下さん |
そうですね‥‥ ほんとうに当たっているケースもあるので、 あながち無視はしないほうがいいと思います。 |
糸井 |
うーーん、 その無視できないっていうのが、 ぼくらは判断に困るところなんですよ。 |
山下さん |
観測器が壊れたのが原因だったので、 精度がよくなってはいるんです。 |
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糸井 |
携帯にも、緊急地震速報で アラームが鳴る仕組みがありますよね。 |
PRさん | あります。 |
糸井 |
けっこう回数が多く鳴るのに、 はずれることも多いんで だんだん信じにくくなっちゃって‥‥ ぼくはとうとう そのアプリをはずしてしまいました。 犬が、あの音をすごく怖がるし。 |
PRさん | 警戒音なので、わざと嫌な音にしてますからね。 |
糸井 |
で、うちの会社ではあれが流行ったんです。 そこにブラブラしてるでしょう。 あれが、わが社の震度計。 |
PRさん | あれで揺れを。 |
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糸井 |
3月11日以降、なんだかすぐに、 「いま揺れた?!」って思うじゃないですか。 |
山下さん |
はい、その感覚が続いています。 揺れてないのに「揺れた」と思う錯覚も多くて。 余震をずっと怯えているような‥‥。 |
糸井 |
だから「いま揺れた?」ってときに、 ぱっと、あれを見るんです。 自分の家にもあの仕組みがあるんですけど、 すごくいいですよ。 勘違いだったとき犬を怖がらせずに済みます。 |
山下さん | なるほど。 |
糸井 |
好きなキャラクターをぶらさげておけば、 イヤな感じはしないでしょ(笑)。 |
山下さん | そうですね(笑)。 |
糸井 |
つい笑ってしまうけど、ほんとにいいんですよ。 自前の判断ができるんです。 「これがここまで揺れたときに、どう動く」 ということを話し合っておける。 |
山下さん | その話し合いは、たいせつですね。 |
糸井 |
会社で、家庭で、 「これがここまで揺れたらこうしよう」 ていう話をね、冗談まじりでもいいから。 |
山下さん |
そうですね。 最初にも言いましたけど、 ずっと怖がってはいられませんので。 |
PRさん | ‥‥だから、風邪みたいなものかもしれませんね。 |
糸井 |
‥‥風邪。 時計の人がまた、 気になることをおっしゃいました(笑)。 |
PRさん | いや(笑)、震災を風邪だと思うと‥‥。 |
糸井 | はい。 |
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PRさん |
冬が近づいてきたら、 「冷えないように1枚多めに着よう」とか、 「お風呂からあがったらすぐ頭を拭こう」とか、 ちょっと気をつけますよね? そのくらいの意識で備えるのがいいのかな、と。 |
糸井 | うん、わかります、レベルとして。 |
PRさん |
「風邪が怖いから活動しない」 「いっさい人には触れません」 そんなふうになってしまうと‥‥。 |
糸井 |
怖がりすぎですよね、何もできない。 風邪についてぼくは、 いろいろな方とお話をする機会があったので わかるんですが、 「主に口で触ったものから感染する」とか、 そういうのを知っているだけで助かるんですよ。 |
PRさん | 知っていることは大事ですよね。 |
糸井 |
「インフルエンザの予防接種は効かない」 といううわさをよく耳にしますけど、 ぼくは「ちゃんと効く」ことを知っています。 だからうちの会社は全員、 インフルエンザの予防接種が義務なんです。 そうすると、ほんとにかからない。 |
PRさん | そうなんですか。 |
糸井 |
だから災害対策の話でも、 「知っている」だけで ちがうことはけっこうありますよね、きっと。 |
山下さん |
そうですね。 あとは、 「想像する」ことをしておくだけでも、 かなりちがうと思います。 |
糸井 |
そうか、それも重要だ。 シミュレーション。 |
山下さん |
シミュレーション。 自分が会社にいるときの場合、 電車に乗ってるときの場合、 家でくつろいでるときの場合、 それぞれのシミュレーションをしておくことは 誰でもできる すごく効果的な備えと言えるかもしれません。 |
糸井 | 考えておく、ということですね。 |
山下さん |
はい。 そして会社としても、様々なケースを 組織でシミュレートしておくことが たいせつになりますよね。 |
糸井 | そうですね、ほんとにそうですね。 |
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山下さん |
3月11日は、 それをやっていたところと、 やっていないところで、 けっこう対応に差が出ました。 東京都心の外資の企業で、 「すぐ帰りなさい」と、 社員を強制的に帰宅させたケースがありました。 これは大災害のときには あまりよくないやり方ですよね。 |
糸井 | あっという間に帰宅困難になりそうな。 |
山下さん |
そうです、 災害で交通網が麻痺しているようなときには、 会社が安全であれば、 しばらくそこに留め置くのが基本パターンです。 |
糸井 |
外資の企業は地震について あまりイメージがなかったんですね、きっと。 |
山下さん |
地震の想定はしていなかったのかもしれません。 ただ、緊急時の対応は 外資のほうが進んでる面もあるんですよ。 それは、9・11のテロがあったから。 |
糸井 | ああ、そうだ。 |
山下さん |
あの出来事を機に、 アメリカの企業は 緊急時の対応マニュアルとか 事業の継続プランなどを 日常から考えるようになったんです。 なのに、 この前の地震では、あわてて帰宅させてしまった。 |
糸井 |
いやぁ、それは責められない、 怖いですから。 まあ、ここでまたひとつ、 「あわてて帰宅しない」というのがわかりました。 |
山下さん | はい。 |
糸井 |
そのことについては、 うちはとくに会社で話し合ってなかったんです。 ですから3月11日は、それぞれでした。 帰宅した者もいれば、 電車が動き出すまで待機して帰ったのも、 そのまま会社に泊まったのもいました。 |
PRさん | 自然にそうなったんですか。 |
糸井 |
そうですね。 「帰れないなら泊まればいいし、 帰れてもひとり暮らしで不安なら 会社に泊まりなさいよ」 っていうのは言いましたけど。 けっきょく、 何人かが1泊して翌日に帰宅しました。 |
山下 |
災害時の基本パターンを ふつうにされていたわけですね。 |
糸井 |
たまたまです、ほんとにたまたま。 でも、あわててる人はいなかったので それはまあ、よかったんでしょうね。 |
□様々なケースを想定して
災害時の行動をシミュレートしておくことは、
誰にでもできる効果的な備えになる。
□会社も、災害時の動きを
組織でシミュレートしておくことが重要。
□災害で交通網が麻痺しているときには、
会社が安全であれば、
しばらくそこに社員を留め置くのが基本。
あわてて帰ろうとすれば、
帰宅困難者が増えてしまう。
(つづきます)