世代がちがうと環境がちがうから、
それぞれの世代なりのデザインの可能性を
あたらしく世の中に提示していく人たちは、
いつの時代にも、出てきているのだろうと思います。
ただ、これは
デザイナーだけの問題ではないと思いますが、
世の中のすべてのことが
すごく短いスパンで判断されてしまう、
という環境があるとは思うんです。
短いサイクルで、
いいかわるいか、成功なのか失敗なのか、
と判断をくだされることが多い……。
また、消費をする側も
そういうサイクルに慣れっこになっていて、
あまりにもはやいサイクルで
刺激を与えられつづけると、
次の刺激も、はやく欲しくなる……。
そういうことで
サイクルがとてもはやくなっているわけです。
そのことによって、
はやいサイクルにこたえることができる
デザインというものが、当然、求められていきます。
そういう傾向というものは、いいもわるいもなくて、
社会の大きな動きとしては
そうなっているのであって、デザインも
確実にそうなっているのではないかと感じます。
デザイナーというのも、
やはり、世の中から生みだされるもので、
どの仕事もそうなんでしょうが、
特定の環境から、生まれるものですよね。
たとえば、
戦争をしてしまっているような環境にいるときなら、
やっぱり、すごく深刻になるでしょう。
明日のごはんを食べることに、深刻になるときなら、
そこでは、もっと深刻なメッセージが求められます。
ガムのパッケージで
ペンギンが、手をあげているか、手をあげてないか、
なんていうことは、
とてもじゃないけど言えなくなるし、
そんな遊びが、
その環境では、何も機能しなくなる、
というような職業なのだとは、自覚しているんです。
今、実際に、そういう環境が、
世界中にやまほどあるわけですし。
つまり、
「環境がデザイナーを作っていくもの」なので、
今の若い世代がどうというよりは、
時代の大きな流れが、
若い世代を作っていくとも言えるわけです。
だからこそ、
「短いサイクルで
モノのよしあしが判断されるのが、
ほんとにいいか、このままでいいか」
ということは、よく思うんです。
だから、自分としては、
「ひとつの商品を
非常に長い期間でメンテナンスしていくことは、
ちゃんとやっていたい」とは思うんです。
十数年たずさわっているものがいくつもありますし、
「はじめの商品設計から、
まず、チカラのある地面や環境を準備して、
そこにチカラのある構造体を作って、
その上で装飾性を兼ねそなえていれば、
装飾がどんなものであれ、構造体は崩れない」
という仕事を実践してきているので、
そういうことを、世の中に知らしめて、
そのやりかたが、すこしでもプラスになることなら、
利用してもらいたいな、とは思うんです。
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