僕たちの 花火の連絡、 見えますか。  スコップ団 平了+糸井重里 対談
第8回 想像力の反射神経。
糸井 スコップ団の花火の
目的がちゃんとわかってる人だったら、
きっと、花火といっしょに
空に報告してくれると思います。
寄付してもデカい顔なんてしないと思う。
うん、絶対そうですね。
糸井 逆に
「もうちょっと僕に
 趣旨がわかるように説明してくれたら
 出してもいいと思ってるんだがね‥‥」
という人は、お金は出さない。
「君たちの言ってる中に
 この要素が入ってたらなぁ、
 そうすれば僕は協力を惜しまない」
という人に協力された憶えは
あまりないです。
つまり、手より口が先に出てる人。
そうなんです。
口よりもまず想像力が先にいって、
活動や生きざまに入っていく人は
すごく反射神経がいいんですよ。
糸井 反射神経かぁ‥‥それもセンスなんだね。
そうだと思います。
心の反射神経というか、そういうのが。
糸井 うん。「想像力の反射神経」って、あるね!
ありますね。
糸井 そして、それは正解を出せますね。
出せますね。
それは、その都度の正解であるだけで、
人生の正解かどうかはわかりません。
ただ、そのときのベストを尽くすことだと、
僕は思います。
疲れてるとそれはできないから、
疲れないようにする。
糸井 でも、平さんはほとんど休んでないし
頭の中はまず、ぜったい休めないでしょう。
でも、想像力の反射神経は
落としちゃだめなんですよね。
そういえば、ヒッチハイクのとき‥‥
糸井 ヒッチハイク、したの?
はい。
糸井 ヒッチハイカーって、やっぱり怖がられるもの?
はい。でもね、ほんとに
心の反射神経がいい人というのは
ずいぶん手前からハザードつけて、
止まってくれるんです。
糸井 そうなんだ。
それは、
昔ヒッチハイクをやったことがある人とか、
いま、現状、困ってる人です。
車がみすぼらしければみすぼらしいほど
止まってくれる。
糸井 ああ。
あとはね、外国人です。
外国人は、常に困ってるんでしょうね。
困っている状況下にいる人が
人にやさしくなるということは
やっぱりあると思うんです。
だから、避難所の人たち同士はみんな
「お互いさま」と言って助け合っています。
困ってない人ほど、それがわからない。

ほんとうは嫌なことだけど、
悲しみや困難が人を豊かにするんだな、
ということは感じました。

だけども、わからないことは
わからないからしょうがない。
ぼくは最近何度も言うんですが、
温度差というものは、ないと思ってます。
あるとすれば、それは人間性の違いです。
糸井 平さんはこれまで
ろくでもないやつにも
きっといっぱい会ったろうし、
遠くから石投げてくる奴だって、いたでしょう。
そうですね。
顔も見えないところで投げてきました。

でも、そういう奴らっておそらく
若いやつだと思うんです。
中学生とか高校生じゃないかな?
たとえば僕らがドライアイスを安置所に運ぶとき、
「だったら液体窒素を使え」
「くせぇんだったらファブリーズ使え」
とか、そういうふうに書きこんでくる奴らがいて、
これは大人の発想じゃないと思いました。
幼稚すぎる。
糸井 だけど、そういう書きこみが得意なのは
じつは40代、と聞いたこともある。
嘆かわしい。
糸井 子どもっぽいふりしてるだけじゃないかな。
どっちにしろ幼稚すぎるから
相手にしなくていいとわかりました。
糸井 あとは、平さんが相手だと
目立ちたくて何かやってくる奴もいるでしょうね。
僕なんかでもときどき
とんでもないところから
カーブ投げてくる人がいますから。
そういう奴のことを考えるほど、
人生というものは、暇ではない。
明日死ぬかもしれないのに
そんな奴のことで
悶々としてらんないです。
糸井 まったく暇じゃないですね。
やってきたことを
足し算していくことでしか
信用は、伸びないから。
かけ算ではいかないからね。
そうですね。
「君の親、あんとき何やってた?」
「うちのお父さんはスコップ団だよ」
「うちのお母さんはスコップ団だよ」
そう言えるだけでいいと思ってます。
糸井 誰かが覚えてて、
ある時代にそういうのがあってさ、と
語れるといいね。
はい。
スコップ団は3月9日で解散するんですが、
これからも要望があればその都度
スコップ持って出かけるつもりです。

ほんとうのことをいえば、スコップ団は
考え方として残ればいいなぁと思っているんです。

スコップ団の考えというのはつまり、
誰でも何かできるということです。
そして、かっこよくいえば、
あきらめなければいいということ。
かっこ悪くいえば、
かっこつけるということ。
糸井 うん。そうだなぁ‥‥、
かっこつけて、
あきらめなくて、
知恵を出す。
その3段階だね。
ほんと、それです。
かっこ悪くて、
すぐあきらめて、
知恵も出ない。
そんな奴が主役のマンガは
『ドラえもん』だけでいい。
糸井 それなら『ドラえもん』じゃなくて
『のび太くん』ってマンガだよ。
そうですね(笑)、
あれは『ドラえもん』だし、
それにのび太はすごくやさしいから、まぁいい。
糸井 そうだね、取り柄がある。
『しずかちゃん』っていうマンガ、どうかね?
ずーっとお風呂入ってる(笑)。
それはいいかもしれない(笑)。
糸井 きっと花火が終わっても
僕らはスコップ団のこと、
応援しつづけるんだろうなと思います。
だけどまずは、花火を実現させることだね。
そうですね、ほんとに。
ぜひ、よろしくお願いします。
糸井 ぼくからも、みなさんに、
よろしくお願いします。
平さん、お話をありがとうございました。
ありがとうございました。
(終わり)

対談場所 協力:エフエム仙台
2012-02-17-FRI
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