GIRL
テレビ番組「ザ・スクープ」を
スクープする。

第1回 はじめて見たとき

テレビ朝日系列「ザ・スクープ」(土曜日23:30〜)
をつくるひとたちが最初に麻布に訪れてきてくれたのは、
去年の11月はじめのことです。

それから、ぼくたちほぼ日スタッフは
糸井重里事務所(通称麻布鼠穴)にいながら、
そのうちのひとりのディレクターのかたと
ちょくちょく会うようになっていきました。
徹夜ライブを中継するという企画のときも、
みんなで夜中にラーメンを食べに行くときも、
そしてもちろん取材の打ち合わせのときにも。
ほぼ日特製Tシャツの発送のなかで度を超して
乱雑になっちゃっていた11月下旬の事務所の様子も
すごくよく知っているかただと思います。

そんな風に鼠穴のいろんなところを
見てくれていたかたのつくった番組が、
1月29日(土)もしくは2月4日(土)の23時30分から
放送されます(日にちは決まり次第おつたえいたします)。
冒頭のテレビ朝日系列「ザ・スクープ」なのですが、
ほぼ日でも「あのくさ、こればい!」で
毎日いろいろな角度から執筆してくださっている、
鳥越俊太郎さんがキャスターの番組になります。
実は「あれくさ、こればい!」の連載開始も、
鳥越さんとの今回の対談後に雑談で
darlingが「書いてくれます?」と
言ったのがきっかけになっているのです。

そういう番組を逆取材するっておもしろそう、
むしろ、放送日までもりあがろうじゃないかー!
そう思ってわたくし木村はまず先週の1月13日に、
制作会社「テレコムスタッフ」に
インタビューに行ってきましたのだ。
で、びっくりした。

どうびっくりしたかについては、
このインタビュー連載が
ひといきついたあとに言うことにします。
それではさっそくインタビューをどうぞ。



(右から、長嶋さん、鈴木さん、根岸さん、齋藤さん)

---- 取材対象を糸井重里に決めたきっかけは?
長嶋 「ザ・スクープ」でやわらかめのテーマを
やりたいというのがあって、それでやっぱり
「ザ・スクープ」が基本的にはコンテンポラリーな
テーマをやる報道番組なので、語れるようなひとの
対談を中心にということでしたので・・・。
ぼくは糸井さんがホームページをつくる、
インターネットというあたらしいテーマに
関わりはじめたのが、むしろ遅すぎるって思ったの。
あれだけトレンドというか時代の先端を読んで
いろんなブームをつくってきたひとにしては、
おととし糸井さんがインターネットを立ち上げるって
きいたときには、正直、「何を今さら」っていう
感じがしたんですよね。逆にそのぶん、
「何を今さら」と世間的にいわれる時期に
そういうことをはじめるわけだから、
たぶん相当な覚悟なり、
インターネットなりホームページなりの
ある種の可能性とか本質とかを見極めたうえで
はじめてるんだと思って。まあほんとに4、5年、
もうちょっと前ぐらいからインターネットとかが
ブームになっ来てたから坂本龍一さんたちが
はやくはじめて、そういうひとたちに比べてあの、
糸井さんを通してのほうが、
むしろ今のインターネットのありかたとか
ホームページのありかたとかが
よくわかるんじゃないかということで
糸井さんをどうか?というふうに
---- 番組のみどころは?
長嶋 それはね、ぼくはあまり現実にかかわって
いないから現場の制作にきいてほしいけど、
ただやっぱり報道番組なんですよね、
「ザ・スクープ」は。
そのなかの特集っていうのは、
やっぱり、何らかの社会に対するテーマだとか
ジャーナリズムみたいなのがそのなかに
はいってこないとおもしろくないだろう、
というような感じを個人的には思いますね。
もちろんそのひとの人物を
ほりさげるということはあるけど、
そのひとの人物をほりさげることによって
なんか見えてくる、何か社会ありかたとか
これからの日本みたいなね。
そういうのを考えているでしょ? 
だから今まで見たやつでも、中坊公平とか、
ああいうひとのほうがわかりやすいわけですよ。
政治経済の中枢にいて、
いろいろなことを動かしてて・・・。
だけどやっぱ手塚真さんとか映画監督なんかとか
そういうひとになると、ちょっと何だろうと
思うときはあるけど、何を言いたいのかな、
このひとは?というところはあるけど、
だからちょっと今回糸井さんを取り上げたのも
そういう意味ではもうちょっと
80年代や70年代の文化みたいなものを
ものすごくある種どこかで背負って
一生懸命やってきた、その当時の時代のメディアなり
コミュニケーションみたいなのとのありかたと、
今現在インターネットとのありかたを通して
見えてくる新しいメディアというか
人間としてのコミュニケーションのありかた
みたいなのがもうちょっとはっきり俯瞰できると、
おもしろかったんじゃないでしょうか。
で、たぶんもう糸井さんは
「この時代のことはもう語りたくない」
というモードに入っていると思うけど、
やっぱりここがこうしっかり見えて、
その時代がどんな時代だったのかというのが
しっかり見えたうえで今を見ると
もっと鮮明になると思うんで、
ぜひそのことを今度はながい番組でそういったことを、
「クリエイティブとは何か」
というのをやらせていただけたらな、
と思いますけれども、よろしくおねがいします、と。
---- 糸井事務所に来た第一印象は?
鈴木 最初に事務所に行ったときには、
不便なところにあるなあ、と思いました。
根岸 変わった服着てるなあ、と。
鈴木 とっても疲れてるなあ、って思いました。
だからあんまりド寄りアップで撮ると
疲れが出ちゃうな、って思いまして。
根岸 あんまりアップにするな!って。
鈴木 帰りにすぐそうやって言ったような気がします。
根岸 わたしが最初に行ったのは11月の2日でしたっけ? 
それで私「これのディレクターをやりなさい」って
言われたのが11月1日くらいだったのかな? 
だから「え?」って飛び上がっちゃって。
え、糸井さん?って。
糸井さんって今何してたっけ?と思ったんだけど、
わかんなくて。それくらいすごく失礼な
話なんだけども、不勉強な話なんだけど、
あらっ?とはたと立ち止まっちゃったんですよ。
それで長嶋や鈴木からきいて
「ほぼ日刊イトイ新聞っていうのをやってるんだ」
ってはじめて見たんですよその時に。
で、もういろいろ忘れちゃったけど、
かなりびっくりしたんですよ。
インターネットとか仕事でいろいろ
使うわけですけど、情報収集とかネタ探しにね、
テレビなので。いろんなことで使うんだけども、
それそのものはあまりおもしろい媒体じゃないなと
思ってまして、いい加減な情報も多いし、
あとはまあ、飽きてましたよね。
1年か2年かそれ以上ずっと
インターネットとつきあってきたけれども、
おもしろいウェブサイトもぜんぜんないなあーって
こうぼんやり思ってたところに、
まったく質の違うすごいサイトがあるっていうのが
最初の感想というか印象で。
鈴木 彼女にディレクターやって、って言うときに、
私もどういうように・・・
「糸井さんがインターネットを
新しくはじめたからディレクターやって」
って言うと、すごくつまんないじゃないですか? 
でも「とにかく見て」って言ったんですよ。
わたしもぜんぜんそういうの興味なかったんですけど、
どうもそういうのを糸井さんがやってるって
いうのは知ってて、で、なんか、
「糸井さんに行こう」
って長嶋のほうから言われたときに
まずすぐ見たんですよ。
すごいおもしろい。
でもいちいちくちでどこがおもしろいかって
説明するんじゃなくて、見たらあれって
おもしろさがわかるじゃないですか。
それをまず根岸に言って、ま、でも
打ち合わせがすぐ来ちゃったんでまずご挨拶して
「とにかく見て」って言ったら「おもしろい」って。
根岸 その「おもしろい」っていうのがどういうふうに
おもしろいってのが言えないくらいにおもしろかった。
もうどぎもを抜かれちゃって、
あとうかうかしてられないっていうのをすっごく思って、
そういうのが頭んなかにぐるぐるになっちゃった状態で
糸井さんに会いに行っちゃったっていうのが
正直なところですね。
それとあと、うちの会社のひと、
だいたい100人くらい出入りしてるんですけど、
「ほぼ日」って知ってるか?ってきいてまわったら、
すごくはっきりとわかれて、
インターネットというものに興味のないひとたちは
まあまったく知らない。
逆にインターネットというものに深く関わって
おもしろがっているひとはみんな知ってるという
状態だったんですよ。
そのこともね、なんかどうやら、
なにかこうインターネットが出はじめのころに
さわがれていたのとはまた違った
なにか大きい動きがあるんじゃないかなって。
なんかひとびとを二分してしまうこと
なのかもしれないし、
なにかがはじまるという予感が
かなりありましたね。


(つづく)

2000-01-13-MON

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