GIRL
テレビ番組「ザ・スクープ」を
スクープする。

第2回 どのように対談をもっていく?

1月29日(土)または2月5日(土)の
23:30からテレビ朝日系列で放送される
「ザ・スクープ」をスクープしています。
 ひきつづき、制作サイドへのインタビューですっ。


---- どんなふうに取材を構成しようと思いましたか?
鈴木 まずは対談という形式がありましたよね、
鳥越さんとの。
なにをきいてもらいたいかのポイントを
しぼるところからたぶんはじめてて、
それで根岸は糸井さんのところに
ずいぶん行ってたので
ききたいことももりだくさんだし、
あと糸井さんの気持ちみたいな
ものもわかってきているので、
こういうふうにきいたほうが
いいんじゃないか?ってすごく悩んでた。
何回もスタッフが会って、
けっこう何回か練り直しみたいなのをして。
だからあの1ヶ月間というのは、
糸井さんに会いに行ったりとか
鳥越さんの著書を読んだりとかしながら
彼女がどういう対談をまずポイントにするかを
考えている時間だったんじゃないでしょうか。
根岸 むつかしいー、と思っちゃって。
おもしろいっていうことはとってもわかったけど、
そのおもしろさをじゃあこんど
どう伝えたらいいのかと思うじゃないですか。
長嶋はさっき言ったみたいに、
メディアの今というそのなかで
インターネットをひらいたっていう・・・
マスメディアのなかで頂点にいた糸井さんが
まだ未開発なインターネットの分野で
次に何をやるのか、そのことを解き明かすのは
とてもおもしろいことなんだろうけれども、
報道番組としては必要な視点だと思ったんだけども、
それの前に何かこの、糸井さんがそういう話を
今したい感じじゃないというのも、
感じとしておつきあいしていくなかであったので、
じゃあ何をいちばん伝えたら糸井さんもうれしくて、
わたしもうれしくて、見てるひともよかったと
思うのかなというのを考えてて、それは
単純にそのホームページを見たときの驚きを、
何でこんな内容のことを毎日更新するのか、
そのエネルギーっていうのは
何かっていうことをとにかく伝えようと、
それくらいしか15分っていう尺(しゃく)
としてもできないだろうなということに
だんだん思い至ってきて、それだけでも
できればいいなって思って今までやってきて、
今も悩んでる途中っていうことなんですけど。
長嶋 対談っていうのはさあ、ほんとは
このひとのやり方はうまくないんです。
根岸 そうなんです。
長嶋 対談っていうのは、
要するに論が対立したほうがいいわけでしょ? 
そうすると、当然鳥越さんは
糸井さんに対立する或る論点で
糸井さんにきいていったほうがいいよね。
だから、鳥越さんは明らかにそういうことを
ジャーナリストの嗅覚でわかっているから
「じぶんはホームページなんか、要するに
つまらないむだばなしにすぎないと思う」
というようなことを提起するわけですよ。

だから、言ってみればある種、演出側の
役割というのは、対談というか特にターゲットに
なるひとにインタビューする場合には、
そのひとのやっていることに対して
ネガティブな質問をどんどんぶつけるという
ことなるんですよね。ほんとはね。
ちょっとそこらへんが今ひとつ整理されてなくて
それで結果的に鳥越さんが現場で
ちょっと挑発的なことを言うんですね。つまり、
「糸井さんの時代はもう終わったと思う」
と。今になってインターネットを、と言ったときに
彼はある種いやな質問だとは思うけれども、
そこまでになぜ至ったのかとかいうその、
80年代後半からのじぶんの迷いなりそういう心情を
言うわけだから、そこのところを。
つまり今、その何かインターネットという
あたらしいメディアがあるらしい、と。
そのことに乗り遅れないように
しなければいけないらしい、と
ビジネスをやっているひとたちは
みんな思ってるわけよ。

だけどそこにふみこめないひとたちがいて、それと
糸井さんの苦悩のみたいなのが重なったときに、
見ているひとたちは共感するというか、
なるほど、じぶんたちものぞいて見ようか、
っていう気持ちになるでしょ? そのへんは
やっぱり鳥越俊太郎さすがだなと思ってね。
彼はそういうところわざと言ってる。
そういうことを非常に挑発的に。

そこまではね、むしろ根岸が
そのちゃんと密にやるなかでね、そこらへんを
簡単にぼこんと質問を提出できなくなるような
気がするんですよ、なかよくなると。
例えばあなたとぼくとの関係だと
何にもわからないから、
どんなことをきいたっていいわけでしょ? 
たとえばあなたどこの出身なの?とかさ。
そういうのってさ、番組、特に報道番組にはさ、
そういうぞんざいさが大事なの。
相手がむっとしながら
「何きくんだよ」っていうことを感じながら
でもこたえざるをえないようなの、そのへんは
だからむつかしいんだよね。
根岸 だからみんなに言われましたもん、
「あんたは糸井さんを
好きになりすぎちゃった」って。
だからそれはほんとに
だめなことだったんですけど、
でも好きにならざるをえない
何かがあると思いませんか?
思わず応援したくなっちゃうし、
あれだけのひとだから
わたしたちのできないことを
してくれるみたいな。

それってほんとに制作者側の
言うことじゃないんだけど、
もう見てるひとみたいな気持ちに
なっちゃってるんですけど、
なんかそういうことが言外に出てれば
いいなって気持ちもするじゃないですか。
そういうこととそうではないところとが
なかなかできない。
鈴木 糸井さんのひとがらのよさみたいなのって、
ほんとにはじめてお会いしたときに
ひとがらのよさってわたし
すごいびっくりしたんですよ。
もっとあくの強いひとだと思ってたし、
もっときついひとだと……。
根岸 もっといやな人だと思ってた。
鈴木 その、頭のよさを変におもてに出さずに
ひとと話のできるすばらしいひとだなと
思ったんですけど、で、たぶん、
15分という枠ではむつかしいんですけど、
たぶん彼の自分個人の人生と重なり合って
インターネットをはじめたっていう部分が
うまく出ればいいと思ったんですよ。
対談のなかのあるものを使っているのですが、
それを見たときに、
「あ、糸井さんの悩んでいるところが
個人的にあって、ここに踏みきったんだな」
というのがすごくよくわかるシークエンスが
あるんですけど、わたしは
そこがすごく個人的にいいなあと思って。
根岸 長嶋さんはやっぱり理屈が好き派じゃないですか。
長嶋 大事なことは何なのか、
ってところを言ってるんです。
鈴木 ……みんなこんなふうにして
たとえばここに4人いるとすると、それでこうして
ああでもないこうでもないとか言ってるんですよ。
しまいにはある程度かたまったものを
テレビ朝日のひとに見ていただいて
ああでもないこうでもないって
言って、あるかたちに。

(つづく)

2000-01-18-TUE

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