GIRL
テレビ番組「ザ・スクープ」を
スクープする。

第5回 なんでそんなにベタな

1月29日(土)または2月5日(土)の
23:30からテレビ朝日系列で放送される
「ザ・スクープ」をスクープしています。
 ひきつづき、制作サイドへのインタビューですっ。


鈴木 潜在的に書きたいことを持ってるひとを
見つけるのがうまいってそれをすごく思いまして、
鳥越さんなんかはたぶんそういうところを見抜かれて、
こないだお会いしたときも
喜々としてモバイル片手に(笑)。
根岸 心の隙をつかれた、って感じがありましたよね。
鈴木 すごくみなさんからの反響があるのも、
テレビと違う双方向性みたいな、
テレビがいちばん望んでいることを
実感してるっていうふうにおっしゃってましたね。
根岸 そういうおとなのひとを本気にさせるっていうのは
ちょっとほかのひとにできることではないと思います。

ちょっと話ははずれるけど、思うのは、
20代から30代のひとがほぼ日の読者に多いって
言ってましたよね。女のひとが特に多いって。
それ、わたしも28歳なんだけど、
何かやりたいんだけど、
今はじぶんに力がないとか技術がなくってできない、
でもすっごくやりたいっていう気持ちだけはあるっていう
ひとをとっても刺激するホームページだと思って、
わたし、これのちょっと前に、20代のひとたちの
転職を追った番組をつくったんですけど、
やっぱりみんなそうだったんですよね。
何かをやりたいっていう気持ちは強烈にあって、
それは「できない」っていうことに
負けたくないっていうのがあって。
それと、やっぱり時代状況っていうのがありますよね。
そうは言っても就職口そうそうなくて、
転職だってうまい転職先がない。
でも、そんなことに負けてられないよっていうような
ケツまくり感みたいなのがあって、
この時代を超えなければいけないっていうようには
誰でも思ってると思うんですよ。
で、今回の15分番組っていうのは、
そこでそれでもまだうろうろしちゃうとか、
まだどうしたらいいのかわからない、とか、
まだやる気になれない、とか、
変な重い雲が垂れこめたような気分のままに
いるひとたちがまだまだいると思ったので、
そうじゃなくてやろうよ、っていう内容に
今回の15分はなってるんですけど、
こういうことは今回でできればおわりにして、
その次、やっぱり、「じゃあ何するんだ」っていう
方法論というものを探ることがどんどん必要になるし、
どんどん見たいひともいるし、ほんとはもう
そういうことを今回だってできればよかったのかも
しれないけど、いろんな視聴者の立場が、
どこにあるのかを見極めづらいっていう状況があって、
見る人によって
「何だこんなことわかってるわ」
と思うひともいたり、
「全然わかってなかった」
と愕然とするひとも、
いろいろなひとがいると思うんですけど、
とりあえずこれを見て、やらなきゃならないのね今は、
というのをわかってもらって、その次の方法論って
いうのをいっぱい考えよう、っていう気持ちに
みんながなってもらえば、おもしろいのになあ、って
すごく思います。

だから次のクリエイティブの番組というのは、
きっとそうじゃないですか?
糸井さん今回の見たら
「まだそんなこと言ってんのかよー?」
って言われるかも、とか思うんですけど(笑)。
長嶋 次の番組はクリエイティブの定義っていう。
根岸 定義じゃないですよ。
「クリエイティブが未来を開く」
って言ってましたよ。
長嶋 なんでそんなにベタな(笑)。
根岸 糸井さん最近ベタなんです。
徹夜明け(11月のほぼ日徹夜生中継ライブ)で
みんなでハイになってたとき、
ほぼ日Tシャツをこうやってカメラに見せて
「このTシャツを着て牛乳を飲めば、倍おいしい!」
とか言って。言ったあとに、
「おれはもうだめだ(笑)、
コピーライターとしてはもう」
とか嘆いてた(笑)。
そんなことがとってもおかしかった。
----- 次の番組については?
長嶋 ぼくも未来潮流っていう番組を何本かやっていたので、
対談のおもしろさもすごくよくわかるし、
対談のおもしろくなさもわかるんです。
非常に予想できる、と。何かその、
クリエイティブってすごく抽象的なものだから、
もうちょっと何か抽象的なテーマを扱ううえでの
おもしろい方法っていうのがなんかあるような気がして。

人選にしてももちろんテレビ的には
必然のあるひとたちが出てくるんだけど、
今「方法論」っていう話が出たけど、
そんなものを期待する時代はおわったっていう
ことなわけなんだよね。たぶんね。
マス情報だとか、お上の方針みたいなのがあって、
そういうのに期待するのもさ、なんだかな?
っていうようなのになるじゃない。
マニュアル本っていうか本屋行ってじぶんで
インターネットをしたいんだけど、とか言ってる本を
買ってくる時点でもう負けだとか
そういうのがあるわけでしょ? 
そうなるとさ、俺なんかだとじゃあ、
いかにコンピューターの機能を知らずに
インターネットのエッセンスをつかめるかっていう。
根岸 ひねくれてるよねー、ほんとに(笑)。
長嶋 昨日ニュースステーションで
野中官房長官が出たんですよ、で、野中さん
21世紀に向けてどういうことやらなきゃいけないかって
いうことを久米さんがきいて、野中さん
いろんなことを言うわけですよ。
何か教育問題がどうとか、それで久米さんがね、
あのひとはすごいひとだから、
ぽっと言ったんですよ。ぜんぜん閉めずにね、
「そんなことはあなたに考えてもらわなくても
大きなお世話だと思ってますよ」
って言うんですよ。
根岸 え、そんなこと言ったんですか?
長嶋 うん。それでそのことに関してまわりがみんな
何もひきとらないから、横の解説委員のひとが
「まあ何とか」
って言ってまとめたわけだよね。でもね、あのひと、
久米さんはすごい直感的なある種天才だから、
「そんな時代じゃないんだ、
お前なんかに頼る時代じゃないんだ」
っていうのを暗にメッセージにするわけですよ。
だから俺なんかはおもしろくて、
おもしろいというかそこのとこだけが、
「やっぱ久米さんってたいしたひとだなー」
と思って。なんかやっぱりね、
いったん退いたひとたちっているのよ。
つまりあの、糸井さんもそうだけど、
久米さんもたかだか2ヶ月3ヶ月のことだけど、
そこで退いてちょっと俯瞰するわけじゃない? 
で、こないだ井上陽水さんと仕事したんですけど、
あのひともそうとう退きがちだから、
そのあいだに考えてることはね、
すごい本質的なことを考えてるんですよ。
で、彼なんかはつまり全然売れない、
新しいアルバム出したのに、
8万くらいしかいかなかった、新作が。そういうとき、
いろいろ考えてることがあるんだけど、ひまだから。
で、「ひま」ってのがすごくよくて、
ひまの間にいろんなこと考えるわけでしょ? 


(つづく)

2000-01-21-FRI

SCOOP
戻る