もしも能力を上げるとしたら その3

(前回までの、もしもの世界)
コミッショナー力というものを身につけて、
世界の格闘技統一という夢を描く関根さんに、
「では、魔法を使えるとしたら、
 同じことをやりますか?」
と訊いてみました。
そうしたら、関根さんは突然、
宇宙人と話をしてみたい、というのです。

関根 僕ぁ、地球というものをね、
誰も泣いてないような星にしたいんですよ。
ほぼ日 誰も、泣いてない‥‥?
関根

まあね、魔法っていうんだったら、
きっと簡単で、すぐできちゃうでしょう。
でもね、すぐできちゃうことって
きっと、すぐ戻るんです。
だからこそ、一度の魔法で
そこにいる人をどうにかするのではなく、
魔法を使って宇宙人にお願いするんです。
たとえば、アフリカだと
人間が善意でもって
野生の動物たちを保護してますよね?

ほぼ日 はい。
関根

そういうように、
ある高等な宇宙の生命に
地球に来てもらって、保護してもらうんです。

ほぼ日 それは、地球上の我々では
どうにもできないものでしょうか。
関根

それが、残念なことに、
人間が人間を支配しようとすると、
どうしても、もめるんですよ。
結局、ずーっと、紀元前から
何千年も、世界中で
もめっぱなしですよね?
そこに、宇宙人が降りて来るわけですよ。
宇宙人は、どうするかというと、
マンツーマン作戦
取るわけです。

ほぼ日 え?
関根 どういう作戦かといいますとね、
地球人ひとりに対して
宇宙人がひとり、
ぴったりくっつくんです。
ほぼ日 で、どうするんですか?
関根

それぞれの人間の行動を見て
チェックして、
知らないうちにあやつるんです。
そうすると、
オレオレ詐欺、
結婚詐欺、痴漢、

ぜんぶなくなります。

ほぼ日 あやつるから。
関根

それは、ほんとうに
人間がやっちゃだめなんです。
宇宙人でないとできないんですよ。
人道的に、いろいろと問題があるでしょ?

ほぼ日 宇宙人だと「人道的どうこう」を
気にしないから。
関根 こっちはもう、
征服されちゃってる
わけだから
文句が言えないわけですよ。
ほぼ日 しかも、知らない間に
征服されているわけですよね。
関根

そうそうそう(笑)。

ほぼ日 関根さんが魔法を使って宇宙人にお願いした、
といういきさつ以外に
宇宙人は、どうしてそこまで
地球に干渉する動機があるんでしょうか?
関根 僕の妄想によると、
地球がこのままだと滅んでしまうのが
宇宙人にはわかるからです。
地球が滅ぶと微妙なバランスが崩れて、
その宇宙人が所属しているところにも、
影響があるからです。
ほぼ日 宇宙人には宇宙人の思いがあって、
地球が滅びないように、やってくるんですね。
関根

銃社会もなくなるわけですよ。
もちろん戦車も戦闘機も、

ほぼ日 消える。
関根

宇宙人に支配されてますから。
国同士で争う必要ないんですよ、もう。
あやつられて、いい社会になってるから、
各家には鍵もないですよ。
だって、泥棒、いないから。
窓もバーンと、開けっ放し。

ほぼ日 はははは。
なんだか、たのしそうな
いい社会な気がしてきました。
宇宙人は、何百年に1回、
などの割合で、
地球にやって来るんですか?
関根 そうじゃなくて、
人間はずーっと管理されるんです。
だけど、人間は
自分たちで生きてると思ってる。
そういう構造ですね。
ほぼ日 でも、魔法を使った関根さんだけは
そのことがわかってるんですね。
関根 そう、どうしてこんな世の中に
なったかのかということを僕だけが知ってる。
あのね、自動車なんかないですよ、
飛行機もないですよ。
ほぼ日 では、海外旅行とか、貿易とかは?
関根 海外なんか、行く必要ないじゃないですか。
経済だって、その国で
がんばればいいじゃない、ねぇ?
自給自足ができるように
全部宇宙人がやってくれますから。
だって、よその国のことを知らなくったって、
生きて行ける時代があったでしょ。
ほぼ日 そうか‥‥。
なんだかんだ、人間は
ロマンなどといって探求しちゃいますからね。
関根 それはどうなんでしょうねえ。
それはやっぱり、前頭葉が
いけないんじゃないですか。
ほぼ日 ああ、なるほど。
人間、複雑ですね。
関根 ですから、もう征服されるしかないんですよ。
とほほ‥‥ま、
そういう宇宙人との交信や交渉が
できる魔法がほしいです。
ほぼ日 なるほど、なるほど。
関根 楽でいいですよ。
宇宙人まかせだと。
ほぼ日 交渉する関根さんは
大変だと思いますけども‥‥
大事なポイントは
「知らないうちにマンツーマンで」
というところですね。

関根さんの妄想力は
あっちをつついてもこっちをつついても
すべてがやわらかく、しかし緻密に
できあがっていました。
ふだんの暮らしの中で「もしも」と考えて、
いったん妄想しつくしておくことは
とてもたのしいですよと
関根さんはおっしゃっていました。
そういえば、友だちと
徹夜しておしゃべりするときって、
たいてい最後はこんな話になっていたりします。

妄想スペシャリストの関根さんの言葉を
ときどきおさらいしながら、
「もしも」の遊びを、また思い出して
やっていきたいと思います。


今回で、関根勉さんの「もしもの世界」は
おしまいです。
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2008-09-12-FRI
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