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うずみ豆腐とは何かというと、
江戸時代の料理書『豆腐百珍』に出てくる豆腐料理だ。
今もそれとは若干形を変えて、
京料理として生き残っているらしい。
プロが作ったものを食べたことはないのだが、
自分で作ってみたことはある。
醤油仕立てのあんかけ豆腐の上に、白飯を盛った。
悪くなかった。

基本はそういう感じで「味つけした豆腐の上に、
ごはん、あるいはおかゆを乗せた」料理をいうようだ。
炭火を灰に埋めた状態を「埋み火」というが、
それに見立てた「埋み豆腐」とわけである。
小じゃれた、というよりは、
飲んべえが二日酔いの朝に考えたような、
さっぱりと胃にやさしい感じの食べものだ。

現代の飲んべえとしては、肝臓にいいといわれるウコン、
すなわちターメリックが入ったカレー粉を
そこに参加させてみてもいいのではないか。
朝カレーなるものも、
メーカーによって推奨されている昨今だ。
というほど最近は酒浸りでもないのだが、
普通に夏の朝にいいような気がした。

【材料】
・豆腐
・ごはん
・カレー粉、あと適当に台所にあったスパイス
・粉末かつおだし、塩、みりん

味をつけただし汁の中に豆腐を入れて、
箸やフォークなどでぐちゃぐちゃに突き崩し、煮る。
汁気の多いスクランブルエッグのようになれば完成だ。
カレー粉の量はお好みだが、
そんなにピリ辛にしなくても十分と思う。

豆腐をごはんで埋めるというよりは、
ごはんにカレー豆腐をかけるような感じになったが、
それはやはりカレー粉に対する礼儀だろう。
材料が豆腐だけとはいえ、
これもまた立派なカレーライスである。

だが食べた感じは、やはりカレーではなくて、
うずみ豆腐なのだった。
濃い味つけにせずに、豆腐とご飯の滋味を味わう。
別に二日酔いではなかったが、
じんわりと胃が温まる、いい朝食になった。

2010-08-26-THU
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