重松 |
おもしろいのは、
曖昧な部署でイキイキやってる課長は、
自らで「ロボット研究所の所長です」とか
勝手に作っちゃうわけ。
「夕日課長です」とか、自分で俗称を(笑)。
やっぱり、自分のキャッチフレーズって、
ほしいんですよ。
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糸井 |
今、中国では、こういうふうな
はたらきかたには、なっていないでしょうね。
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重松 |
まだ、ならないと思う。
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糸井 |
中国でもインドでも、
こんなふうにはならないと思うと、
日本が今いる場所っていうのが、
意外に、市場価値としては
魚のいっぱい住んでいる
豊かな海なのかもしれないって、
ちょっとだけ思えてきますね。
国際競争力的には弱いとかね、
いろいろ日本は、
ダメだダメだって言われてるじゃないですか。
もちろん、
ダメなところはダメであるわけだけど、
この雑魚の群れこそが、
付加価値の高いタタミイワシの原料なんだ、
みたいなところがあって(笑)。
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重松 |
そうそう、あれ、高いです、値段は。
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糸井 |
ちょうど最近、
百万分の1グラムの歯車を作った会社の
松浦さんだとか、
痛くない注射針を作った岡野さんとか、
そのへんの本を読んでいたんですけど、
今って、会社の中で課長をやっている人の中にも、
岡野さんや松浦さんみたいなの、いますよね。
昔だったら、上から圧力が来たときには、
戦ってスピンアウトするんだろうけど、
今はその、「上の力」自体が
なくなっているって感じがあるから。
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重松 |
そうそう。
結局、あたらしい部署が多いんです。
しめつけがあるどころか、
ワラにもすがる思いで
チョウザメ課を作ったわけで、
それは、現場としては、ラクかもしれないです。
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糸井 |
この本がたぶん、たとえば、
『ニッポンの事業部』っていうタイトルにしたら、
きっと、利益をあげているところから
取材しなければならないでしょう?
でも、「課長」という個人を見たから、
おもしろかったわけで。
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重松 |
そうなんですよ。
ヘンな話だけど、今は、
パーツを見るしかないと思うんです。
本には「十年後にまた会いたい」って書いたけど、
たぶん十年後に社長になっている人間は
いないと思うし。
たぶん、十年後に会社がなくなってる人も
いらっしゃるかもしれないわけで(笑)。
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糸井 |
いや、きっと、社長もいるんじゃないかなぁ。
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重松 |
社長もいる? ロボット研究所が独立したり?
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糸井 |
分社するなら、五人でやったっていいんだもの。
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重松 |
たしかに、ね。
課長さんには、一匹狼でやっている人も多いし、
けっこう、「スタンドアローン」みたいな味を、
取材をしている中では、何度も感じました。
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糸井 |
会社でも、どれだけちいさくできるかの競争が、
はじまっているのかもしれないね。
かつては、工業製品を小さくする競争が、
あったじゃないですか。
工業製品って、かならず
時代のメタファーでもありますから、
組織も後からその方向に行くと思うんです。
今は、スケールの大きさに、
メリットがなくなっているんだもん。
かえって、大きくなったからこその
リスクが増えているわけで。
今は、四番打者を揃えたジャイアンツが、
ちっとも人気ないじゃないですか。
一応、前からのブランド力で人気があるけど、
今からヨーイ・ドンってやったら、
やっぱりヘンなチームですよね、あそこは……。
やっぱりこう、ステキなチームって、
大きいだけじゃなくて、
軽くて、速くて、小さくて、強い、というか。
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重松 |
つまり、小粋なチームですよね(笑)。
小粋なチームがいいですよね。
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糸井 |
(笑)小粋!
で、ホロリとさせるみたいな感じが最高ですよね。
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重松 |
(笑)昔のヤクルトなんかがそうでしたよね。
関根監督時代は、小粋な負けっぷりがよかった。
巨根主義は、もう終わりなんでしょう。
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(明日に、つづきます!) |