重松 |
組織の中にできるルールって、
「宗教の発生」みたいなもんですよね。
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糸井 |
まったくそうです。
ブランドにしても、
何々先生のゼミっていうのも、
たぶん、ぜんぶの組織は、まずは
宗教のかたちにするしかないと思うんですよ。
「ほぼ日」だって、やっぱりそうですもんね。
それは否定できない。
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重松 |
ええ。
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糸井 |
ただ、ぼくが言っていることを
誰かが同じように受け継いでいくっていうことは、
きっと「ない」と思うんです。
同じように受け継ぐことがないかわりに、
「もっといいことが生まれるかもしれない」
とも思っているんです。
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重松 |
そこに興味があるんです。
「ほぼ日」が、糸井さんのセレクトショップならば、
そのときの糸井さんの選択に、
ぼくたちが信頼を置く、
というのがあるじゃないですか。
もしも、ですけど、糸井さんが引いちゃった後に、
どうなっていくのか……
それを、今の時点で、うかがったみたかったんです。
技術や段取りのところは、引き継いでいけても、
センスというか、性格までは、
たぶん引き継いでいけないですよね。
組織の中でのそういうものの受け継ぎは、
どうなると思っていますか?
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糸井 |
もちろん、そうなったときには
「違うもの」に変わっていくんだと思うんです。
ただ、ぼく自身も変化してますからね。
そういうところでは、たぶんぼくは、
「ちょっと鷹揚に構えていたほうが
いいんじゃないかなぁ」
と考えているんじゃないでしょうか。
「ほぼ日」でも、ぜんぶぼくの目が届いています、
という言い方をしなきゃいけない機会もあったし、
してた時期もあったんですけど、
今は、目が届いていないことを、
よしとしているんです。
たとえば、野球チームにしても、
監督が指揮をとってはいるんだけど、
あの選手がいなかったら、
このチームであるはずがない、
という選手、いますよね?
そういう状態の組織を、
ぼくは、「たのしい」と思っているんです。
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重松 |
なるほどなぁ。
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糸井 |
あんまりカリカリしてたら、
社員の伸びる余地がなくなるから……
っていって敢えてバカになる、というか。
ぼくが会ったすごい経営者って、
「なんとか頭を使っているバカ」
みたいな人が、多いですよ。
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重松 |
イトイさんの会社の社員に
子どもがいるっていうことが、
やっぱり象徴的ですよ。
世代的には、イトイさんは
「おじいちゃん」になったってことですよね。
……で、おじいちゃんは、やっぱり、
みんなに愛されないといけない(笑)。
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糸井 |
(笑)
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重松 |
ちょっとボケていて
「はいはい、あらあら、またこぼして」
って言われながらね。
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糸井 |
まぁ、おもらしぐらいは、しないとねぇ。
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重松 |
(笑)30代の経営者が事務所を作って、
若手が集まってくる会社には、
そんなことが起きないじゃないですか。
だから、カリカリもしてくる。
だけど、おじいちゃんの歳になっちゃうと、
「愛されるおじいちゃん」という経営者像って、
ありだと思うんですよね。
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糸井 |
うん。
やっぱり、ぼくの理想って、
藤田元司監督なんですよ。
ずっと近くにいさせてもらった時期に、
チームにどう接しているかを見ている中で、
やっぱりぼくは、藤田さんの
そこの部分を見ていたんだなぁと思う。
藤田さんは、選手に、あんまり、
利口そうなことは言わないんです。
だけど、説明をさせると、できる。
できるのに、しないだけなんです。
審判が、ものすごい細かいところの
ルールをまちがえたときに、
パーンと走っていく監督って、
あんまりいないですよ。
いざというときには
そういうことをできるんですね。
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重松 |
それでも、それをひけらかしはしない。
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糸井 |
しないんです。
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重松 |
確かに、川上監督を見て長嶋監督を見たら、
学習するんじゃないですか?
両極端を見ちゃうと、
いろんなことを思う……(笑)。
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糸井 |
ほんとにそうですね。
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(明日に、つづきます!) |