重松 |
今は、おじいちゃんブームって、
ありだと思うんです。
おじいちゃん独特の「隙間」がほしかったり、
「あたためてほしかったりすること」
って、きっと、いっぱいありますから。
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糸井 |
うん。
若いときって、失恋一発で、
人生がおしまいになるくらい
世間が狭いでしょう?
息子や娘がそういう失恋をしたら、
お父さんから見たら、痛いですよね。
でも、おじいさんから見たら、
痛いだのなんだの言う前に
「おぉ!かわいそうに!」
と言うだけですよね。
そのレベルまで話を軽くしちゃったら、
「また、恋をしてきな」とか、
「そのまえにおこづかいをあげよう」
ってなるでしょう?(笑)
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重松 |
いいですよね、それって。
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糸井 |
たとえば、
組織の中でやらなきゃいけないことを
「決まり」にしたほうがいいかどうか、
みたいなことも、
リーダーの判断としてはあります。
でも、ぜんぶを決まりにしたとたんに、
決まりごとが、暴力装置になっちゃう。
「そこは、まぁいいか」みたいなところで、
おたがいに文句を言いながらやってる、
みたいなところを、何十%は持たないと、
ダメなんだろうなぁ、と思うんです。
だからこのごろ、どんどん、
管理としては、
だらしなくなってきていて……
でも、そのだらしがなくなってる自分って、
「成長したなぁ」と思うんです。
意外でしょう?
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重松 |
なるほどなぁ。
確かに、ある種のバカ殿というか、下が
「参っちゃうよなぁ、ウチの大将」
っていう感じの余地って、なんか欲しいですよね。
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糸井 |
数年前に吉本さんにインタビューしたときに、
リーダー論として、
「何もしてなさそうに見える大将」
について話してくれたんです。
ぼくは
「吉本さんぐらいになると、
こういうことを言うんだなぁ」
と思って聞いてたんだけど、
会社のことに一生懸命になればなるほど、
それが理想だとちゃんと思えるようになるんです。
自分がそっちに近づいていくんですよ。
その鷹揚さのおかげでできている許容量に、
今は、なんだかワクワクするんです。
バカ殿になったことで、
明らかに自分が成長してるんです(笑)。
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重松 |
(笑)あはははは。
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糸井 |
(笑)説明しきれないんだけど、
きっと、ジジイになったおかげですね。
つまり、リーダーって、
かわいがられないと、ダメなんですよ。
能力があって、実績があれば、
人はその人のことを尊敬するし、
その人に対してホロリともしてくれますよね?
だけど、そこまでじゃない
「かわいがられること」っていうか。
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重松 |
愛嬌のあるリーダーって、いいですよね。
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糸井 |
仕事をするという意味としては、
仕事内容を機能として解体してくと、
「人間であること」
なんて、いらなくなるんですよね。
でも、
「もともと、人と人だからさぁ……」
というマヌケな部分が、あるはずで。
今まで、いろんな経営者の人たちに
会ってきてるんだけど、
不完全さがいい感じの人のほうが、
うまくいっていますよね。
欠点だって、
ないよりはあったほうがいいというか。
大きい仕事をする人は、
「アタマがキレる」なんて見せていたら、
ダサイですよ。
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重松 |
バカ殿って、だから人気あるんだ(笑)。
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糸井 |
バカ殿、いいですよね。
昭和天皇ぐらいっていうのが、
いちばんいいんじゃない?
迫力も残っていたし。
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重松 |
ええ。
愛されてボケてても、
威厳ってのはそこから来るんです。
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糸井 |
同時に、それが品であり……。
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重松 |
ええ、まさに「品と威厳」ですよね。
おそらくそこが、
叩き上げの初代の社長では、
得られないところなんでしょう。
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(明日に、つづきます!) |