重松 |
経営者セミナーなんかでは、
まだ結局は、戦国時代の武将が
ひとつのモデルになっているじゃないですか。
未だに「信長的なリーダー」とか(笑)。
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糸井 |
(笑)
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重松 |
でも、あれはほんとに
恐怖政治でやってきたわけで、
「キレる社長」じゃないですか。
だったらやっぱり、
天下泰平のときの将軍とかね、
そういうのをモデルにしたほうが、
実は今からの時代はいいのかもしれません。
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糸井 |
信長のようなデカいスケールの仕事は、
ないんだもんね。
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重松 |
その面ではやっぱり、
星野監督が阪神タイガースを率いて制覇した後の、
二代目の岡田って、いいラインじゃないですか?
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糸井 |
(笑)おもしろい。
パリーグの方には、大沢監督とか、仰木監督とか、
ときどき「和服の似合う監督」が
いるじゃないですか(笑)。
選手たちは、その監督たちのことを、
うれしそうに話すんですよねぇ。
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重松 |
愛されてるんだよね、やっぱり、
「突っこみどころ満載」っていうのが、
人間として好かれていて。
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糸井 |
やっぱり
「パーフェクトな機械になれ」っていう命令は、
書面上は成り立つんだろうけど、
誰も言うことなんか聞きやしない……。
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重松 |
そうそう(笑)。
それに好かれてるバカ殿は、
やっぱり、現場が好きなんですよね。
課長スピリットというか、
課長である部分をどこまで残して
社長になるかって、大事かもしれない。
課長って、仕事を作らないと、居場所がないから。
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糸井 |
そうかもしれない。
仕事って、
動かし続けるだけでも大変ですから。
「止めるわけにはいかねぇんだ!」
って言ってるわけだけど、
でも、いつかは止まっちゃうんですよね。
経営者は、止まっちゃったときにどうするか、
未来像から逆転して考えて、
課長を育てていかなければならない。
いい課長を育てる経営者って、
いい経営者じゃないですか?
「自分さえも
小さな会社みたいに変えていくこと」
って、もしかしたら、フリーの仕事を
している人にだってあるテーマかもしれないなぁ。
昔だったら、大きいものを小さくするって、
店をたたんだとか言われたもんだけど、
今は、そういうものに可能性があるのかもね。
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重松 |
ただ、トップがアホだと、
いちばん迷惑するのは課長クラスだったりする。
「トカゲの尻尾切り」みたいに
末端がやられるんじゃなくて、
むしろ「おなか」が傷つけられてしまうケースが
多いと思いませんか?
ぼく、太平洋戦争がらみのドキュメンタリーを
何本かNHKで手がけたとき、
日本の陸軍について調べたんですよ。
すると、士官学校の教育がじつに興味深かった。
士官学校は、幹部候補生として、
小隊長を育てていくんですけど、
小隊長って課長の役割なんです。
ところが、戦局が悪化していくにつれて、
小隊長クラスが次々に戦死してしまう。
前線の部隊の先頭に立ってひっぱっていくぶん、
戦死する数も多い。
トップの判断の誤りで、優秀な幹部候補生が
次々に失われていくという、
次の時代へも影響を及ぼしてしまう。
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糸井 |
それは重いね、命がかかっているとね。
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重松 |
重いですよ。
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糸井 |
でも、会社って、
ほんとは、そのくらいの重さがあるんだよね。
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重松 |
そうだと思います。
家に帰れば、それぞれの家族がいるんですもん。
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(次回に、つづきます!) |