FEATHERED SHIJU
HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
IS EAGER TO HELP!
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フェザード・シジュはお役に立ちたい!

あつま町でハスカップを収穫するだジュ! の巻

ほぼ日の見習い乗組員、宇宙鳥のシジュちゃんは、
「なんかやることないかなぁ」と
ブラブラしてばかりの日々を送っていました。
そこで、みなさんのお役に立つことが
自分の新たな使命ととつぜん思いつき、
活動することにしたそうです。
最初に向かったのは北海道。
4週間しか収穫できない、めずらしいくだもの
「ハスカップ」の農園のお手伝いです。
銀の鳥はちゃんとお役に立てたのでしょうか。

第1回
北海道のあつま町。

みなさんこんにちは。
宇宙鳥のシジュだジュよ。

北海道初上陸だジュ。

北海道はすずしくて、ひろびろしています。
いちばんおどろいたのは、この静けさだよ。
ほかの町とはなんだかちがう。
なぜだろう、空が大きいから?
声や物音が空にすい込まれていくんだよ。
だから、鳥の声や木の葉の音が
いっぱい聞こえるんだジュ。

自然の音がメインだジュ。すごく気持ちがいいよ。

そんな北海道で、シジュは
ハスカップの収穫をお手伝いすることになりました。
みんな。ハスカップの木、みたことある?

これがハスカップの木。
農園で活躍するために、シジュは今回
黄色い「ながくつ」を作ってもらいました。

シジュがなぜここにいるかというと、
今年のシジュの日(4月10日)の
「お役に立ちたい」メール募集で、
この農園のゆみこさんが応募してくれたから。
そのときの、ゆみこさんのメールを紹介します。

シジュちゃんこんにちは!
北海道の厚真町(あつまちょう)というところを
知ってますか?
去年おおきな地震があって、
土砂崩れがおきたところです。

もうひとつ。
「ハスカップ」って知ってますか?

厚真町には昔からハスカップという
とってもおいしいくだものがあります。
7月にはハスカップ狩りができます。
厚真町は新千歳空港に近いので
アクセスはいいんだけど、
知っている人がとっても少ないし、
土砂崩れがあったので、
お客さんが怖がって来ないんじゃないかと
心配しています。

自己紹介が遅くなりましたが、私は厚真町で
小さなハスカップ農園をはじめて3年目の、
ゆみこといいます。

ここにお嫁に来て
ハスカップの大ファンになりました。
めちゃくちゃおいしいハスカップの魅力が
いまいち知られていないのがくやしいです。

シジュちゃんとの交換日記で
ハスカップの魅力を暑苦しく語りたいです。

できたら、厚真に来て
生のハスカップを食べてもらいたいです。
ハスカップは皮が薄くつぶれやすいので
生果実ではほぼ流通しないレアものなんですよ。
シジュちゃんがハスカップのファンに
なってくれたらうれしいな。

そして「地震があった街」から、
「ハスカップのおいしい街」へと、
みんなに憶えてもらえたらうれしいな。

シジュちゃん!
生ハスカップ、なんまらおいしいよ!


(ハスカップ農園みのり ゆみこ)

なんまら!

みんな。
ハスカップ、食べたことあるだジュか。
お菓子に入っているのを味わったり、
北海道みやげのゼリーになってたりで、
味はなんとなく知ってるよ、くらいだジュよな、
きっと。

これが生のハスカップだよ。

ハスカップの収穫期は、1年のうち4週間だけ。
しかも宅配便などの輸送にはむかない。
ということは、
生のハスカップを食べるのは、
6月下旬~7月下旬に北海道を訪れる以外、
ふかのうなんだジュ。

これは‥‥ふかのうをかのうにするしかない。
行くしかないだジュな!
(みんなはぜひ来年ね! おぼえといてね)

旅立つ数週間前から、シジュはゆみこさんと、
ハスカップについて、
ラブラブなメール交換をしたんだジュ。

ハスカップが、あかちゃんみたいに
デリケートなこと。
だから近くのお店にしか並ばないこと。

photo byゆみこさん

ハスカップ狩りに来たお客さんたちがみんな、
地震のことを心配し応援してくれたこと。
お休みしているハスカップ農園さんもいること。

ハスカップの木に、鳥さんの巣がみつかって
心があたたまったこと。

中にたまごが!
「シジュちゃんのおともだちかな」って
ゆみこさんはメールに書いてた。かわいい。

ハスカップの木は同じようにみえるけど、
味がそれぞれに違うから、
自分の好きな木をみつけるのがたのしいこと。
ハスカップのかわいいお花は
ふたつひと組になって咲いて受粉すること。

「なかよし花だね」とゆみこさん。

そんなワクワクする日々を経て、シジュは、
あつま町のみなさんが
めちゃくちゃい~っそがしい収穫期に、
このおおきなからだでお役に立ちにやってきた、
というわけなんだジュよ。

厚真町はハスカップ栽培面積で日本一を誇ります。

日本最大のハスカップ群生地である
「勇払(ゆうふつ)原野」を有するあつま町なんだジュが、
2018年9月に起きた北海道胆振東部地震で、
4万本あったうち1万本のハスカップの木が
なぎたおされてしまった。

ゆみこさんのハスカップ農園に向かう途中、
土砂崩れがいくつもあり、
復旧工事が行われていました。

あつま町は、震度7だったそうです。
でも、そんななかで
元気に残ったハスカップの木を実らせようと、
何軒もの農園さんが
がんばっておられるらしいんだジュ。
これはほんと、お役に立たねばよ!

ハスカップの木は低くてかわゆい。

ゆみこさんは3年前からここで
おかあさんからひきついだハスカップ農園を
いとなんでいます。
木はぜんぶで540本くらいあって、
おばあちゃんが植えた50年ものと、
おかあさんが植えた10年ものがまじっています。
おばあちゃんは94歳で、すごくお元気なんだって。

となりの、そのまたおとなりの、
漁師さんの町の出身だったゆみこさんは、
結婚してあつま町に来てはじめて
生のハスカップを食べたんだそう。
となりのとなりの町でも、
「生」はめずらしいんだジュな。

ここでね、そぼくなぎもんというか、
ある種のけねんが、
みんなにはあるだジュよね。
はっはーん、わかるよ、その気持ち。

はたして、シジュはこのちいさい実を、
収穫できるのだろうか、
ってことだジュよな。

この、まあるい手(羽根)で、いったいどうやって。
シジュリーチ!

はたしてほんとうに
収穫のお役に立てるのか。
そして、生のハスカップは
どんなお味なのか!

そんなみなさんのけねんを
梅雨のない地でツユとも思わず、
かけっこするシジュをごらんください。

明日はシジュちゃん、
さっそく収穫にチャレンジします。
みなさん応援してください。つづきます!

あ、ちょっとまったー。
最後にお知らせがあります。

北海道のみなさん!
シジュちゃんの鳥友だちの
浅生鴨さんが、北海道でプチお店を開きます。

地球の友だちが数えるほどしかいないシジュちゃんの
貴重な鳥仲間、作家の浅生鴨さんが
いま(8月6日~7日)北海道にいて、
稚内の日本最北端の記念碑の前で著作本を販売します。
平日だし最北端で、ちょっと遠いかもしれませんが、
行ける方、ぜひとも行ってみてください。

2019年8月7日(水) 
午前10時~17時くらい
稚内 日本最北端記念碑の前で
浅生鴨さんが本を売ります。

くわしくは浅生鴨さんのTwitterを見てね。


~ここでさらにIt's a small worldな補足説明~

浅生鴨さんは、今年の2月に、
北海道を訪ねる旅をしました。
「#北海道のここがえーぞ」というハッシュタグを用い、
Twitter上で鴨さんの旅を見守ることができる
しくみだったのですが、
鴨さんはなんと、北海道を訪れるのに! のに!
免許証を忘れてしまいました。あちゃちゃー。
北海道は車がないとどうしようもないということは
地元の方は心の底からわかりきっていたので、
「ハスカップ農園みのり」のゆみこさんは、
Twitterで鴨さんの来し方行く末を見守り、
最終的に雪の中をうろうろしている鴨さんを見つけて
空港まで送っていった、
といういきさつがあったんです。
厚真町、鳥ばっかり来る、の、
It's a small worldなエピソードでした。

2019-08-06-TUE