みうら |
今回は大きい県を
引くことにしますよ。
(県くじを引く) |
ほぼ日 |
大きい県、それはやはり、
北海道ですね。
みうらさんが引かれたのは、
下半分の南北海道です。
この企画の最初に
「北海道は2回に分ける」
ことを決めましたので、
南北に分けてみました。 |
みうら |
ここは、語ることが満載かも。 |
ほぼ日 |
そうなんですか。 |
みうら |
|
ほぼ日 |
1‥‥記念館? |
みうら |
ぼくがいまから言いたいのは
当然、函館のことです。
函館と聞いたら、自動的に
「はるばる来たぜ」
ということになるでしょ?
そうです、北島三郎さんです。
このことは、もういろんなところで
しゃべってきましたから、
話もうまくなっていると思いますし、
話が大きくなっている可能性もあります。
そこはこれから実際に現地に行く方々に
修正して見てほしいと思います。 |
ほぼ日 |
函館は、北海道の
付け根あたりにある町ですね。 |
みうら |
函館は夜景で有名ですよね。
函館山にロープウェイで登り、見下ろすと
ひょうたんのような地形に
夕方の6時半あたりから
明かりがともりはじめます。
でね、ここでひとつ言いたいのは、
それまでの時間帯に、
つまり、昼間に函館山に登っても
夜景は見られない、ということなんです。
そのことが、あまり知られていない。
夜景という意味が
ピンときてない人がいるんですよ。
それはいかがか、と思います。 |
ほぼ日 |
気をつけないといけませんね。 |
みうら |
山の展望台には、手すりが設置されています。
いわゆる、デートスポットっつぅやつですよ。
みんな夜景を見ますから
手すりから身を乗り出すような格好になります。
知ってます?
人は、前傾姿勢になったとき、
ついつい腕が上がるものなんですよ。
不思議じゃないですか。
なんなんでしょう、あれは。
「死なばもろとも」という言葉がありますが、
人は「ここは限界だ」という地点に立ったとき
ふたりで落ちようという結束感が
ものすごく高まるんです。 |
ほぼ日 |
‥‥? |
みうら |
例えば、崖だってね、
崖っぷちギリギリのところへは、
たいがいひとりで行くものです。
ひとりで行って「うわー!」とか言って
みんなのところへ戻るでしょう。
そこを、ふたりで行ってごらんなさいよ。
必ず、肩組みますよ。
肩を組んだが最後、
「バーン!」と行ってしまいます。
なぜだかわかりませんが、
人は、危険が迫ると
「巻き添えにしたい」
という気が起こります。 |
ほぼ日 |
たしかに、崖っぷちに
複数で行くと危険度が増す気が‥‥ |
みうら |
まぁ、函館の手すり前では
手すりによって、当然落ちませんから、
大丈夫です。
しかし「死なばもろとも効果」で
並んだカップルの腕が次々と
かかっていくさまを、
我々はつぶさに観察できます。 |
ほぼ日 |
次々と。 |
みうら |
メガネのツルは両耳にかかりますが
片一方だけがブラーンとかかっている、
そんな状態があるでしょ? |
ほぼ日 |
酔ったとき、転んだときなど、
そうなりがちですね。 |
みうら |
ちょうど、その「片メガネ」のようにして、
並んだカップルの肩に
腕が見事にかかっていきます。
それに、ちょっと黄昏になって、
いいムード出るでしょ?
自分たちが正面を向いているせいで
「人に見られてない」という作用が働き、
ここで、キスが出るんですよ。
ほんとうは函館の夜景ぜんぶから
見られてんのにもかかわらず、
そこは「ない」ことになるんですよね?
こんなにオープンなのに、
逆に見られてないと思って、
チューが出る始末ですよ。
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ほぼ日 |
なるほど。 |
みうら |
ですから、パートナーがいない場合は
ほんとうに夜景が好きじゃないと
やってられないです。
「オレは各地の夜景を見てきたぜ、
熱海の夜景も見てきたぜ、
マカオも見てきたぜ!」
くらいの覚悟じゃないと、きついんですよ。
いや、きつかった。
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ほぼ日 |
おひとりで、登られたんですか。 |
みうら |
下りたくなります、ほんとに。
そういう人にお薦めなのが、
北島三郎記念館です。 |
ほぼ日 |
はい。 |
みうら |
北島三郎記念館に入ると、ひとり、
コンダクターさんが付いてくださいます。
そこが、新しいじゃないですか。
ぼくは今年も石垣島の
具志堅用高記念館に行きましたが、
そこの会館の人すらいない状態でした。
でも、北島三郎記念館は
ひとりで行ってもひとり付く、
団体で行ってもひとり付きます。
入口の、袴をはかれた北島三郎さんの銅像の前で
コンダクターの方に
北島さんの歴史を聞くわけです。
その話はわりと長いです。 |
ほぼ日 |
はい。 |
みうら |
北島さんが東京に出られたときの船の甲板、
北島さんが東京で住んでおられた下宿のセット、
北島さんが苦労時代に大家さんの娘さんに
カレーライスをふるまわれた話、
北島さんの、びっくりするほどたくさんの
シングルレコードがパーッと並ぶ部屋、
それらを経ると、突如として、
東京・歌舞伎町にあるコマ劇場の
ロビーが出現します。
びっくりしますよ?
ロビーを再現するって
なかなかないことでしょ?
再現されたロビーのふかふかしたドアを開けると
七福神が乗ってるような、竜のついた巨大船が
バーンと目の前に飛び込んで来ます。
オロオロしてあたりを見回していると
「ダーンダダンダン
ダーンダダンダン
まーつりだ、まぁつりだ」
という音が聞こえてきます。
そして、船の舳先から
グゥーン! と、北島さんのロボットが出てくる。
びっくりしますよ?
ロボットがよくできていますから。
そして、音楽に合わせて、龍の鼻から
スモークがブワーッ! と出ます。
ほんとうにびっくりしますよ?
そうして、クラクラッとなって、
入口に戻ります。
それが、函館です。 |
ほぼ日 |
‥‥すごいですね。 |
みうら |
南北海道には、
小樽も入りますよね?
小樽は、お寿司のおいしいところです。
しかま寿司というお寿司屋さんがありまして、
それは、関根勤さんのマネージャーの
しかまさんの家なんです。 |
ほぼ日 |
?? |
みうら |
えっと、お寿司については、それだけです。
そうそう、小樽では、
人が意外と行かないような、穴場があります。
それは、天狗山です。
スキーで人気がある山なので、
スキーの記念館があります。
スキーの記念館に入り、進んで行くと
突然、天狗館になるんですよ。
びっくりするほど早く衣替えする館です。
そんなに大きい館ではないんですが、
右から左から、縦横無尽に、
びっちりと展示されている天狗の面の鼻が
ビューッと伸びています。
それは、日本全国の天狗マニアが
寄贈したのかどうかはわかりませんが、
いろんなタイプの天狗の鼻が
にゅうにゅう出ています。
考えてみてください、みなさん、
そんなところを歩いたことはありますか?
そんな、にゅうにゅう街道みたいなところを。 |
ほぼ日 |
ないです。 |
みうら |
そこでね、ぼくも、天狗というと
ちょっと参入したいところがあるわけです。
これです。
ぼくが作った
オリジナルのキャラクター、テングーです。
やはりこれを、小樽の天狗記念館に
置いてもらいたいという願いがありまして
そこの館長さんに
「東京から来たんですけど」
と言ってみました。
ここはしっかり言わなくてはいけません。
どこから来たかは、
遠いほうがいいですからね。
そして、ありがたいことに、館の展示に
テングーを入れていただくことになりました。
いま、小樽の天狗館の
にゅうにゅう街道を通り、
左に行ったショーケースの中に
先頭きって、テングーは入っています。 |
ほぼ日 |
テングーは天狗の仲間入りで
展示されているわけですね。 |
みうら |
ほんとはね、旅に何かを残すなんてこと、
恐れ多いことなんです。
しかし、こんな小さな島国なのに、
郷土愛というものが分割されていることに
ぼくはずっと疑問を抱いてきました。
「生まれ育ってはいないが、好きです」
という気持ち、いいじゃないの! と
思っているんですよ。
そういう場所には、
1グッズ奉納していこうと、
ぼくは思っています。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |