みうら |
今年最後なんですか。
まだ、メインディッシュの県が
ごろごろ残ってますね。 |
ほぼ日 |
首都圏も、愛知県も大阪府もまだです。 |
みうら |
できれば早く訊いてもらったほうが
いいと思います。
なぜなら、そろそろ
記憶が薄くなってきていますから。 |
ほぼ日 |
まずいじゃないですか。 |
みうら |
最近、本を読んだりして
いらぬ情報を入れてしまったので、
過去のデータがとんだ可能性があります。
記憶を残したいから、もう
本とか、新しいものを
見ないようにしたほうがいいのかな。 |
ほぼ日 |
いやいや、そういう話ではないと思います。
が、しかし、いそいで、
今年最後の県くじをお願いいたします。 |
みうら |
(手ざわりで)この形は、兵庫県? |
ほぼ日 |
兵庫県はさきほど語りました。茨城県です。 |
みうら |
茨城県かぁ。
ということは当然、水戸黄門の話は
しっかりしなきゃなんないですね。 |
ほぼ日 |
そうですね。 |
みうら |
印籠を出されるときって、
ドキドキするじゃないですか。 |
ほぼ日 |
??? |
みうら |
印籠を出されるときって、あるでしょ?
ないですか。 |
ほぼ日 |
ないです。 |
みうら |
印籠は時代劇の
「水戸黄門」の中だけじゃないんです。
印籠を突きつけられることは、
現代にもあるんですよ。
それは見えない印籠なんです。 |
ほぼ日 |
‥‥? |
みうら |
恋愛をしていますと、時折、
印籠を突きつけられることがあります。
「どう思ってんだ」とか、
「決着つけてくれ」とか、
「待ってていいのか、このまま」とか。 |
ほぼ日 |
ああー、はい、はい、はい。 |
みうら |
それを男の世界では
「印籠を突きつけられる」
と言うんです。 |
ほぼ日 |
それは、引導(いんどう)を渡す、のではなく、
印籠(いんろう)を突きつける、んですね? |
みうら |
印籠です。
印籠は、涙の印籠がいちばん
ハードルが高いです。
女の人が泣きながら
印籠を突きつけてくるとき、
男はタジタジになるしかありません。
しかも、女の人が泣くきっかけは
男には計算不能です。
男が泣くときは、わりと、
「ALWAYS」観たときとか、
わかりやすいんです。 |
ほぼ日 |
「ALWAYS」なんですか。 |
みうら |
そうです。男はたいがい、
子どもか犬が活躍したときに
泣くんです。
しかし女の人はそれ以外でも泣くことがある、
とは、昔から聞いていました。
男の飲み屋の喧嘩と違って、
筋なんて通ってないんですよ。
「前はそんなこと言わなかったじゃん?」
という反論は通用しないという、
ルール無用のティアーズが
出るでしょ? |
ほぼ日 |
そうですね。 |
みうら |
涙の印籠を
何回「ひかえおろう」されたかによって、
男の価値は出てくるんです。
しかも、水戸黄門の印籠は
「そろそろ出るな」とわかりますが、
涙の印籠は、いきなりです。
いま、これをごらんになっている
男性のみなさまには
「涙の印籠はいきなり出るもんだ」
ということを、ぜひ
わかっておいていただきたいです。
しかも、カク、スケはいないんです。 |
ほぼ日 |
カク&スケがいないとさらに気づきにくいですね。 |
みうら |
ところで、茨城県には、
黄門像がやたらあります。
やたら見ましたから、
やたら忘れてしまいましたが、
ひとつ、ものすごく大きな黄門像があります。 |
ほぼ日 |
ええっと、千波湖の近くのようです。
2mの台座に、
3m60cmの銅像が立っているらしいです。
合計5m60cm。すごいですね。 |
みうら |
人物の銅像で、そこまで大きなものって
意外とないんですよ。
銅像って、等身大が多いんです。 |
ほぼ日 |
そりゃそうですよね。 |
みうら |
上野の西郷どんだって
等身大よりやや大きいくらいです。
お遍路をまわっている方は
ご存知だと思いますけども、
四国には、山からぬっと出た
弘法大師がおられます。 |
ほぼ日 |
はあ。 |
みうら |
それから、鹿児島県にいる西郷どんも
ものすごく巨大です。
腕を組んでおられるので、見上げたときに
頭が見えなくて、誰かわかりません。
大きい銅像で、あとに残るのは、もはや
お釈迦さまだけです。
つまり、銅像とは、
●お釈迦さま
●弘法大師
●西郷どん
そして
●水戸黄門
なんです。巨人であることは
銅像界でもまれなことであることから、
黄門様がどれだけ巨大な人だったかを、
わかっていただけると思います。 |
ほぼ日 |
なるほど。 |
みうら |
それから、茨城県では
あんこう鍋が有名ですが、
ぼくが食べさせていただいた
あんこう鍋の店では、
仕上げに、よくわからないものを
味噌のように鍋に溶くんですよ。
それがあんこうの肝なのか、泥なのか
わからないんですが。 |
ほぼ日 |
泥? |
みうら |
それがすっごい、どぶの臭いがする。 |
ほぼ日 |
‥‥はははは。 |
みうら |
ぼくはこれまで各地で
名物を食べてきました。
その都度「名物である」とは言われますが、
「うまい」とは、誰も言っていません。
昔から「名物にうまいものなし」なんて
ひねくれた考え方もありますが、
名物ということが重要であって、
うまいもまずいも関係ないんです。
名物を食ったことが大切で、
食った人の感想なんていらないんですよ。
ぼくは、あんこう鍋に
泥のようなものを溶かれたとき、思わず
「うわ」と言ってしまいました。
とたんに、お店の人にいやな顔をされました。
「郷に入れば郷に従え」と同様、
「名物を食えば名物だと思え」
ということです。
昨今のフード番組の、何かひと言感想を
述べなきゃなんないという動きは
「ひかえおろう」なんですよ。 |
ほぼ日 |
ああ、なるほど。 |
みうら |
「ひかえおろう」が大切だ、
ということを茨城県は教えてくれるんです。
水戸には、黄門さまの日があるんです。 |
ほぼ日 |
それは「水戸黄門まつり」でしょうか。
8月ごろ、水戸黄門パレードが
開催されるようですね。 |
みうら |
水戸の市長さまが黄門さまとなって
パレードをされるんです。 |
ほぼ日 |
市長が。 |
みうら |
黄門さまご一行の後ろには、
オープンカーが控えていまして、
ぼくが見に行ったときは、そこで
夏木マリさんと、宅麻伸さんが、
手を振っておられました。
水戸市にゆかりがおありになるのか、ないのか
よくは存じません。
パレードを見ているあいだずっと考えましたが、
結論は出なかったです。 |
ほぼ日 |
おふたりとも、ご出身ではないようですね。 |
みうら |
こういうときは
きっと「水戸黄門」に出演していたんだ、と
あっさり思ったほうがいいんです。 |
ほぼ日 |
ゲストで。 |
みうら |
でね、ぼくなんかは、つい、
このパレードのギャラはいくらなんだろうとか
「とっぱらい」なんだろうかとか
いらぬことを思ってしまうんです。
自分だったらどのくらいで引き受けるのかな、
ということまで考えましたが、
そんなことは、いっさい
「ひかえおろう」なんです。
だって、関係ないですから。
人は、関係ないことを
考えすぎです。
そんなことは「ひかえおろう」思想のもとでは
制されてしまいます。 |
ほぼ日 |
気をつけたいとます。 |
|
今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |