みうら |
どこに行きましょうかね、
(県くじを引く)
はい、どうぞ。 |
ほぼ日 |
よっ‥‥と、山口県です。 |
みうら |
山口県というと、
当然、まずは秋吉台ですね?
秋吉台および秋芳洞、そうです、鍾乳洞です。
鍾乳洞については福島県の回でも
熱く語ったに違いないと思いますけども。 |
ほぼ日 |
クリスマスツリーの貴重な紙袋などを
見せていただきました。 |
みうら |
何ですかねぇ、
バンドなどを好きになるときも
そうだと思うんですが、
ちょっとひねくれた考えで
誰も知らないようなバンドを
わざと好きになる方法がありますでしょ?
あまりにもビッグすぎ、一般的すぎた場合、
自分の入り込む余地がないから
ちょっとマニアックなバンドを
「これが好き」と言ったりするんです。
しかし、最初に好きになるものは
やっぱりビッグなものではないでしょうか。
日本各地にいろんな鍾乳洞がありますが、
秋芳洞は、鍾乳洞界で言えばビートルズです。 |
ほぼ日 |
‥‥まぁ、鍾乳洞界で言えば、そりゃもう。 |
みうら |
ね? 誰でも知ってるんですもん。
ここに並べました、あぶくま洞、
満奇(まき)洞、千仏(せんぶつ)洞。
くわしい方は、「ビッググループだ!」
と思うにちがいないのですが、
普通に生きてらっしゃる方には
あまりなじみのないとこだと思います。
しかし、ビートルズは秋芳洞です。
鍾乳石を使ったおみやげは
ほかの鍾乳洞でも発見できますが、
さすがビートルズだけあって、
グッズは鍾乳石だけではありません。
ごらんください、秋芳洞トランプです。
(一枚一枚トランプを並べていく)
このトランプで「勝った」とか「負けた」とか
そういう気になるんでしょうか。
「おい、おまえ、
あの鍾乳石のカード持ってんだろう」
とか言っても、ねぇ。 |
ほぼ日 |
トランプの写真の柄が全部ちがいますね。 |
みうら |
山口県のいろんな観光名所も
柄に入っていますが、
秋吉台と秋芳洞が中心で構成されています。
あ、秋芳洞は、秋吉台の下にあるんですよ?
台と洞で、爽快感がえらくちがうんです。
|
ほぼ日 |
秋吉台は、日本でいちばん大きな
カルスト台地なんですね。 |
みうら |
この爽快さと、この陰鬱さ、何でしょうかね?
鍾乳洞の上、つまり秋吉台は
たいがいいい天気なんですよ。
下は、天気がわからないや。
下に住んでたら、きっと一生
天気のことをわからないでいると思います。 |
ほぼ日 |
下はなにかと
わからないでしょうね、いろんなことが。 |
みうら |
秋吉台には「ぜんじかっぱそば」という
名物のおそばが食べられるお店があります。
瓦の上にそばが乗ってまして、
それは、そばなんです、ふつうの。 |
ほぼ日 |
え? ふつうの。 |
みうら |
ふつうのそばが
瓦に乗って出てくるんです。 |
ほぼ日 |
ぜんじかっぱそばには
いろんなそばがあるようです。
みうらさんが召し上がったのが、
たまたま、だったんでしょうか。 |
みうら |
ほかにもですね、秋吉台の周りでは、
うなぎ定食を食べたことがあります。
名物というわけではないんですが、
なんだか「自慢」みたいなことが
書いてあったんで、注文することにしました。
頼んだ瞬間、厨房のほうで
チーン、と音がしたんです。
「おい」と思って待っていたら、
真っ黒こげのような
佃煮のようなものが出てきました。
食べてみたら、ゴムのように伸びるんです。
それはきっと、
1チンじゃないんですよ。
何チンもやってるチンなんですよ。
すっごいもんを食べましてね。 |
ほぼ日 |
うはははは。 |
みうら |
ぼくは「名物」と呼ばれるものを
できるだけ食べようとはしています。
しかし、鍾乳洞は山手にありますんで、
業者さんもそんなに頻繁に来ないです。
何かと在庫が残っている場合が多いんですよ。
ですから、鍾乳洞の周りは要チェックです。
世の中の「大丈夫かな?」という常識は
変わっていくものですから、
鍾乳洞はひとつの
バロメーターになるんです。 |
ほぼ日 |
と、いいますと‥‥ |
みうら |
こないだまでよかったことが、
いまの常識からするとまちがっている、
そういうことが頻繁に起こるわけです。
わかりますでしょ?
これは‥‥何なんでしょうね、
まぁ、わからないんですけど、見てください。
|
ほぼ日 |
‥‥‥‥。 |
みうら |
わりと、こう、
達筆に「みうらじゅん」と書いてあります。
おみやげ屋さんで絵柄を選び、
秋芳洞を見て戻ってきたら、
名前が入っているというシステムです。 |
ほぼ日 |
すごいシステムですね。
いろいろと、当局が察知しない工夫を
されてるんですね。 |
みうら |
そうですね。お店の方に、
「何なんですか」と訊ねたら、
「ねずみだよ」という答えが返ってきました。
|
ほぼ日 |
ははは。 |
みうら |
日本のマスコミ関係の方は、
中国の遊園地で行われていることや
海外のとんまなものを見つけては
笑っていますけれども、
それは、灯台もと暗しというもんです。
自分の国に、全然あります。
大きな石にニコニコした顔が入り、
「機関車くん」と書かれているものが
3、4万で扱われていたりしています。
また、さきほどのねずみを別の名称で、
「アメリカンマウス」と表示してあるものも
ぼくは発見しております。
日本こそが石景山遊園地じゃないか、
ということも言えるわけです。
鍾乳洞では特に、日常的に行われています。 |
ほぼ日 |
たしかに、こんなにも自由が横行している日本、
という常識を、はかることができますね。 |
みうら |
そういえば、
松本清張さんがお住まいになってた家が
山口県にあるんですよ。 |
ほぼ日 |
山口県に? |
みうら |
関門海峡の橋の手前です。 |
ほぼ日 |
松本清張さんと言えば、
北九州のイメージがありますが。 |
みうら |
松本清張さんは、小倉でお生まれになって
そのあと、ちょっと転々とされてたんですよ。
山口県にも住んでおられたらしいです。
松本清張さんの家は残っていませんでしたが
オブジェがありました。
その青銅色のオブジェは、穴があいてました。 |
ほぼ日 |
‥‥? |
みうら |
清張さんは家の窓からよく外を見られていた、
ということを表している、ということでした。
実際にその穴を覗いてみましたら、
橋が見えました。 |
ほぼ日 |
穴がですか? ほんとうの話ですか。 |
みうら |
ほんとうの話ですよ。 |
ほぼ日 |
はああ、ありがとうございました。
ところでみうらさん、
ふぐはお召し上がりになりましたか。 |
みうら |
そうだ、ぼくは、ふぐがすごく好きで、
わざわざ山口県まで、
ふぐを食いに行ったこともあります。
いっときは、ふぐマニアになろうと思って、
ふぐのグッズをいろいろ集めました。
ふぐ弁当のパッケージ、
ふぐちょうちん、ふぐつめきり、
どんどん手に入りました。
山口県にはタワーがあって、
そこのみやげもの屋さんのふぐグッズが
すごいんですよ。 |
ほぼ日 |
タワーというと、
「海峡ゆめタワー」でしょうか。 |
みうら |
「うわー」という心境になって、
ずいぶん買って、
いまはダンボールに入れて
ずいぶん奥にしまってあります。
人って、高じると怖いんですよ?
当時のぼくは、ある日、本屋さんに入り
「ふぐだ!」と、これを買ってるんです。
|
ほぼ日 |
‥‥『ふぐ調理師必携』。 |
みうら |
これ、3000円しました。
ああ、もう、来るとこ来たな、
と、このときに思いました。
決して免許を取る気はないわけです。
しかし、「ふぐ」という文字を見ただけで
買わなきゃいけないような気がしたんです。
いつの日か、もう1段階上に行って、
さばけることになる可能性が
この本に入ってるわけですから。 |
ほぼ日 |
たしかに入ってますけども‥‥ |
みうら |
いつでも本棚にささっていますので、
さばきてぇ、と思ったら
ここを受験すればいいんです。
いつでも飛び込めるようになっている、
それが、山口県です。 |
ほぼ日 |
‥‥ところで、山口県は総理大臣が
8人出ているそうで、
これは日本一だそうです。
リーダーシップを取る方を
そんなにも輩出されている県なんですね。 |
みうら |
でも、そんなにたくさん
輩出されてるんだったら、
山口県をもっと押し出して、
答弁するときに、ふぐのまねくらいは、
あってもいいんじゃないでしょうか。
プーッ(頬をふくらます)とか、
やっていただきたいですね。
「ふぐ大臣」や「ふぐ奉行」と呼ばれて、
さばきがいいねぇ、あの人は、
肝がピリピリするよ、なんて言われて、ね? |
|
今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |