戦乱は絶え間なくある、疫病は流行る、飢饉も起こる、そういう時代です。なにかあるとすぐ武士に殺され、あるいは病気にかかったり、ものを食べることができないで死んでいく人がたくさんいる──そういうなかで、学問があるとか仏教の知識がある人ではない、ごくふつうの人たちが「こういう状態で一生を送っていいんだろうか」ということを考えるようになったということです。
ごくふつうの人たちのそういう悩みといいましょうか、生きていることに対する疑いといいましょうか、そういうことに仏教はどう答えたらいいかという問題に、法然や親鸞はなんとかして答えようとしていたと思います。
|