新聞をとってない人々

第5回 ファイル #1:ファースト・コンタクト

【前回のあらすじ】新聞をとってない人々を捜すため
知り合いに電話をかけまくっていた私は、
12人目にしてとうとうやつらの一人を見つけたのだった。

「新聞をとってないって今言ったね?」
「とってないよ。それがどうしたの?」
私は深呼吸を一回しました。
電話の相手は千村と言って大学時代のゼミの友人です 。
一緒に呑み一緒に語り、
終電を逃して一緒にカプセルホテルに泊まったこいつが、
今は新聞をとってない人々の一員とは・・

「なんでとっていないんだ!」
「何言ってるんだよお前。いきなり電話してきて。
新聞はさあ、新聞屋とちょっともめちゃって、
気分悪かったからそれ以来とってねえんだよ」

「もめたってのは、なぜか集金に来なくてさ、
3年くらいタダで読んでたんだ。
そしたらまとめて請求されてさ。
やだって言ったら文句言ってきてさ」
「それは君が悪いだろ。払うべきだろ新聞代」
「だってあっちのミスで勝手に宅配してたんだぜ。
最後は向こうもあきらめたけどな」

「それ以来、とってないのか新聞」
「うん」
「新聞とらなくて平気なのかよ?」
「うん。ぜんぜん」
「ぜんぜん、てか・・」

新聞をとってない人々は実在する。
彼らはぜんぜん平気なのだ!

(謎は深まるばかり。ああ次回を読まずにはいられない!)

1998-06-21-SUN

BACK
戻る