平原大喜さんが考え抜いた
「aulico」のシャツ地の
Tシャツ。
今回「5DW メンズショップイシカワ」で発売するのは、
宮崎県都城市でものづくりを行っている平原大喜さんによる
「aulico」(アウリコ)の
シャツ地のTシャツとタンクトップです。
石川顕さんが初めて「aulico」のTシャツと出合ったのは
インテリア、ファッション、雑貨などを扱う合同展示会。
毎年、出店ブースが隣どうしで、
巷に着たいビッグTシャツがない!
と思っていた石川さんが、
平原さんがつくる「aulico」のTシャツを見つけて
買ったのがきっかけです。
Tシャツといっても、生地は布帛。
シャツのようなTシャツ、といえるかもしれません。
これをスーツに合わせたかったという石川さんと、
つくり手の平原さんに、対談をしていただきました。
一目ではわかりづらいこのTシャツのいいところを、
おふたりにたくさん話してもらいましょう!
なお、石川さんが考える昨今の
「ビッグTシャツ問題」については、
ぜひ
こちらも読んでみてください。
- 石川
- 平原くんは自分で服を染めるんだけれど、
今回の5DWでは、
あえて、平原くんが自ら染めたものを
選んでいないんです。
それだとあまりにも「感じがでちゃう」から。
ふつうなほうがいいなって(笑)。
でも、タグまで染めてるところなんて、
ものすごくかっこいいね。
- 平原
- 手染めなので、個体差がすこしだけあります。
もう自分で染めるのはやめるべきかなと
思うこともあるんですが、
服づくりの最初から染色をしていたので、
続けちゃってますね。
ああ、石川さんとこういう部分を共有できるのは
嬉しいなぁ。
- 石川
- 気が合うんだよ(笑)。
- ――
- いまさらですが、
平原さんのこれまでの経歴などを
お聞きしてもいいですか?
- 石川
- 僕も聞きたい。
- 平原
- さかのぼると‥‥、
学生時代にアメリカをフラフラしていて、
アメリカのジーパンっていいなって思っていたとき、
たまたま見つけた『JAPANESE INDIGO』
という本で、日本にもインディゴがあるんだと知って、
興味をもつようになりました。
それで帰国して徳島に行ったんです。
大学が福岡で、福岡も染色が有名でしたが、
就職活動で着物屋さんの面接のときに、
藍染の話をしたら、だったら徳島だよって教わって、
それで、徳島に。
- ――
- 大胆ですね。
- 平原
- 訪れた工場には外国人の職人もいて、
藍で腕が青く染まっていて、すごくかっこよかった。
多少英語が話せたので、
かっこつけて英語で話しかけてみたら、
その方がとても日本語がうまくて、
興味あるなら来なよって言ってくれたんですが、
そこは染色工場ではなくて、
染料をつくるところだったんです。
どうしようかなと思っていたら、そこの大将に
「藍染が好きなのか? いつ来るんだ?」
って言われて、
「じゃあ、大学を出たら‥‥」って言っちゃいました。
そんな感じで行き当たりばったりで就職して、
そこで1年くらいお世話になりました。
- 石川
- こういう人が天才なんですよ。
- 平原
- そのあと、また別の先生と出会って、2年くらい、
染色全般を習いました。
藍を育てるために畑を借りて、農業もしました。
でも、畑に対するぼくの認識は甘くて、
雑草を抜き、耕し、何かを植えたら、
収穫していかないとちゃんと回らない、っていうことを
わかりもせずに始めてしまった。
祖父も祖母も農家をやっていたのに。
そして染色については、
もともと徳島で習いましたが、
沖縄にも伝統的に染料をつくるところがあって、
そこでも修業しましたね。
- ――
- 服づくりはどのように学んだんですか?
- 平原
- それも甘くて。
「縫えば、服ができるのかな」
とぼんやり思っていたんですが、
いきなり縫製工場に行って縫ってほしいと言っても、
当然縫ってはくれないわけです。
そうしたら働き手のなかに若干手の空いた方がいて、
服をつくる流れを教えてくれたんです。
パターンをつくって、
生地を裁断屋さんに持ち込んで、切ってもらって、
縫製工場にもっていくんだよ、って。
服づくりって自分ひとりでは
できないことが多いわけですが、
生地を染め出してからは、
洗うことが上手になったので、
そこはできる限り今も自分でやっています。
ちなみに今回のアイテムも全部洗っています。
製品も洗うし、ニットのときは糸も洗う。
- ――
- 「洗う」というのは、具体的には‥‥?
どの状態をもって、
「ちゃんと洗われている」
ってことになるのでしょう?
- 平原
- 基本的にはちゃんと水を通すということです。
洗うという作業だけで、
1週間以上やっていますよ。
- 石川
- おおっ。
- 平原
- 昔はジーパンも洗って売っていて、
ワンウォッシュですが、
1週間ぐらい洗っていました。
水を通すバケツを変えていくのですが、
水を細かく弱アルカリ性、酸性、中性とすると
長持ちする服になるんです。
- ――
- そこまで「洗う」んですね!
- 平原
- 服づくりにおいて「洗う」ことが
あまり注目されていないことに気づいたんです。
洗いざらしというのはあるんですけど、
洗うことで「引き出す」という考え方はいいなって思って。
だから、家でも洗濯は好きですよ(笑)。
このTシャツ、
家で洗ってもずっと気持ちいいと思います。
- 石川
- それにしても平原くんとは
ワンテーマでずっと話していられるな。
もっと無口だと思っていたけど(笑)!
でも今日はそろそろおしまいにしましょう。
ありがとうございました!
- 平原
- ありがとうございました!
2023-06-21-WED
(おわります)
[STAFF]
スタイリング・プロデュース:石川顕
撮影:吉嗣裕馬
文:小笠原民織
モデル:佐藤岳
「aulico」のシャツ地のTシャツとタンクトップ
5DW WEBショップにて販売中。