石川顕ってどんな人? KIKIさんにききました。
石川顕ってどんな人? 
KIKIさんにききました。
4月29日より開催される「生活のたのしみ展2023」で
「メンズショップイシカワ」がデビューします。
その店主、兼バイヤー、兼プロデューサー、
一人三役を務めるのが、スタイリストの石川顕さん。

石川さんといえば1980年代から雑誌や広告で活躍している
“すごい人”ですし、当時のBRUTUSを読んでいた男の子
(現在はおじさんかもしれないですけれど)だったら、
「えっ? あのイシカワアキラ?!」と
驚く方も、きっといらっしゃることでしょう。
けれども、みなさん、石川さんがどんな方なのか、
あんがい、知らないのでは‥‥?
(わたしたちも、あまり知らなかったのです。)

このコンテンツでは、石川さんの選んだり、
プロデュースしたアイテムを
紹介していこうと思っているのですけれど、
まずは石川さんのことを理解しなくちゃ! 
‥‥というわけで、石川さんのことをよく知る
3人の方を招き、お話を伺うことにしました。

って、ちょっとまわりくどいんですけれど、
もったいぶっているわけじゃなくって、
石川さん本人は超のつくシャイで、
なかなか表に出たがらないのです。
(いずれ、ちゃんと話をきくつもりですけれど!)

ではあらためて、
石川さんっていったいどんな人なんでしょう? 
ひとりめは、モデルのKIKIさんです。
その2
軽やかな足、確かな目。
写真
──
KIKIさんは、
石川さんとものづくりも
してらっしゃいますよね。
KIKI
はい。「KIKISA」(キキサ)というカップを。
写真
──
どんな経緯で誕生したんですか。
KIKI
私が山に行く時に使うリュックに、
「KUKSA」(ククサ)という
北欧のサーミの人々が使う
伝統的なカップをぶら下げていたんです。
白樺のコブをくり抜いたもので、
色を吸い込みやすいので、
コーヒーやワインを飲む人だったら、
赤黒く変化していく。
その話を顕さんしたらおもしろがってくれて、
「オリジナルを作ってみたら」
と提案してくれたのがきっかけでした。
製作は鹿児島の木工作家、アキヒロジンさん
顕さんと出会ってすぐの頃に紹介してもらっていたので、
「あのジン君?」という感じでした。
──
この袋はなんですか?
写真
KIKI
KIKISAはいくつかバージョンがあって、
それぞれ専用の袋を付けているんです。
取っ手が付いていないカップは
「KiKiLiM」といって、
KIKISAの軽量バージョンなんですが、
それに付けた袋は私が芋版で彫ったヤクシカの絵を
プリントしています。
「芋版、いいじゃん」と言ってくれた、
顕さんのカジュアルさが好きです。
──
軽量バージョンもあるんですね。
KIKI
この「KiKiLiM」ができた時も軽やかでした。
一時期私が屋久島にハマっていて、
顕さんも一緒に行ったことがあり、
お世話になっているガイドさんが
KIKISAを気に入ってくださっていて、
「オリジナルで作れませんかね」と
ぽろっと口にしたんです。
そしたら顕さんはすぐ、「作ろうよ!」と。
写真
──
石川さんって、
ものづくりの進め方が早いし、自然ですよね。
KIKI
そうですね。顕さんとどこかに出かける時って、
私は顕さんのペースに着いていくようにしているので、
ものづくりをしている人に出会ったり、
新しいものに触れたりする機会が多いんです。
そういうなかで感じるのが、顕さんは
「この人とこの人を会わせたらいい」とか
「これをやったら面白くなる」ということを、
常に頭の中で考えているんだということ。
ものづくりがトントン進んでいくのも、
いつの間にかいろんなことを
考えているからなんじゃないかな。
そしてアクティブですしね。
──
「これとこれを掛け合わせたら何ができる」
という石川さんのものの見方、
なんだか編集者っぽいですね。
「メンズショップイシカワ」も、
そういう石川さんならではの編集的視点や
軽やかさがあってこそできることだと思っています。
KIKI
作り手さんへのリスペクトも強く、
ブランドや作家さんがものづくりをするなかで
気づいていないことを拾い上げることが、すごく上手。
気負いなく「こうしたらいいじゃん」と、
みんなが見つけられていないことを形にしてくれる。
そこがすごいなって思います。
──
石川さんとは、普段どんなお話をされるんですか?
KIKI
最近連絡をとったのは、
キャンプで使うコットという簡易ベッドが欲しいなと思い、
相談のメールをしました。
「コットの購入を考えているんですが、
どこのものがいいでしょう?」と聞くわけですが、
返事には質問に対しての答えがなく、
違うことが書かれている。
きっと、「コット、KIKI」というキーワードをもとに
頭の中に浮かんだことを
ババっと書いてくれているんですが、
それがちょっとずれた内容で(笑)。
最終的には「ここのがいいよ」と
答えをちゃんとくださるんですけど、
一回逸れるところが顕さんだなって。
でもやっぱり、顕さんのアウトドアの知識は
相当深いので、頼りになります。
ひとつのものを長く使っていたり、
使っていなかったものを掘り出して
また価値を見出したりしているのを見ていると、
頷けることが多くて。
写真
──
流行り廃りは関係なく、自分の目で選んでいるんですよね。
KIKI
そうですね。顕さんが選ぶものって、
とんがりすぎていなくて、かといって古臭くもなく、
絶妙ですよね。
モデルとして仕事をするなかで最先端なものに触れて、
いいな、と思うこともよくあるんです。
だけどそういうものとはまったく違った魅力があって。
ほぼ日さんが扱っているものも、
定番だけど埋もれないものばかり。
なんとなく通ずるところがある気がして、
最初に「メンズショップイシカワ」のことを聞いた時は
驚きながらもすごく腑に落ちました。
メンズショップ、とありますが、
女性が欲しくなるものも多いのでは、と期待しています。
──
石川さんも
「女性にも買ってほしいんだよなあ」と言っていました。
KIKI
やっぱり! まだ資料でしか見ていませんが、
飽きがこない、本当に使えるものが揃っていますよね。
知っているブランドのものでも、
顕さんのアイデアが加わることで新鮮な魅力を味わえそう。
──
石川さんのセンスの良さって、
どこからきているんだと思いますか?
KIKI
ほんとに、どこからなんでしょうね。
わからないけれど、ちょっと目に留まるものに対して
意識が向いているな、と思います。
たとえば街を歩いていて、
人がどういう服装をしているかよく見ているし、
記憶力もすごくいい。
物への執着や意識は確実に強いですよね。
──
KIKIさんは影響されていることなど、
あったりするんですか?
KIKI
顕さんのスタイルを見ていると、
真似したくなることはちょこちょこあります。
顕さんがスカーフをしていて、
自分も久々にスカーフを使いたくなったり。
しばらくスキーばかりで
ボードから遠ざかっていたんですが、
顕さんがボードやっているのを見てまた乗りたくなり、
教えてもらった道具を購入したりだとか。
ものを選ぶセンスだけじゃなくて、
生き方も素敵だと思うんです。
働く時は働き、休む時は月単位で長く休む、
メリハリのある生活のしかたとか、
ご家族を大事にしているところとか。
あと! 話は逸れてしまいますが
動物が好きなんですよ、顕さん。
写真
──
リクガメを飼っていらっしゃいますもんね。
KIKI
動物愛の強さが私のなかで結構ツボで。
言葉で好きとは言わないですけど、
溢れ出ているんです。
以前にうちへ遊びに来てくれた時も、
わが家の柴犬に触れながら
すごくニヤニヤしていて嬉しそうでした。
その時は夜で食事もしながらだったんですが、
もっと犬を愛でたいということで
「次は昼間がいい」とリクエストされました(笑)。
──
そういう石川さんの人柄に惹かれる人、多いんでしょうね。
KIKI
そうですよね。スタイリストという肩書きが
前面に出ていた頃の話を聞くこともあるんです。
相当いろんなところでロケをしていたようですし、
大きな撮影をしてきているはずなんですが、
見事に大御所感のようなものがないのが不思議。
当時どんなだったか想像できないけど、
あまり変わっていなさそうですね。
きっと、顕さんは顕さんだったんだろうなあ。
──
ありがとうございました。
すこしずつ、
石川さんのことがわかってきたように思います。
KIKI
こちらこそありがとうございました。
お店、たのしみにしてます。
写真
2023-03-14-TUE
(おわります)
KIKIさんに聞いてわかった
石川顕さんのこと。
・冬は旭川にいる

・スノーボードが好き

・酒は飲まない

・「ULTRA HEAVY」をやっている

・ものづくりの進め方が早くて自然

・KIKIさんといっしょにKIKISAをつくった

・家族を大事にしている

・アウトドアの知識が半端ない

・スカーフをしている

・動物好きで、リクガメといっしょに住んでいる
<Profile>
KIKI(キキ)
モデル。東京都出身。

武蔵野美術大学造形学部建築科在学中から
モデル活動を開始。
雑誌、広告・TV出演、連載の執筆など多方面で活躍中。

執筆も手がけ、著書に旅や登山をテーマにした
フォトエッセイ『美しい山を旅して』(平凡社)
などがある。