5DW メンズショップ イシカワ
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「リュトモス」の
革の財布とサコッシュは
なぜ、こんなにいいのか?
いよいよ冬らしくなってきましたが、
まだまだ日差しも眩しかった10月初旬、
我々「5DW メンズショップイシカワ」のメンバーは、
店長の石川顕先輩の後ろをくっつくように、
ショップで取り扱うクラフトのつくり手たちをたずねて、
鹿児島を訪れました。



近年の鹿児島といえば、
避けて通れないのが、お茶であり、
(いまや緑茶の生産量日本一!)、
アーツ&クラフツということで、
ここに「5DW 鹿児島クラフト編」として、
「Akihiro Woodworks」、「STACK CONTAINERS」、
「ONE KILN」、「RHYTHMOS」の4つの工房をまわり、
会って、話して、見て、触って、感じてきたことを、
石川店長とともにたっぷりお届けします!



今週は、いよいよ鹿児島クラフト編のラストということで、
レザークラフトの生活道具を手がける
「RHYTHMOS」(リュトモス)をご紹介します。



「5DW メンズショップイシカワ」では、
「RHYTHMOS」の代表作である革財布の
「Zip(L)」と「Zip(S)」、
その代表作を超える勢いの
レザーサコッシュ「Sack(S)」が新登場。



昨年リニューアルしたという
「RHYTHMOS」のお店の奥にある工房で、
クラフツマンであり、デザイナーの
飯伏正一郎(いぶし・しょういちろう)さんに
これらの代表作がどのように生まれ、
たくさんの人たちにどう使われてきたのかを、
根掘り葉掘り聞きました。



ずっと会話をしながらも
手元を見ずに(!)、
針と糸をあやつってお財布を修理していた
飯伏さんの職人ぶりにも痺れました。
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シグネチャーは革財布。
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石川
ストッキストのときに、
財布だけを並べていたと言っていたけど、
独立して最初につくったのがこれ?
飯伏
そうですね。
僕はもともとオーダーメイド専門で、
自分の作品というのはなかったんです。
「ランドスケーププロダクツ」の中原さん(*)に、
自分の作品ないの? って言われて、
「ないですね」、なんて答えていたんですけど、
そのときに考えてつくったのが、この財布なんですよね。
この財布をつくって、ブランドを立ち上げたんです。
(*)中原慎一郎さんは家具の製造販売や内装業を手がける
「ランドスケーププロダクツ」の設立者。鹿児島県出身。
現在はコンランショップ・ジャパンの代表取締役社長も務める。
石川
手応えはどうだったの?
飯伏
鹿児島ではいまいち反応薄いなあって思っていましたが、
ストッキストではバイヤーさんたちには
「すごくいいですね」って言っていただけて、
自信につながりました。
石川
オーダーメイドは何をつくっていたの?
飯伏
革製品でしたらなんでも。
お財布が多かったですが、
バッグもつくりましたし、
修理もよくやっていました。
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石川
ひとりでやっていたの?
飯伏
その時代は紳士服テーラー所属の革職人だったんです。
テーラーにスーツをつくりに来た方が、
「このバッグはもう使わないから、バラして財布にして」
みたいな感じでオーダーを受けていました。
石川
意外と今っぽいね、そのやり方。
飯伏
そのときにハイブランドのバッグをバラす機会に恵まれて、
いろいろ勉強になりましたね。
石川
それはいい経験だね。
そもそも、どうしてこの財布(「Zip(L)」)を
つくろうと思ったの?
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飯伏
銀行のATMに行くと、
入金や両替などで並んでいる方がいるじゃないですか。
だいたい、みんな百均のビニールポーチを持っている。
なぜかと考えてみたら、
あれって結局使いやすくて、
ひとつのポーチになんでも入るっていうのが
魅力なんだと思ったんです。
通帳、カード、小銭、お札、領収書など、
なんでも入れられるんだけど、
その収納場所が分かれていたらいいんじゃないか?
という発想で生まれたのがこの財布です。
石川
ビニールポーチとはいい発想だね。
飯伏
「Zip(L)」って、
「これってお札、折らずに入りますか?」と
お客さんに聞かれることが多いんです。
一般的な長財布って、
カードを2列3段で入れるサイズで
もう少し長いんですよね。
だから一見、二つに折らないと
お札が入らないように思われるんですが、
ちゃんとお札に合わせてつくっているから、
入るんです。
長財布よりは少し短くなるんですが、
そのぶん、深さを出して、
中にたくさん入れて膨らんでしまったとしても
閉じられるサイズ感にしています。
見た目もお財布っぽくないですよね。
石川
たしかに、長財布というよりは、
ちょっとしたバッグ並の収納力ですよ。
なんなら携帯も入りますしね。
僕も中身をパンパンにしてこの財布を使っています。
飯伏くんはどうやって持ち歩いてますか。
僕はポケットには入れずにバッグの中に入れています。
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飯伏
僕もバッグに入れるのを推奨しています。
カジュアルなパンツなら
ピスポケット(尻ポケット)に入りますけど、
型も崩れやすいし、洋服にもダメージが出ます。
どっちも寿命が短くなってしまいますから。
パンツのポケットに入れたい人は、
座るときは出したほうがいいかもしれません。
石川
そうしましょう。
飯伏
あと、このお財布は“向き”がないんですよね。
右利き、左利きの人でも関係ないですし、
使い癖がある人にも使いやすいはずです。
たとえば、お財布を買い替えるとして、
新しいものはどうしても使いづらい印象ってありますが、
それは、前のお財布の仕様に慣れているから。
その点、いかようにでも使えるように設計したのが
この「Zip」なんです。
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石川
収納のルールは自分で考えたいし、
それができる財布だよね。
僕の場合、雑誌の切り抜きとかも入れたいしさ。
とくに「Zip(L)」は
持った感じがセカンドバッグ的なところもあるから、
男性でも女性でも使いやすそうだよね。
飯伏
男性も女性も使っていただいていますね。
どっちかというと女性のほうが多いかもしれないです。
石川
僕の周りもそうかも。
飯伏
パスポートでも通帳でも、なんでも入りますが、
量を入れなくてもいいんです。
普通の大容量の財布って
何も入れなくてもぶ厚いんですけど、
これはマチがたっぷりあるようでないから、平べったい。
だから、何も入っていないと、ぺったんこになるんです。
大容量ですが、基本ぺったんこ。
すごくスリムに使う方もいるし、
たくさん入れて使う方もいらっしゃいます。
石川
僕はすべてをこれに入れていたからね。
スタイリストの仕事で借りた貸出伝票まで。
だから、これをなくしたらどうしようもない。
僕の人生が詰まっていますよ。
「大容量が自慢」っていうのに、
本当にいろいろ詰めすぎて
ジッパーも閉められなくなっています(笑)。
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2023-12-14-THU
(つづきます)
鹿児島のクラフツマン、デザイナーの
飯伏正一郎さんがつくる
「RHYTHMOS」のお財布とサコッシュが
5DW WEBショップにて販売中。
[STAFF]

企画・プロデュース:石川顕

文:小笠原民織

協力:RHYTHMOS