もどる PreviousNext12345 コメントを読む「社宅の桜」2002年から2007年まで、私は主人の転勤で大阪から神奈川県に移り、初めて社宅生活を送ることになった。入居前は色々な約束事があったり、入居者で集まる機会が多いのではと思ったり、自分だけ何か感覚がずれていて浮いてしまったら、とあれこれマイナスなことばかりを考えていた。予想に反して、住み始めると親戚とも友人とも違う何か新しい距離感が心地よく、いつのまにか自然体で生活をしていた。 ベランダ越しに交わす朝の挨拶。それぞれの里から送られる物をおすそ分けしあったり。色々な世代から学ぶことも多く、もう2度とない貴重な経験ができたように思う。社宅の敷地内に1本の桜の木があった。春の満開の日曜日。皆で食べ物を持ち寄り、自然と集まった。子供たちは木に登り、私たちは風を感じながら会話をして時間を過ごした。入れ替わりの多い転勤族。毎年同じメンバーではない。ずっと変わらない桜の木が 新しい人間を受け入れ 輪を作り、繋げていってくれていたように思う。南向きのベランダから、毎日大切に眺めてきた桜の木。2017年に社宅は更地となり、この木も無くなったと聞いた。寂しいことだけれど、忘れたくない光景を収めておいてよかったと思う。***写真は、ポラロイドからスキャンしました。2004年から2007年の4年間ですが、5点提出させていただきました。(oyu3) もどる この記事をシェアする 感想をおくる
「社宅の桜」
2002年から2007年まで、私は主人の転勤で大阪から神奈川県に移り、初めて社宅生活を送ることになった。
入居前は色々な約束事があったり、入居者で集まる機会が多いのではと思ったり、自分だけ何か感覚がずれていて浮いてしまったら、とあれこれマイナスなことばかりを考えていた。
予想に反して、住み始めると親戚とも友人とも違う何か新しい距離感が心地よく、いつのまにか自然体で生活をしていた。
ベランダ越しに交わす朝の挨拶。それぞれの里から送られる物をおすそ分けしあったり。色々な世代から学ぶことも多く、もう2度とない貴重な経験ができたように思う。
社宅の敷地内に1本の桜の木があった。
春の満開の日曜日。皆で食べ物を持ち寄り、自然と集まった。子供たちは木に登り、私たちは風を感じながら会話をして時間を過ごした。
入れ替わりの多い転勤族。毎年同じメンバーではない。ずっと変わらない桜の木が 新しい人間を受け入れ 輪を作り、繋げていってくれていたように思う。
南向きのベランダから、毎日大切に眺めてきた桜の木。
2017年に社宅は更地となり、この木も無くなったと聞いた。寂しいことだけれど、忘れたくない光景を収めておいてよかったと思う。
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写真は、ポラロイドからスキャンしました。2004年から2007年の4年間ですが、5点提出させていただきました。
(oyu3)