毎日の〈O2〉な相棒になるすっごく小さくなるショッピングバッグをつくりました。

NIZYU KANO 三輪英知さん 三輪温子さん

予告01

この秋〈O2〉からあたらしく、
バッグのシリーズが登場します。
「はじめまして」のラインナップは
全部で6色の2つの形。
〈O2〉チームで考えました。
「いま本当に使いたいショッピングバッグ」って
どんなものだろう?
キャッシュレスやレジ袋有料化が進む中、
ほぼ手ぶらで近所に買い物に出かけられるような
ポケットに入るくらい小さくたためるバッグをつくりたい。
一緒に考えてくださったのは、
ご夫妻でものづくりをされている
「NIZYU KANO(にじゅうかのう)」のおふたり。
国産の素材をメインに使い、
“使いやすさ”と“飽きのこないシンプルなかたち”を
追求しているバッグのブランドです。
NIZYU KANOのブランドの成り立ちと
今回のアイテムについてのくわしいお話、
どうぞお読みくださいね。

NIZYU KANO (にじゅう かのう)
三輪 英知(みわ えいち)
三輪 温子(みわ あつこ)

美大でデザインやアート・工芸などを
学んできたご夫妻によって立ち上げられた
バッグブランド。
それぞれが鞄メーカーでのデザイン経験をもち、
その経験をいかしシンプルさと
使いやすさを両立したアイテムを提案。
国内の生地メーカーと共同で、
産地の特徴を活かしたオリジナル生地の開発も行い、
現代の暮らしの中に溶け込むかたちを日々探求している。

バッグに想いをこめて。

――
NIZYU KANOのバッグをはじめて見たとき、
デザインは一見とてもシンプルなのに、
実際に使ってみると、使う人の立場にたった
細かな工夫がふんだんに盛り込まれていて、
とてもびっくりしました。
英知
ありがとうございます。
――
今回「ほぼ日」でははじめてご登場なので、
ブランドの成り立ちからお聞かせいただけますか。
英知
もともと同じ鞄メーカーに
デザイナーとして勤務していました。
ふたりとも会社を辞めて独立して
2016年に本格的に活動を開始して、今にいたります。
温子
お客さまの要望に応じたオーダー品を作ったりもしますし、
工場に量産をお願いすることもあるので、
小さなメーカーみたいな活動と
作家活動の両軸でやっています。
――
作られているバッグは、どんなものが多いんでしょう?
英知
ふたりでデザインを考えるので、
男性女性問わずに使えるものになっています。
ひとつのデザインで
大きい男性から、小さいお子さんまで使えるようにと、
サイズをたくさん作ったりもしています。
家族で同じデザインでそろえて、
色とサイズだけそれぞれの好みで
変えるオーダーに対応したり。
そういうことをフットワーク軽くできるので、
メーカーにいるときは遠く感じられた
お客さまとの距離感が近いのがいいな
と思いながらやっています。
――
バッグ製作の役割は分かれてるんですか?
英知
明確に分かれてはいないんですけど、
ミシンでの作業は彼女が、
裁断はおもにぼくがやっています。
デザインはそれぞれに考えているので、
でき上がるものが
中性的なものになっているような気がしますね。
――
ああ、なるほど。
温子
わたしはメンズライクなものが好きなので、
男性が求めるものに理解はあるんですが、
夫は削ぎ落としたデザインとか構造とか、
わりとギューンとそっち方面にいってしまうので、
「ちょっと待って!」
「どうも欲しくならないなぁ」と言ったりもします(笑)
――
はっきりと(笑)
英知
女性の機微をとらえる微妙なボーダーラインがあるようで、
「これだと女性は持たないよ」
「ショルダーをもう少し細くしたほうがいいよ」
とアドバイスされたりしますね。
――
ご家族ならではの、忌憚なき意見交換が
交わされてできているんですね。
それでうまい具合に、ユニセックスなデザインに。

ブランド名の「NIJYU KANO」には、
どういう由来があるんですか?
英知
神社で受けられる「お守り」に、
リボンむすびのようなむすびがついてますよね。
あれを「二重叶(にじゅうかのう)結び」と言うんです。
――
へぇ、知りませんでした。
英知
あの結びの部分をよく見ていただくと、
前がひもの組み合わせで漢字の「口」のような
四角形になっていて、
裏を返すとクロスしたような「十」の結びになっていて、
「口」と「十」を合わせると「叶」になる。
それで「二重叶結び」と言うんです。
――
それで、お守りに使われているのですね。
英知
ええ。結びに思いをこめるっていいなって。
ぼくらが作っているのはバッグという“もの”ですけど、
使われる方にとって“もの”以上の価値になりますように
という思いをこめて「NIZYU KANO」という名前を
使わせてもらっています。

ポケッタブルで、ちゃんとおしゃれ。

――
今回、〈O2〉とのダブルネームで
ポケッタブルタイプのバッグをつくっていただきました。
キャッシュレス時代だし、
お財布すら持っていかないときもあって、
上着のポケットに持ち物を全部入れて
スーパーに行くことも多くなってきて。
バッグを作っていただくなら
ポケットに入れられるサイズがいいね、
というところからはじまりました。
英知
そうですね。
それで最初に生地を選ぶところで、
薄手のナイロン生地でいきましょうと
意見がまとまって。
――
はい。そして、もうひとつ大事にしたのが、
「ふだんのおしゃれにもちゃんとなじむ」ということ。
ポケッタブルのバッグって、
どうしてもアウトドアっぽい雰囲気のものが
多い印象ですが、
今回作るバッグは、毎日つかいたくなる
「新定番」になってほしかったんです。
温子
最終的に決まったこの生地は、
上品で発色もよくて、いい風合いですよね。
和紙のような雰囲気もあって。
――
休みの日のカジュアルでも、仕事着の時でもなじむ、
すてきな生地だと思います。
今回は、背負うリュックタイプと
トートタイプの2型をつくりました。
まずリュックは、
上部をキュッとひもですぼめる巾着タイプ。

▲〈O2〉×NIZYU KANO ポッケサック

英知
開け閉めは、ドローコードを絞るだけなので
手間がかかりません。
ショルダーの裏にも
メッシュをつけているのですべりにくい。
――
なで肩の人でもすべりにくそうですね。
トップについている持ち手の長さは
少し短めにしてもらいました。
英知
スーパーで買い物をしたときに、
肩に掛けずに手に持つことも多いと思うので、
手に持ったときに
地面につかない長さに調整しましたね。
――
肩にかけたいときは、
両肩で背負わなくても、
ショルダー部分に肩を通せばいいですもんね。
英知
必要最低限のパーツと素材で
背負いやすさと軽量化を両立できたものになりました。

▲〈O2〉×NIZYU KANO ポッケトート

――
トートのほうは、ショルダー部分を
ちょっと長めにしていただきました。
英知
肩掛けできるし、ななめ掛けにもできる長さにしています。
ストラップを幅広にして、重いものをいれても
痛くなりにくいようにもしました。
――
ななめ掛けって便利なんですよね。
スーパーで大量に買い物をしたときって、
両手がふさがってしまいがちなので
ショルダーバッグのように掛けられると
手があいて、うれしい。
長さが気になったら、キュッと頂点でしばればOKですね。
あ、なんかかわいい。
温子
かわいいですね!
キュッと固く結べば、ほどけなさそうです。
――
意外と、マチがけっこうありますよね。
温子
そうですね。
容量もたっぷりです。
――
つい、たくさん入れてしまいそう。
底の部分の縫製はどういう意味があるんですか?
英知
そこはちょっと工夫した点で、
持ち手のテープを底側にも回して終わらせることで、
角の強度をもたせられると思ってそうしました。
――
よくバッグに使われる仕様なんですか?
英知
いえ、とくにそういうわけではないんです。
――
えっ、三輪さんのオリジナル?
英知
そうですね。
薄手の生地だからちょっと心配だったというのもあって。
デザインと補強が両立するようにしました。
――
ははあー、なるほど。
最後に、それぞれの重さを量ってみましょうか。
いざ計測!
まずはリュックから‥‥
英知
どうだろう、300gくらいかな。
――
111g! 
生地とパーツの重さがあってこの軽さ。
英知
いい意味で予想とぜんぜんちがいましたね。
――
次にトートバッグはというと‥‥67g! 
一同
すごい!
――
みかん1個より軽そう。
温子
軽くて持ち運びも苦にならないので、
たたんで小さくして
コートのポケットに入れていただいたり、
メインバッグにカラビナで取りつけたりと、
日常生活をともにしてもらえたらうれしいですね。

日常に寄り添う機能的なリュック

――
そして、今回いっしょに販売させていただくのが
NIZYU KANOオリジナルのリュックです。
たたずまいはすっきりしているのに、
がばっと開いて、見た目から想像するよりも
深さがありますよね。

▲NIZYU KANO FUKUI SIWA
ナイロンリュック

英知
ファスナーが深いところまで下りるので
そう感じていただけるのかも。
――
機能的なのにスポーティな感じがないし、
バリっとした素材もユニークだし、
ありそうでなかったリュックだと思います。
温子
どこかにブランドのタグがついていたり、
ポケットが前や横にたくさんついていたり、
というバッグが多いなかで、
できるだけシンプルなものをつくりたかったんです。
――
きりりとした端正な顔つき。
なんだけど、女性にも似合うんですよね。
そして、このハリのある素材。
ナイロンのようですが、
ふだん見慣れているナイロンでないような‥‥?
温子
これはオリジナルでつくってもらっている
ナイロン生地なんです。
フラットなデザインにする代わりに、
生地に表情があるナイロンをえらんでいます。
英知
もともと帆布でこの形のリュックをつくっていたのですが、
いつかナイロンでも作ってみたいなと思って
探しているなかで出合った生地でした。
繊維の長さをぎゅっと縮ませる塩縮加工で強度も増して、
独特な風合いを表現しています。
はっ水加工もほどこされているので、
多少の雨なら平気です。
――
ごつごつした岩肌のような目面ですね。
ハリ感があって、このシワがほどよい。
英知
この風合いを出すためにも
生地の厚さと縮み具合のレンジがあって、
いちばんいいバランスを探してたどりついた生地ですね。
――
デザインに目を向けると、おどろいたのは引き手が4つも。 
ほかでは見たことがありません。
英知
荷物を取り出しやすくするためには
どうしたらいいかと考えていたときに浮かんだアイデアで、
ファスナーメーカーに特注でオーダーしています。
見た目のシンプルさを追求していくうちに、
使い勝手がわるくなったら元も子もないので、
ちょっとした工夫で改善できないかなと
思案しているときにできたデザインですね。
――
(ファスナーを開きながら)
わ、どこからでも開けられて取り出しやすい!
温子
慣れてくると、背負ったまま出し入れできると思います。
――
おお、わざわざ肩から降ろさなくても!
温子
背面にもポケットがあるので、
そこにもアクセスしやすいつくりに。
背負ったまま取り出せるので、
わたしはスマホをおもに入れています。
英知
バイブレーションも感じることもできますし。
――
たしかに、それは便利。
内側にはポケットが1、2、3、4、ぜんぶで5つも。
英知
ななめのポケットが2つと、
13インチのノートPCが入る少し大きめのポケットと、
上から出し入れしやすいミニポケットが2つ。
――
しかも半透明になっているので、
中に入れているものが見やすいんですよね。
温子
中に入れたものが何だったか
私もよく忘れて毎回探すことになるので、
半透明だとひと目で分かります。
――
(ななめのポケットに手を入れてみると)
わぁ、けっこう深い。
温子
ここが浅いとぽろっと出てしまうので、ほどよい深さを。
こういうのも、何センチ上げる、下げるって
試作をくりかえしながらつくっていて、
自分でも細かいなと思いながら‥‥。
――
そういうところがだいじですよね。
それだけ考えられているというのは
ユーザーとしては、うれしいです。
温子
ささいなことでも納得がいくまで試作をくりかえします。
英知
玄関先で鍵をどこに入れていたっけって
見つけるのに手間取るので、
キーフックをつけたのもポイントです。
夜で暗くてもサッと出せます。
――
ああ、細かいところにも目が行きとどいていますね。
そんな機能もさることながら、
上品な外観につや気をおさえた
テープのショルダーが合うなぁって。
温子
いわゆるリュックらしい
芯入りのショルダーにもできるんですが、
アウトドア感やスポーティさを払拭したかったのもあり、
あえてテープにしています。
幅広で厚みのあるテープなので丈夫ですし、
背負っていただくと変に浮かずにフィットします。
――
重いものを入れても、まったく負担にならなそう。
英知
そうですね。取りつける角度も大事にしています。
角度が合っていないと片側に負荷がかかって
痛みや疲れが出やすいので、
微妙に調整して体に沿うフィット感をさぐりつつ‥‥。
――
わぁ、背負うとシュッと沿うような感じがありますよ。
スポーティーすぎず、アウトドアすぎず、
これだったらいろんなスタイルに合いそう。
英知
そうですね、アウトドアスタイルよりは、
コットンやリネンなど天然素材の服にも合う
普段づかいできるリュックをめざしました。

(おわりです)

〈O2〉×NIZYU KANO ポッケサック
各¥5,940(税込)

〈O2〉×NIZYU KANO ポッケトート
各¥4,400(税込)

NIZYU KANO FUKUI SIWA ナイロンリュック
各¥21,890(税込)

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