ふわふわ、もこもこ、フラッフィ。 うんとやわらかなメリノウールの プルオーバーと、カーディガンが、 あたらしい定番にくわわります。

〈O2〉fluffy-wool

予告07

〈O2〉が考える、真冬の「新しい定番服」ができました。
その名も、「fluffy-wool (フラッフィーウール)」。
モコモコした表情が可愛らしく、
なめらかな肌触りが気持ちがいい。
もちろんあたたかさもバッチリ。
デザイン監修は〈O2〉ではおなじみ、
「カトー」の加藤博さん、
「グランマ ママ ドーター」の宇和川恵美子さんのご夫婦です。
家でも、外でも、うれしい着心地のアイテムになりましたよ。

加藤 博(かとう ひろし)

自身の名前をブランド名にした「KATO’」 の創設デザイナーであり、
株式会社チームキットジャパン代表取締役社長。
これまで様々な国内外の商品の企画開発に携わるだけでなく、
生地開発や、 日本生地の海外輸出の際のディレクションなど
幅広く活躍する。
フランスの 「ET.VOUS」 のメンズライン開設時の
デザイナーとして活躍した後、
アドリアーノ・ ゴールドシュミット氏との仕事や、
RRLの商品企画開発・イタリア「Legra」の 生地開発など
世界のブランドで様々な役割を果たしてきた。

宇和川 恵美子(うわがわ えみこ)

セレクトショップの店長、バイヤーを皮切りに、
海外ブランド向け素材の企画・プロデュース、
アパレルブランド製品の企画・生産などの業務を経て、
2010年、
自身のブランド GRANDMA MAMA DAUGHTER を設立。
祖母から母へ、娘へと受け継がれていく
洋服作りをコンセプトに、
ユーザー目線を反映したゆきとどいた製品づくりで
人気を博している。

〈O2〉チーム
(以下O2)
カジュアルな冬の定番服としては、
ボアやフリースがありますが、
化繊でできたものだと暑すぎたり
汗がこもったりと不快に感じることも少なくなかったんです。
〈O2〉の「新しい定番」としてつくるんだったら
そのあたりを解決したいとおもっていて、
そんなときに出合ったのがこのウール生地でした。
かるくて気軽に着られそうだし、
ウールの特徴である吸湿性・放湿性に優れているから
汗をかいたとしても湿気がこもらない。
しかも上質なメリノウールを使っているから
肌触りもなめらかで、心地いい。
〈O2〉ならではのアイテムが作れるのでは、と
思ったんです。
加藤
実際につくってみて、想像以上のかるさでおどろきましたね。
過去にウールでボアの服をつくったっこともあったんですが、
生地がダレたり重いと感じることもあったんです。
でも、これはかるくてダレる感じもない。
宇和川
肌触りもすべすべで高級感もあって、なおかつかわいいです。
加藤
着てみてもスースーしないし、
ウールだと多少肌に刺激がありますけど、それがまったくない。
すごくいい素材なんだなって実感しました。
宇和川
生地がいいと、
デザインをつくるこちら側もうれしい気もちになりました。
O2
ほんとですか、よかったです。
メンズは加藤さん、レディスは宇和川さんと
おふたりにそれぞれデザインしていただきました。
加藤
ぼくはメンズのプルオーバーをつくらせてもらいました。
最近は家で仕事することが増えたし、
外に出るといっても自宅のまわりが多いので、
家の中で着られて、出かけるときも
着がえなくてもいいような服がいいなと思ったんです。

fluffy-wool メンズハーフジッププルオーバー

O2
家着としてリラックスした心地でいられてあたたかく、
外に出てもだらしなく見えない。
加藤
そうです。
アウターというよりはニットやセーターの感覚で
着てもらえるようなものを目ざしました。
それでプルオーバーの仕様にしました。
O2
ジップ付きのプルオーバーってもう少し襟が立って、
いかにもアウトドアっぽいデザインが多いですが、
加藤さんにつくっていただいたものはシンプルで大人っぽい。
加藤
大人っぽい印象をもっていただけてよかった。
そのために腐心したのが、じつはファスナーなんです。
O2
え、ファスナー?
そんなに目立たないですが‥‥
加藤
そう、そこなんです。
ファスナーが目立たないようにムシ(かみ合わせの部分)を
意図的に隠しました。
外からムシを見えないように
樹脂のコイルファスナーを、
あえて裏使いすることで実現できました。
O2
アウトドア感があまり前に出ていないのは
そういうところにあったんですね。
加藤
よく使われるプラスチックファスナーだと
アウトドアっぽさが強まってしまうので、
これにしました。
見た目も角がとれてやわらかい印象に。
ここは徹底して気をくばったのでうまくいってよかったです。
O2
ファスナーがボディとなじんでいるから、
すっきりした印象につながっているんですね。
シルエットはゆったりした感じを受けます。
加藤
家で着ていてもくつろげるようなサイズ感に仕上げました。
すそもリブをつけたりせずにすとんと落ちるかたちで。
O2
アウトドアやスポーツといった要素を
できるだけ払拭しているんですね。
加藤
ネック幅も少し広めにして
いちばん上までジップを閉じても圧迫感のない、
首からややはなれた状態で立ち上がるようにしました。
首元がつまっているとリラックスできない感じもあるかなと。
O2
そこまで考えてくださった襟の幅や長さなんですね。
加藤
肩にもできるだけテンションがかからないように、
肩幅を広めにしました。
動きやすさを重視して腕の可動域が広いパターンにしています。
O2
いかにストレスを感じずに着られるにはどうしたらいいか、
というのがひしひしと伝わってきます。
加藤
せっかくこのいい素材があるので、
そればっかり考えていました。
目立たないところですが、襟ぐりの内側や裾のスリット裏に
グログランテープを貼ったのもそういう理由ですね。
O2
テープを貼ったのは何か理由があるんですか?
加藤
ふつうはロックミシンで縫ってそのままなんですが、
グログランテープを上から貼ることで見た目もよくなるし、
伸び防止にもなる。一石二鳥ですね。
宇和川
男性はもちろん、女性が着てもかわいいですね。
O2
一方、レディスのプルオーバーは
メンズに比べるとさらにシンプルですが、
襟が立ったスダンドカラーがポイントです。

fluffy-wool レディスプルオーバー

宇和川
首まわりにポイントがほしかったというのと、
クルーネックにしてしまうと
スポーティな感じが際立ってしまうので、
女性らしさを入れたいなと思って
少し立ち上がった襟にしています。
O2
首元がふわふわあたたかいし、
襟つきのシャツを中に着て
ちょっと襟を出したりするのもかわいいかも。
宇和川
それ、かわいいですね。
今回、〈O2〉でいっしょにつくった
スキッパーシャツと組み合わせたときにも、
よりすてきに見えるようなサイズバランスにしているんです。
O2
すばらしいです。
宇和川
スキッパーシャツの上に重ねたときにかわいく見えるように、
こちらのプルオーバーは着丈に前後差をつけています。
後ろ側をほんの少し長めに。
重ね着すると横からの見え方がとってもかわいいんです。
O2
プルオーバーの裾からのぞくシャツの長さがちょうどいい。
コンビで着てみたくなりますね。 
ということは、
肩が大きく落ちるドロップショルダーにしているのも
シャツとのレイヤードをふまえてでしょうか。
宇和川
そうですね。
シャツを中に着たときにごろごろしないように。
そして、シルエットがまぁるくなるので
きっとかわいくなると思いました。
O2
丸みのあるシルエットが生地感とあいまって、
とてもかわいいです。
そして、宇和川さんデザインのアイコンともなっている
裾や袖口の太めの折り返しは健在です。
宇和川
裾に重みがあったほうが収まりがいいかなと思いますし、
シンプルなデザインを引き立てる
いいアクセントにもなっていますね。
O2
さらに、同じフラッフィーウールで
カーディガンもデザインしていただきました。

fluffy-wool レディスカーディガン

宇和川
カーディガンもドロップショルダーで
ゆったりしたかたちにしています。
そのぶん、着丈はやや短めに。
もこもことした素材で量感も出るので、
丈を短くすることで
見た目のイメージをすっきりさせています。
O2
すっきりした印象は襟ぐりからも感じられます。
ほんのすこしだけ、横に広がったようなかたちですか?
宇和川
はい。首まわりがすっきり見えますし、
いろいろなものに合わせやすいと思います。
首元がせますぎると
タートルネックを着たときにシワが寄っちゃったり、
襟つきのシャツだとつまって見えたりするので、
ほんとうにわずかですが、横広がりにしています。
O2
なかに重ねるものを選ばないかたちなんですね。
宇和川
あ、そうそう。
このカーディガンに裏話があって、
フロントにつけているボタン、
じつは表面でなく裏面を使っているんです。
O2
まさに「裏話」!
宇和川
サンプルの製作を工場さんにお願いしたら、
ボタンを裏向きにつけて商品が送られてきたんですが、
このボタンかわいいって思ったら裏側だったという。
表は平らでシャープな感じに見えるんですが、
裏のほうがちょっとぷっくり丸くなっているんですよね。
この素材には裏のほうが合うなぁと思って、
裏向きになりました。
O2
わざわい転じて福となす、うれしい誤算ですね。
宇和川
そういうことってたまにあるんです。
加藤
ふつうはこうするでしょ、っていうところを間違えることで、
想像とはちがったものができあがってくることもあって。
O2
失敗は成功のもと、とも言いますものね。
今回つくっていただいた3つのアイテム、
ジェンダーレスでもあってエイジレスに
着られるものになったと思います。
加藤
苦労してつくったかいがあったなぁ。
宇和川
いいものになってよかったです。
O2
ありがとうございました!

うっとりふわふわの肌触り。
fluffy-wool (フラッフィーウール)。

▲表側

▲内側

うっとりするほどすべすべな肌触りであたたかなこの生地を
わたしたちは「fluffy-wool (フラッフィーウール)」と
呼ぶことにしました。
その特徴を小野莫大小(メリヤス)工業の高橋さんにききました。

高級スーツにも使われるとびきり上質なメリノウールを使用。

ボアは一般的に、合成繊維のポリエステルを起毛させた素材を
使われることが多く、獣毛ではチクチクごわごわしていて、
コットンやリネンなどの天然繊維では
ボア特有のふわふわ感は出せないと言われていました。
しかし、それをやってのけたのが、
生地開発では右に並ぶものがいないと言われる
小野莫大小(メリヤス)工業さん。
最高クラスの
「スーパー140’s エキストラファインメリノウール」を使い、
このふわふわでなめらかな生地に仕立て上げました。
スーパー140’sというのは繊維の太さを表していて、
数字が高いほど繊維が細くしなやか。
スーツの生地では一般的に、
スーパー100’sや120’sというランクのものが使われているので、
140’sはその上をいくレベルです。
獣毛のなかでもとくに繊維の細いカシミヤと
同等の細さとも言われています。
さわってみるとかるくてすべすべ。
チクっとする感じはいっさいありません。
ぜひ素肌で袖を通してみてください。
着るぜいたく、ってこういうことかも。

縮みを防ぐ加工が肝心かなめ。

フラッフィーウールのつくり方は、起毛させるという点では
化繊でボアをつくるときと基本的には同じです。
タオル生地のようにパイルをつくり、それを針で掻いて起毛して、
タンブラー乾燥機にかけて丸くしています。
ポイントはタンブラーにかける前に、
防縮加工をほどこしていること。
ウールはそのままだと洗うたびに縮んでいってしまうので、
羊毛表面のスケール(毛の表面をうろこ状におおう表皮)を
薬品で取りのぞき、洗っても縮まないようにしています。
さらに、ポリエステル素材のボアは
摩擦に弱く毛玉になりやすいですが、その心配もありません。

ウールとポリエステルのいい関係

表側はモコモコとしたパイル編み。
裏側はフラットな天竺編み。
どちらもウールが使われていますが、
その両面をつなぐ中糸(なかいと)には
ポリエステルが使われています。
そうすることで形をキープする安定性や丈夫さ、
かるくてキックバックもいいという長所がうまれます。
ウール100%より機能性が増して、
価格も抑えめにできるということもあって、
外からは見えないようにポリエステルをはさみ込みました。
ウールがもともともっている断熱性や吸湿性、
防臭性といった天然の機能に加えて、
ポリエステルの特性が加わってパワーアップ。
蒸れずにあたたかく、丈夫で長もちします。

(おわりです)

fluffy-wool
レディスプルオーバー
各¥16,500(税込)

fluffy-wool
レディスカーディガン
各¥18,700(税込)

fluffy-wool
メンズハーフジッププルオーバー
各¥18,700(税込)

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