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- 長い生地探しの旅の果てに、ようやく出合えました。
いままでさわってきた生地とは
ひと味もふた味もちがう、「Rosy」に。
- 宇和川
- わたしもさわった瞬間に「うわぁ」っておどろきました。
いままでいろんな生地でTシャツをつくってきましたが、
いちばんすべすべですね。
- 加藤
- 極細で上質な糸をカットソー用にひいているんでしょうね。
本来は高級なブロードのドレスシャツとかに使う糸なので、
やっぱりきれいですねぇ。
- ――
- 80番手の糸をスムース編みにして、
表面には「バラの花びらをイメージした」という
超微起毛の加工がほどこされているそうです。
- 宇和川
- ああ、なるほど。
だから、高級感がありつつもふっくらしていて、
きれいすぎない風合いが出ているんですね。
- 加藤
- うん、微起毛の風合いがすごくいい。
最初に生地見本を見せてもらったときは
まだ世の中に出ていなくて、
ほんとうにできるのかなって疑問もあったんですが、
つくってみたら本当によかった。
- 宇和川
- きれいですが、気どりすぎていなくて
カジュアルにもよそいきっぽくも着られるし。
これまでのロータスやLilyよりも
さらにアップデートした生地だと思います。
- 加藤
- 80番手という極細の糸を使って、
スムース編みがでできているっていうのが
ほんとうにすごい。
これより糸が太いとちょっと重い感じになってしまうので。
- 宇和川
- 肌ざわりもいいし、しなやかです。
するするっと体になじむ感じ。
- 加藤
- そして重くもない。
- ――
- とろんと落ちる感じというか、
揺れる感じもきれいに見えますね。
- 加藤
- 今後すごい注目される素材に
なるんじゃないかなって気がします。
- ――
- 大絶賛ですね。
〈O2〉のTシャツで使うことができて、
うれしいです。
- 加藤
- これはもうぜひ着ていただきたい素材です。
「Rosy」を一度着たら最後、
ガシガシした感じの素材には
戻ってこられなくなるかも(笑)
- 宇和川
- さわったらびっくりしますよね。
一度ふれてみてくださいっていう感じです。
- ――
- その「Rosy」を使って、
3つの形をデザインしていただきました。
ひとつずつみていきましょう。
ジェンダーレスワイドT
- ――
- かたちはどのように決められたのでしょう?
- 加藤
- 特徴的なところで言うと、袖丈をやや長めにとっています。
女性が着たらひじが隠れるくらい。
男性だとちょうどひじにかかるくらい。
- 宇和川
- 長めの袖をくるくるっとまくり上げて
好きな丈に調整してもらってもいいですし。
- 加藤
- 袖口を折って着ると、ちょっとこなれて見えます。
シャツと同じような感覚で着ていただけるかなって思います。
- 宇和川
- 裾は切り替えのパーツをつけて、
ふわっとブラウジングできるデザインにしています。
きれいめなTシャツといっても
パンツの中にインして着るのはハードルが高いので、
裾を絞りぎみにして、そのまま着ても
インして見えるようなブラウジングが叶います。
- ――
- タックインするのが照れくさくて
気おくれすることもあったので、
これはうれしいつくりです。
- 宇和川
- 裾と襟は、
リブとかフライスにするとそこだけ重く見えるので、
ボディと同じ素材にしています。
生地にナチュラルなストレッチ性があるので
首まわりにも同じ素材が使えたというのもありますね。
- ――
- 共地だから統一感があって、上品な雰囲気ですよね。
- 加藤
- 下着っぽくならない感じがいいな。
あと、今回は胸にポケットをつけるのをやめました。
ポケTは下着っぽく見せないために
デザインされているものが多いんですが、
この生地にはそもそも必要ないかなって思いました。
- 宇和川
- 女性はポケットがないほうが着やすいかなって思いますし、
ブラウス的な感覚でも着ていただけます。
- 加藤
- きれいに見える生地なので、
その印象を損ねずつくることを心がけました。
省けるところは省いて、
ステッチもできるだけ隠すようにして。
縫製もはじめて中国の工場にお願いしましたが、
本当にきれいに仕上げていただいて感動しました。
- 宇和川
- あと、すごくこだわったところがひとつあるんです。
- ――
- ぜひお聞きしたいです!
- 宇和川
- 肩線なんです。
肩の縫い目をちょっと後ろ側に寄せているんですよ。
- ――
- わぁ、ほんとだ。
肩の頂点でなく背中側に縫い目が少し寄っていますね。
- 宇和川
- 肩の出っ張ったところ、
いわゆる肩山のところに縫い目があるのがふつうなんですが、
やや後ろ側にもってきたことで、
肩に生地が沿うようになっているんです。
- ――
- あぁ、なるほど。
直線的な縫い目が前から見えないぶん、
やわらかい印象になりますね。
- 宇和川
- そのほうがこの素材に合っているのかなと。
- ――
- 素材の特性や長所に合わせて、
そこまで考えてくださっているなんて、さすがです。
- 加藤
- 服は素材。
いい素材を使うとよく見える。
それに尽きますね。
今回は生地のすばらしさに引っ張ってもらった感じです。
- ――
- はやくみなさんに着ていただきたいですよね。
- 加藤
- いままで〈O2〉のTシャツを着てくださった方々にも
新鮮に感じてもらえると思いますよ!
ジェンダーレスの言葉どおり、
男女どちらも着てもらえるのでシェア使いでも。
レディス ハーフスリーブT
レディス ワイドT
- ――
- 女性用のTシャツは、
ハーフスリーブTのかたちは継続。
あたらしく、フレンチスリーブのワイドTシャツも
用意しました。
ハーフスリーブのほうは、
ひじがギリギリ隠れるくらいの長めの袖丈で、
縦のラインが強調されて着やせして見える気がして、
うれしいです。
- 宇和川
- 仕事用としても使っていただけるように、
上品なシルエットでつくっています。
対してワイドTのほうは、
ばさっと着ていただくと
二の腕がちょっと隠れるくらい。
身幅はたっぷりありますが
コンパクトに見えるように設計したので、
背が低めの方でも
バランスよく着ていただけると思います。
- ――
- それはうれしいですね。
- 宇和川
- パターンの話をすると、
肩傾斜のラインがポイントで、
角度がつきすぎると腕が上げにくくなるし、
まっすぐすぎると裃(かみしも)みたいに
はね上がってしまうので、
ちょうどよく体に沿いながら
腕にふわっとかぶるような傾斜にしています。
かための生地だと袖がきれいに垂れてくれないので、
やわらかく落ちる感じが表現できましたね。
- ――
- 生地のやわらかさがいかされています。
- 宇和川
- どちらの形も、
首元のバインダーの幅はできるだけ細くして、
女性らしさを演出。
ジャケットのインナーとしてももたつかず、
合わせやすいと思います。
- ――
- 裾のスリットもさりげなくきいていますね。
- 宇和川
- スリットは前々からの〈O2〉Tシャツの
デザインディテールを継承しているポイントですね。
スリット、そして襟ぐりの内側にはテープを貼って補強。
レディスだとあまり意識されない箇所ですが、
メンズの服づくりでつちかった経験をいかしています。
- ――
- しっかりしていてうれしいポイントです。
カラーは、レディスで4色。
オフホワイト、セピアローズ、
ミスティブルー、スチールグリーン。
メンズはセピアローズをのぞいた3色です。
- 加藤
- 「Rosy」の生地は色がすごくきれいに見えますよね。
ペールトーンも、光沢が活きてうつくしい色合いです。
- 宇和川
- 深みがあるというか。
生地にちょっとした厚みがあるからか、
品よく見えます。
どれもすっごくいい色。
落ち着いた色と春を感じさせる明るい色で
そろえられました。
とくにスチールグリーンは、
グレーにも緑にもみえる、ニュアンスのある色で。
- 加藤
- 単純な黒でも緑でもないっていう、
黒板のような深い色。
グレーのかわりになるような色ですね。
- ――
- とびっきりの生地で、うつくしい色。
ことしの〈O2〉Teeもベストバイです!