秋口から春先まで、 長く着られるものを。 tsuki.s 末永さんと小澤さんのお話
〈O2〉がスタートしたときから、 ずっと伴走してきた「tsuki.s(ツキドットエス)」。 控えめながらかわいげがあるチャーミングな服ばかりで、 デザイナー末永さんと小澤さんの目で 選び抜かれた素材が使われた その着心地のよさにもずっととりこ。 この秋冬もたのしみに待っていてくださった方も きっと多いと思います。 今季は秋冬向けとはいえ、厚手のものではなく、 どちらかというと薄手の重ね着向きなアイテムがならびます。 暖冬が予想されるいま、秋口から春先まで長い間着られて、 気に入ったものをずっと着続けてもらいたいという 末永さんと小澤さんの願いがこもったアイテムを、 どうぞおたのしみください。
末永 津喜子(すえなが つきこ)
糸会社にて編物講師、ニットテキストのデザインを経て、 大手アパレルのニットデザイナーとなる。 2011年に自身のブランドtsuki.sを立ち上げ 現在にいたる。
小澤 花樹(おざわ はなき)
美術大学で版画を学んだ後、 アンティーク着物の販売やアパレルでの経験を経て、 tsuki.sの立ち上げを共に手伝い、現在にいたる。
レイヤード風プルオーバー
小澤 一枚あるとべんりな、丈の短いコンパクトなカーディガン。 マネキンが着ているのを見るとかわいいけれど、 手持ちの服とどう合わせようかって悩むことありません?
末永 そうそう。下に何を着ようかなってね。 だったら最初から“ついている”ものを作ろうってできたのが カーディガンとノースリーブがドッキングしたプルオーバー。
小澤 くっついているからしぜんに着られるし、 合わせるものも考えなくていいですよね。
末永 ふつうにカーディガンを着ようと思うと、 インナーとの兼ね合いで 首元がくしゃっとなってしまうこともありますが、 最初から重なっていることで、 首のところもきれいにおさまります。
小澤 下のノースリーブは、あえて丈を長めにしました。 そのまま腰のあたりで くしゅくしゅっとブラウジングさせてもかわいいし、 パンツにタックインすればすっきり。
末永 生地もね、きれいな透け感がある薄手だけれど、 身頃の部分が2枚重なっているから 透けることなく安心して着ていただけそう。 着るとすべすべして気持ちいいんですよ。
小澤 じつはべつの服で使おうと思って 用意していた生地だったんですが、あまりに気持ちいいので 「これも作ろう!」って型数を増やしたんですよね。
末永 そうそう。 綿100%ですがほんのりウォーム感があって、 その心地よさにずっとつつまれていたくなりますよ。
ストライプボートネックTシャツ
小澤 やや長めの袖で、襟の開き具合や 後ろのリブなどがデザインポイントのボーダーロンTは、 ことしの春夏に好評いただいた リネンジャージーロングスリーブカットソーと同じかたち。 素材をアセテートとレーヨンとポリエステルの混紡素材に のせかえました。
末永 なめらかで光沢のある素材をスムース編みにしたことで、 リネンとはうってかわって表情が変わりましたね。 とろみのあるテクスチャーで、シワにもなりません。 綿やリネンのようなカジュアルさが薄まって、 ちょっと大人っぽい印象になったかな。
小澤 袖を通した瞬間はちょっとひやっとする感じがあって、 着ているとじんわりあたたかくなってくるような、 そんな心地もあります。
末永 ここ数年、季節の境目があいまいになって、 真冬に厚手のコートやダウンジャケットの下に着るものが セーターじゃなく、 薄手のものが多くなってきましたよね。 暖房のきいた電車やオフィスでセーターだと暑すぎますし。 これは薄手でボーダーだからそのまま着ても様になるし、 上にニットを着て袖から柄をのぞかせたり、 ベストを重ねてもかわいい。 べんりなボーダーくんです!
カフス付きボトルネック
末永 こちらもボーダーロンTと同じように、 トリアセテートとポリエステルの混紡素材を スムース編みにしてツヤを出しました。
小澤 タックもたくさん入れてエレガントに。 そのぶん、袖をきゅっとさせて、 締めるところは締めています。
末永 身幅はたっぷりとっていますが、 流れるような落ち感がある生地なので 動くたびにドレープが生まれて細く見える効果も。 編みのカットソーですが、 布帛のブラウスのように品よく着ていただけますよ。
小澤 優雅さを演出してくれているのが、 袖口に並ぶ4つの貝ボタン。 キラキラしたアクセサリーのような存在感が出ましたね。
末永 ええ、とっても上品。 レストランのディナーにも行けそうな。 シワにもならないので旅行に持っていきたいですね。
強撚ウールベスト
末永 tsuki.sでずっと使っている強撚ウールの糸を 2本取り(針に通す糸の本数のこと)して ベストを作りました。 通常の1本取りだと、 繊細で女性っぽいイメージが前に出るので、 今回は2本取りでいってみようと。
小澤 2本取りにすることで、 ハリ感が強まってかっこいいんですよ。 編み目がはっきりあらわれて、迫力があるというか。
末永 襟の表側にはリブをつけないでそのまま端目を使ったり、 裾には深めのスリットを入れたりと、 わたしの好きなデザインを入れました。
小澤 着丈はやや短めで、 体に沿うほどではないけれど 重ね着しやすいリラックスシルエット。 たとえ身幅広めのブラウスを下に着ても ごろつかないと思います。
末永 シャツだけ着るよりも、 ベストを重ねるとちゃんとした感じが出ますよね。 体温調節もしやすいし、 デスクワークなどで袖口が汚れる心配もない。 オフィスでの仕事着にもぜひ!
ラップパンツ
末永 これもね、以前使った ダブルサテンのポリエステル素材がよくって、 シワにならないしドレープがきれいに出るから、 ラップパンツにいいかもと思って採用しました。
小澤 丈は長めのフルレングスで、 もも幅も裾幅も太い、ズドンとしたワイドシルエット。 落ち感があるから、幅が広くてもだぼっとならず かっこいいんですよね。
末永 うしろにゴムが入っているので、 脱ぎ穿きも立ち座りも、とっても楽ちん。 穿くとスカートっぽくも見えるかも。
小澤 わたしのおすすめの履き方は、 裾が靴にかかるくらいがおすすめ。 ちょっとクッションさせるとかっこいいと思います。
末永 ほんのりアクセントになっているのが フロントの貝ボタン。 貝ボタンはツヤ出しもマットにもできますが、 染めも加工もせず、そのままを。
小澤 ボタンはひとつひとつ個性があって、 ちょっとちがう色もありますよね。 (撮影に使用したサンプルは) ちょっと緑がかった黒色ですが、 うすい茶色っぽいものもあるし。
末永 どんな色のボタンで届くかも、たのしみにしてくださいね。