「この子も、全身に毛糸を一本一本
植えてつくった、スペシャルな子。
長毛だけれど、運動神経抜群の女の子。
ネズミなんて簡単に捕まえちゃいます。
その運動能力や毛並み、面構えから、
たつまきと名づけました」
本物のヒマラヤンみたいに平べったい顔の猫。
目をキラキラさせて、優雅に寝転んでいます。
ふとした瞬間、本当に動き出しそうです。
「この子は、かしこーい女の子。
以前、スミスというネズミをつくったんですが、
彼は、絶滅が心配されているんです。
そのスミスを見つけてきたのが、このたつまき。
そこで『お手柄! たつまきちゃん』
‥‥となったんですけど、
それっきりスミスは見つかっていないのです。
だから、
本当に最後のスミスを捕まえちゃったのかも?」
作品と作品の間に、そんな関係性があるんですね。
「毛糸を1本1本、
ていねいに、ていねいに植えていく作業は
終わりがないんです。
ふと見ると、ここ足りないって足しちゃうんです。
こういうつくりかたは、ちょっとはじめて。
長い毛がちょこちょこありますので
飛び出てるのがあったら、なでてあげてください」