「POP!」副社長・レシピ開発責任者Sachin Ajith さんインタビュー サーチンさんに聞いた「POP! gourmet popcorn」のおいしさのひみつ。
「カレーの恩返し グルメポップコーン」を
いっしょに作ったのは、シアトルのポップコーンブランド
「POP! gourmet popcorn」のみなさんです。
ブランド自体の特徴を教えてもらえたらと、
副社長であり、創業時からレシピ開発の担当をされている
サーチンさんにお話をうかがいました。
「最高級のポップコーンを作る」というコンセプトのもと、
おいしくて斬新なフレーバーを次々誕生させてきた
「POP! gourmet popcorn」。
その魅力が少しでも伝われば、うれしいです。
「POP! gourmet popcorn」が
考えてきたこと
こんにちは。Sachin Ajithと申します。
「POP! gourmet popcorn」で、創業時からずっと、
ポップコーンのレシピ開発を担当しています。

「POP! gourmet popcorn」は
ぼくらが2009年にはじめたブランドです。
どうしてポップコーンの会社を立ち上げたかというと、
当時、アメリカの景気はあまり良くなかったんですが、
みんな、景気が悪くてもお菓子は買うんです。
だから最初は、創業メンバーのみんなで、
「お菓子でなにかおもしろいことができるんじゃないか」
と考えて、スタートしました。
ポップコーンについては、もともとアメリカでも
「映画館で食べるもの」というイメージが強かったんです。
だけど最近では、もっと日常的なおやつとして、
食べられるようになってきました。
ポップコーンは他のスナックより栄養価が高いし、
食物繊維もとれて、カロリーも低い。
以前だったらポテトチップスを食べていたときに
ポップコーンを選ぶ人が、ずいぶん増えました。
実際にこのごろは、映画館で売れるポップコーンの数よりも、
スーパーで売れる数のほうが多くなってきています。

そこでぼくらは、新しいポップコーンのブランドを作ろうと、
まず、いろんなポップコーン屋さんを
調べるところからはじめました。
50年、100年作り続けている老舗も含めて
100~150軒ほどのお店について調査したんですが、
そのとき「いけるかも」と感じたんですね。
なぜかというと、ぼくらが使いたい材料と、
一般的に使われている材料には、大きな違いがあったんです。
ぼくらは最初から、すごくいい材料ばかりを使った
最高級のポップコーンを作りたかったんです。
だけど実際には、そんなポップコーンは製造されてない。
きっと食べたい人たちは多いんじゃないか。
そうしたリサーチも後押しになって、
「常に最高級のポップコーンを作ろう」という
「POP! gourmet popcorn」の
コンセプトが固まっていきました。
そういった考え方ではじまったブランドなので、
ぼくらは常に最高級の食材を使うことに
すごくこだわって作っています。
よりおいしくなる材料があれば、それを選びますし、
日々、新しいおいしい食材を探しもしています。

また、ぼくたちのポップコーンは、
ナチュラルフレーバーを使用し、グルテンフリーで、
GMOフリー(遺伝子組み換え作物不使用)ということを
大前提として掲げています。
いくら味が良くても、体によくないものでは、
「最高級のポップコーン」とは言えないですから。
そんなふうに「POP! gourmet popcorn」は、
味はもちろんのこと、体への影響という部分でも
最高級のポップコーンをめざしているブランドなんですね。
「POP!」の新フレーバーづくり
ぼくらがどのようにポップコーンのフレーバーを
開発しているかは、具体的な商品をもとに
ご紹介させていただくのがいいかと思います。

たとえば「ホワイトトリュフブリス」という
初期に開発したフレーバーがあります。
これは、白トリュフのオイルを使った
輝くような白さのポップコーンです。
味の決め手は白トリュフオイルですが、
通常販売されている白トリュフのオイルというのは、
ほとんどが人工的に香りをつけたものなんです。
だけどぼくらは、そうしたものは使いたくありませんでした。
そこで、スペインまで行き、
ほんものの白トリュフをオイルに漬け込んで作った
トリュフオイルを作るメーカーにオイルを分けてもらい、
それで作ることにしました。
そうして完成した「ホワイトトリュフブリス」は、
いまに至るまで、とても人気のあるフレーバーです。

また、同じく初期に生まれた
「チョコレートソルテッドキャラメル」は、
キャラメルを一から作ることからはじめました。
多くのポップコーンメーカーが作っている
キャラメル味のポップコーンというのは、
実はたいてい、既製品のキャラメルソースだったり、
粉末のキャラメルミックスから作っているんです。
そのため、どこでも似た味のものができあがる。
だけど、ぼくらはそれでは嫌でしたし、
おいしいほうがいいから、
自分たちのポップコーンに合わせて
一からキャラメルを作ることにしました。
また、チョコレートも、そのときどきで市場にでている
最高級のチョコレートを組み合わせています。
この「チョコレートソルテッドキャラメル」も、
長年にわたって高い人気を誇る定番フレーバーです。
「よりおいしいもの」を追求するなかで、
長い経験を持つベテランのメーカーと製品を作る、
というやりかたもとるようになってきています。
こうしたフレーバーは、
向こうのかたにも納得してもらえる品質に
仕上げないといけないので、時間はかかりますが、
おいしいものができると、ほんとうに嬉しいんですね。

たとえば、老舗のブラウン&ヘーリー社と作った
「アーモンドロカ」フレーバーのポップコーンは、
同社の100年近い定番人気商品を
ポップコーンのかたちで再現しました。
もとになった「アーモンドロカ」というお菓子自体が
すごくおいしいものなのですが、
いっしょに組ませてもらうことで、
他のどこにもないスペシャルなものができたんです。

また、世界で27個の金賞を受賞している
ブルーチーズのメーカー、
ローグクリーマリー社といっしょに作った
ブルーチーズ味のポップコーンも、とても人気があります。
非常に高価なブルーチーズの大きな塊を
2週間かけて乾燥させて作っているのですが、
とんでもない原価がかかります。
だけど、それだけのおいしさがあるものなので
発売してみたら、大評判になりました。
このフレーバーはアメリカの高級食材の業界で
もっとも権威ある「ソフィアワード」で、
「Most Outstanding Snack of the Year」
という賞を2013年に取りました。
このフレーバーにより、「POP! gourmet popcorn」は、
ポップコーンで初めて金賞を受賞したブランドになりました。
また、2014年には自分たちが特許製法として編み出した
「インフュージョン製法」で作った
「チェダーハラペーニョ」フレーバーのポップコーンも、
同じく「ソフィーアワード」で
「Most Innovative Snack of the Year」をとりました。
これは、油の中に生のハラペーニョを注入し、
そこにポップコーンを入れてポッピングしたもので、
誰も食べたことのないおいしさの
ハラペーニョ味のポップコーンだったんです。

ぼくらは他の誰もがやってないことを
追いかけるのが大好きなので、
どんどんそういった方向へ行くんですね。

そんなふうに、いろいろ改革してきた結果、
「POP! gourmet popcorn」は
いま、世界でいちばん多くの賞を受賞している
ポップコーンブランドになっています。
金賞、銀賞合わせて、世界中で12個。
そんな立場にいるので、ぼくたちはこれからも、
おいしくて革新的なポップコーンを
どんどん世の中に出していけたら、と思っています。
「カレーの恩返し
グルメポップコーン」と
「カレーの恩返し」について
今回の「カレーの恩返し グルメポップコーン」は、
「POP!」の日本のスタッフと、
「ほぼ日」のみなさんで作っていただきました。
日本のかたに好まれる味わいと、
アメリカで好まれる味わいにはやはり違いがあるので、
日本のスタッフに担当してもらいました。

最初に食べたときの印象としては、
ぼくはインド系のアメリカ人で、
子供の頃にインドからアメリカに移ったのですが、
昔から地元で食べてきたカレーの味がして、
すごく懐かしい、うれしい気分になりました。
この香りは「マドラスカレー」という
マドラス地方の典型的なカレーによく似ているんですね。
マドラスカレーはガラムマサラという
スパイスミックスを使うのが特徴で、
「カレーの恩返し」にはガラムマサラと同じスパイスが
多くつかわれています。
もちろん、正確にはマドラスカレーよりも、
さらにたくさんのスパイスが
複雑に絡んでる感じがありますけど、すごく近い。
実は、最初に食べた時、
日本のものというイメージはまったくなかったです。
インドの味わいのポップコーンだと感じました。
ただ、ガラムマサラというスパイスは、
イギリス人がそのパワフルな香りを気に入って
本国に持ち帰り、世界中に広まったスパイスです。
世界で好まれる味わいなんですね。
だから、この「カレーの恩返し グルメポップコーン」が
日本で開発されたということには、
なんだか腑に落ちる感覚もあります。

このポップコーンのすばらしいところは、
まず、食べた瞬間に香りがくるということですね。
ほかのポップコーンだと、あとからしかこないけど、
これはもう、食べてすぐに香りがきますから。

そして、ほかの「POP!」のポップコーンとも
通じるおいしさではあるのですが、
噛んだときにもちゃんとオイルのいい香りがする。
そのときもカレーのスパイスがふわっと香る。

また、薫製アーモンドMIXとキャラメルMIXは、
どちらもコンビネーションとして、すごくいいですよね。
ナッツはもともとカレーにも入れますし、
相性がとてもいいもの同士の組み合わせ、という感じ。
また、キャラメルポップコーンも
とても賢いコンビネーションだと思います。
みんなやっぱり、甘い味のと塩辛い味を混ぜて、
交互に食べたい欲求がありますから。
細かい話ですが、MIXの比率や量も
この感じがいいですね。
食べるときのリズムや食べきれる量を考えても、
とてもいい商品だと思います。
この1袋を、いちどにぜんぶひとりで
食べられてしまうようなおいしさがあります。
これまで日本限定フレーバーはいろいろ出していますが、
もしかしたらこのカレーフレーバーが
いちばん日本人に好まれるかもしれない、という気がします。
そのくらい可能性を感じるおいしさだと思います。

実は、ぼく自身の印象としては、
日本だと、まだまだおいしいポップコーンが
そこまで広まってない感覚があるんですね。
だから今回、こういうおいしいポップコーンが
世の中に出て行くことで、
「こんなにおいしいものがあるんだ」と
広く認識してもらう流れができたらと思っています。

(ちなみに、サーチンさんとしては「カレーの恩返し」のスパイスは、
ポップコーンのほかに、どんなものに合うと思いますか?)

うーん、あの、ええと‥‥。
じつはですね、インドだとカレーパウダーは
何にでもかけちゃうんです(笑)。
だからもう、これ、となにか決めるまでもなく、
いろんなものに合うと思います。
だけど、それでは答えにならないので、
日本人のかたが想像しないような使い方としては、
お菓子に使ってもおいしいと思います。
チーズケーキなどの生菓子の上にのせたり、
プリンに一層だけこの「カレーの恩返し」を
かけたりしても、きっとおいしい。
初めにちょっと香りが来て、あとに甘さが来る、
複雑な味わいを楽しめると思います。
あと、チョコレートもいいですね。
いちど火にかけて香りを出したものを、
トリュフチョコみたいなものの上から、
サラサラッとひとすじソースのようにかけると、
コクが出てきっとおいしいと思いますよ。
(サーチンさん、ありがとうございました!)
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