HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
entoanのストラップポーチとちいさなポーチ。〈 2021年3月23日(火) 午前11時販売スタート〉 entoanのストラップポーチとちいさなポーチ。〈 2021年3月23日(火) 午前11時販売スタート〉
きれいな3つの色、使いやすい2つのサイズ。
靴職人の櫻井義浩さんと富澤智晶さんが運営する
entoan(エントアン)から、
大きめの「ストラップポーチ」と
コンパクトな「ちいさなポーチ」が届きました。
いつものentoanとちがうのは、
ほかにはないカラーバリエーション。
いままでにない質感とあざやかな色の、
イタリア・テンペスティ社の革を使っています。
手触りのよさ、だけでなく、
タンニンなめしでは出せないと思われていた
あざやかな発色で、使うほどに深みを増していきます。
革靴が本業のentoanにとって、
小物は「革に興味を持ってもらうための入門アイテム」。
いい革を使って、オーダーメイドの靴づくりでつちかった
たしかな技術でつくられたふたつのポーチ、
「自分たちで言うのもなんですが、
すごくいいものができました」と、
ふたりは胸を張っています。
01 ひとまわり大きくなった「ストラップポーチ」。 01 ひとまわり大きくなった「ストラップポーチ」。
ストラップポーチは、これまでentoanでつくってきた
「だいじなポーチ」の流れをくんでいます。*現在、ほぼ日では「entoanのバッグ clutch」という名前で販売しているアイテムです。
おおきなトートバッグの余り革を使って
つくりはじめたのが2013年のこと。
サイズはストラップポーチよりひとまわり小さめでした。
今回のストラップポーチの原型となるアイテムは、
「hobonichi + a.」で販売をはじめたところ、
お客様から好評をいただき、長く販売をしてきたものです。
そうしたらお客様から、
もう少し大きいサイズが欲しいっていう声をいただいて、
じゃあ、つくってみようという話になりました。
ところが単純におっきくしたら、
ちょっとバランスが崩れてしまった。
「だいじなポーチ」は四角っぽいバランスが
かわいらしかったんですよね。
いろいろ試行錯誤をしながら、バッグインバッグとしても、
このままクラッチのように使ってもいい、という
「便利なサイズ感」をめざしました。
長財布も入りますし、仕事で使う文具やスマホなど、
こまごましたものを入れて運ぶのにも便利ですよ。

ストラップも大きさにあわせてすこし長めに。
手さげとして使うこともできて、
デザインのかわいいアクセントにもなります。
ベルトの片側が取り外し可能なので、
大きなバッグの持ち手につけることもできます。

内側は、「ちいさなポーチ」と同様に
コットンツイル生地をつけましたが、
面積が大きいので、単調に見えないよう、
また丈夫さも考えて、縁を革でパイピングしています。
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02 かわいいけど実力派「ちいさなポーチ」。 02 かわいいけど実力派「ちいさなポーチ」。
今回つくったふたつのうち、とくに「ちいさなポーチ」は
entoanとほぼ日でやり取りを重ねて仕様を決めました。
大きさはすんなり決まったのですが、
たとえば縁(ふち)の処理をどうするかなど、
細かい仕様を詰めていく作業には時間をかけました。
「持っていて、嬉しい」という気持ちがわくほうを、と
ちょっと手がかかる仕様を選んでいます。
「ちいさなポーチ」のサイズは、
リップとフリスクに車の鍵と絆創膏、のように
「いつも持ち歩きたい」ものが入る大きさです。
毎日使うのにストレスがないよう、
手指の出し入れがスムーズにできる
開口部にすることは大事でした。
それでサンプルをいくつかつくってみて、
「ちょっと深い」サイズ感がいいなと。
さらにジッパーの取り付け方や、マチの幅を調整して。
見た目のかわいらしさと使いやすさの両方を考えて、
このサイズに落ち着きました。

革の部分の縁が、ぐるっと丸みをおびて縫われているのは、
パイピングという技術です。
これは靴づくりでも使う技術ですが、
「ちいさなポーチ」のパイピングは、ちょっと違います。
材料や原理は一緒なんですが、
中に、靴では使わないポリ芯が入っています。

内側に薄くて丈夫なコットンツイルを貼り、
ポケットをつくり、さらにカラビナをつけるなど、
細部の工夫を考えました。
ポケットは、カードを入れるとちょうど隠れる程度の深さ。
開いたときの視認性が高く、取り出しやすいのに、
こぼれない安心感があることが大事だと思って決めました。

すごく細かなところを言うと、
マチのジッパーの下のところは、
おもてにステッチが見えないようにしています。
なるべく見えないほうがかっこいいなと思い
アクセントとしてあるステッチ以外は隠しているんです。

ジッパー部分は、いくつものパターンを試作した結果
ゴールドの金属ジッパーに革の引き手という組み合わせに。
これにあわせて、ジッパー脇の生地の色を決めました。
トゥルケーゼとコラーロは革と布が近い色に、
グラフィテはグレーの濃淡で
ツートーンになる色を選んでいます。
判断の基準として、これまでのentoanらしさを守るか、
それとも、色を新しい感じにするので、
ちょっと違うほうにジャンプするかで迷いました。
でもentoanは、カジュアルなものをつくっても、
つくりのいいものを提案していきたい。
そこで、どちらも大事にする、という道を選びました。

entoanのロゴは内側に。
そしてさらにその裏に、鳥のマークがひそんでいます。
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03 テンペスティ社の革を使っています。 03 テンペスティ社の革を使っています。
こういうポーチって、いくらかたちがよくても、
黒や茶色に金の金具だと、
ちょっとおじさんのセカンドバッグみたいに
見えちゃうかも? と思ったのです。
そんなときentoanのふたりから
「すてきな色の革があるんです」と
教えてもらったのが、今回使ったイタリアの革。
そういえば、企画の最初から、思い切っていつもとは違う、
明るく、元気が出るようなことがしたいですよね、
と話していましたっけ。
今回の革は、1946年にイタリアのトスカーナで創業した
テンペスティ社の製品です。
これまでもいろいろな革を扱ってきましたが、
クロム(化学薬品)なめしではなく、
タンニン(植物)なめしで、
こんなにあざやかな発色の革は、見たことがありません。

何が違うんだろうと不思議に思うんですよ。
よく言われるのは水が違う、空気が違う。
つまり、染めた革を乾かすために干すときに、
独特の変化をするのかもしれない。
でも詳しいことは企業秘密だそうです。
原皮の質が違うっていうのもあると思うんですけど、
やっぱり‥‥色のセンスはお国柄なのかな。
日本で、この色が出せるとは思えません。

テンペスティ社の革は、
entoanでも時折靴に使ってきましたが、
こうして小物に使うのは初めてです。
色の見本を見たときに「これは!」と思って、
いつか使えたらいいなとストックしていたんです。

テンペスティ社でも、この色はメインではありません。
もしかして、日本ではentoanぐらいしか使っていないかも? 
というくらい、めずらしいシリーズの革なんです。
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04 経年変化が、きれいです。 04 経年変化が、きれいです。
タンニンなめしは経年変化をするのが魅力。
じっさいにどんなふうに変わっていくんでしょう?
まず上に塗ってある白っぽい蝋が擦れて、取れていきます。
その後に、その擦れたところから色が濃くなったり、
ツヤが出るなどの変化が起き、
全体的に「味」と言える状態になっていきます。
タンニンなめしで、こんなにきれいな発色で
経年変化をしていく革って、本当にないんです。

しかもテンペスティ社の革は原皮がいい。
ていねいにストレス無く育てられ、
丁寧に加工をされているんだなと思います。

色はそれぞれ3色。
グレーは「グラフィーテ」(grafite)
ブルーは「トゥルケーゼ」(turchese)
ピンクは「コラーロ」(corallo)という名前。
それぞれ、その色じたいが濃く
(たとえばグレーが黒、のように)なっていく、
というよりも、もとの革の茶色が出て、
複雑な色味になっていきます。
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05 entoanのプロフィール。 05 entoanのプロフィール。
櫻井さんと富澤さん、
靴職人ふたりのチームであるentoan(エントアン)。
その横顔を、紹介します。
entoanは、靴職人の櫻井義浩(さくらいよしひろ)さん、
富澤智晶(とみざわちあき)さんのふたりが、
オリジナルデザインで、手づくりの靴をつくる工房です。
セミオーダーの革靴をはじめ、
鞄や小物、最近では家具などにも着手。
素材の良さ、ていねいに仕上げるその技術と
しずかに「もの」と「ひと」をみつめるセンスで
注目を集め、その活動の幅をひろげています。

櫻井さんは1984年生まれ、靴職人。
大学で会計の勉強をするも、卒業を前に進路変更、
ちいさな頃から好きだった「靴」の世界にとびこみました。
エスペランサ靴学院で基本的な靴づくりをすべて学んだあと、
在学中からアルバイトをしていた靴修理の会社を経て、
クリエイターの独立支援をおこなう
「浅草ものづくり工房」内に「entoan」を設立。
3年間、浅草をベースに活動を続けたのち、
2012年、埼玉県越谷市に工房を移転しました。

富澤さんは高校卒業後、文化服装学院に入学、
ファッショングッズ基礎科で
シューズ、バッグ、帽子、ジュエリーの基礎を学びます。
2、3年生はシューズ科に進学、
3年生の夏にエスペランサ靴学院と合同で行った
靴のファッションショーで櫻井さんと出会いました。
卒業後、婦人靴メーカーに就職し、販売と企画を経験。
そののち、靴のアッパーを作る
製甲職人のもとで1年間働きます。
大量生産ではなく、ひとつひとつ人の手で
ものが生まれる経験と、一流の製甲職人の生きた技術を
学べたことが、富澤さんの転機となったそうです。

やがて櫻井さんの「entoan」が軌道にのり、
仕事が忙しくなってきたことをきっかけに、
富澤さんも正式に参加。
ふたりでものづくりをはじめ、
公私ともにパートナーとして、現在に至ります。

現在では年に数回の展示会をおこなうほか、
工房にショップを併設、
また最近ではネットショップにも力を入れ、
展示と販売をおこなっています。

ふたりはもちろん
オーダーメイドの革靴をつくることが本業ですが、
あまり革を使ってつくりはじめた小物も好評。
「ほぼ日」ではこれまでにトートバッグ、ポーチ、財布、
パスケース、ルームシューズなどを販売してきました。
こちらからどうぞ。
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06 ロケは神田界隈で行ないました。 06 ロケは神田界隈で行ないました。
今回の「ストラップポーチ」と「小さなポーチ」は、
「ほぼ日」本社のある神田錦町を拠点に、
おとなりの神田神保町など、ご近所のみなさんに
協力をいただいて撮影しました。
SOCIAL GOOD ROASTERS 千代田
東京都千代田区神田錦町1-14-13 LANDPOOL KANDA TERRACE 2F
https://sgroasters.jp/
ソーシャルグッドロースターズ 千代田は、
ハンデキャップのあるバリスタや焙煎士が活躍する
ロースタリーカフェです。
「ほぼ日」が引っ越してすぐの1週間、ここのみなさんが
毎日(!)コーヒーを淹れに来てくださったこともあって、
乗組員にとっては
ここが神田のコーヒーのおいしい味の基準。
丁寧にハンドソーティング&焙煎されたコーヒー豆もおいしい。
ネットショップも覗いてみてくださいね。
KANDA SQUARE
東京都千代田区神田錦町2-2-1
https://kanda-square.com/
KANDA SQUAREは、
2020年9月、神田錦町にできた複合型オフィスビル。
11月末に引っ越してきた「ほぼ日」のちょっと先輩です。
レストランやショップ、スーパーマーケットもあります。
今回は公開空地となっている、
1階の公園のような場所をお借りして撮影しました。
神田錦町更科
東京都千代田区神田錦町3-14
神田錦町更科(かんだにしきちょうさらしな)は、
1869年、明治2年創業の蕎麦屋です。
麻布十番の更科堀井の最初ののれん分け、
という、東京の蕎麦好きのあいだでも有名なお店です。
でも敷居が高いわけじゃなく、とっても庶民的です。
基本の蕎麦はもちろん、トマトを使ったり、
しょうがを天ぷらにしてみたり、
メニューにあたらしい工夫を続けているのもみごと。
写真に写っているのは「天せいろ」です。
ちなみに内海桂子さん
10歳のとき、ここの子守奉公をしていたそうですよ。
magnif
東京都千代田区神田神保町1-17
http://www.magnif.jp/
magnif(マグニフ)は、
神田すずらん通り商店街にある古本屋さん。
magnifのmagはmagazineのmag、
お店のロゴには「zinebocho」とあるように、
雑誌の古本屋さんなんです。
ファッション雑誌を中心にセレクトされた蔵書は、
カルチャー好きにはたまらないラインナップですよ。
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ストラップポーチ
各18,700円(税込・配送手数料別)
ちいさなポーチ
各6,380円(税込・配送手数料別)
[素材]
本体/牛革(イタリア・テンペスティ社)
内側/コットンツイル 綿100%

[生産国]
日本

[サイズ]
<ストラップポーチ>
・高さ 200mm
・幅 265mm
・ストラップの長さ 145mm(全長300mm)
<ちいさなポーチ>
・高さ 80mm
・幅 110mm
・マチ 20mm

[色]
グラフィーテ(grafite)グレー
トゥルケーゼ(turchese)ターコイズブルー
コラーロ(corallo)コーラルオレンジ

[お取り扱い上の注意]
革本来の風合いをお楽しみいただけるよう、
植物性タンニンなめしを施しております。
そのため、革が元々持っているシワ、キズ、
汚れ、シミ、血筋の跡などが見られます。
革のもつ特徴をご理解いただき、
革素材の独自の風合いとしてお楽しみください。

また、濡れた場合は、
乾いた柔らかい布等で十分に水気を拭き取り、
室内や日陰で自然乾燥してください。
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販売時期・販売方法
2021年3月23日(火)午前11時より数量限定販売。

出荷時期
1~3営業日以内に出荷
STAFF
Photo/ Nao Shimizu
Styling/ Kaori Kawakami
Hair & Makeup/ Aya Murakami
Model/ Miyuki Arihara
entoanの3つのバッグ entoanのルームシューズ。 entoanの3つの財布とふしぎなパスケース