2018年にTOBICHIでお披露目し、
2023年にはじめて「ほぼ日ストア」で通販をおこなった
entoanのフリンジサンダル。
アッパーに上質な一枚革を使い、
靴職人である櫻井義浩さん・富澤智晶さんらの手で、
ていねいに、手縫いでつくられた、
フリンジが特徴的な履き心地のよい一足です。
いろんなおしゃれに合わせやすいこのサンダルが、
新色をたずさえて「ほぼ日」再登場となりました。
オンラインで久しぶりにお話をうかがったところ、
ことしのフリンジサンダルの変化から、
いまつくりたいと思っているもののこと、
これから先2年の働き方計画についてなど、
いろいろな話題がとびだしました。
全1回で、おとどけします。
>entoanのプロフィール
- ──
- フリンジサンダル、
今回はなにか改良点はありましたか。
- 富澤
- 今回は革の裏面にコーティングをしました。
いままでも、色移りは少なかったと思いますが、
樹脂加工をすることで、
より、色移りの心配を軽減したいと思ったんです。
- 櫻井
- それから、革の裏側って、
ちょっとボサボサしている部分がありますよね。
見栄えと履き心地の意味から、
そういうところがなくなるよう、
全体に圧をかけて、すべすべにしています。
さらに、そのうえから
コーティングをほどこしているんですよ。
- 富澤
- 昨年、通販でお届けするのは初めてのことでしたから、
いろいろと心配をしていたんですよ。
でも大きなトラブルはなく、よかったなと思いつつ、
色染めした革の色移りだけは心配で。
- ──
- ご購入のお客さまから、
色移りについてのご意見はありませんでしたよ。
- 富澤
- よかったです。
通販は、対面販売とはちがう
緊張感がありますよね。
- ──
- ずっと対面販売を行なってきたentoanでは、
サイズやフィット感が比較的自由な
ルームシューズだけは通販をしていたものの、
それ以外のシューズをこうして販売するのは、
あたらしいチャレンジでしたものね。
普段は採寸をして、フィッティングをして、
その人に合わせた履き心地の
シューズをつくっているわけですから‥‥。
好評で何よりでした。
- 富澤
- 試着ができませんから、
ご購入のかたからサイズ交換のご要望を
もっといただくものなのかなと想像していましたが、
それも少なかったそうですし、
履き心地の違和感などについてのご意見も
ほとんどなかったと聞いて、ほっとしました。
- ──
- サイズ選びについて、
ページで詳しく図にして
解説したのもよかったのかな、
と思っています。
- 富澤
- よかったです。
まだ先になると思いますが、
こういう通販のできる靴のシリーズで、
サボをつくりたいなという思いがあるんです。
まだ、なにも進んでいないんですけれど。
- ──
- サボ! 木靴っていうことですか。
- 富澤
- そうですね、
底面を木にするのか、
それとも履き心地を考えて
スポンジ系のほうがいいのか、
そのへん、まだわからないんですけど、
かかとがないタイプで、つま先が覆われている、
「すっと」履ける靴というイメージです。
そんなにサイズもシビアじゃなく、
ふだん、履けるようなものをつくりたいなと
思ってるんです。
- ──
- いいですね。それはぜひ!
- 富澤
- ちょっとまだ先になりそうですけれど(笑)。
- ──
- たのしみにしています。
櫻井さんはいかがですか?
今年、やってみたいこととか。
- 櫻井
- 自分の活動としては、
これから2年間ぐらい、
受注展示会を休憩しようかなというふうに思っていて。
- ──
- おお、それは、なぜですか。
- 櫻井
- 「つくる」ことに精一杯になっていたので、
ちょっとペースを落として、
新しいものをどんどん作っていこうかなと思うんです。
- 富澤
- 各地で展示会を開いて、
直接履いてもらってっていう
販売方法できたんですけれど、
ここ最近、なかなか靴の販売が
厳しかったりするのもあって。
それで、販売の仕方とか、
どういう靴をつくるかも含めて、
ちょっと考えたいなっていう期間にしようと。
- 櫻井
- ただ次の展示会の予定を
2025年の9月に入れてしまったので、
そこまでの期間を新作づくりにあてようと。
受注は、いま受けている分までで、
ストップします。
- 富澤
- その間、在庫品の販売と、
ネットショップは稼働しますよ。
単発で在庫品を売るイベントなどは
たぶん参加していくと思います。
靴の型も増えたので、
これから先、作り続けたい靴と、
廃番にする靴を振り分けようと思います。
そのへんも考えてラインナップを整理して、
販売方法や、新しいものを増やすことを考えつつ、
これからのentoanの方向性をどうしていくか、
考える時間にしようと思います。
- 櫻井
- なかでも、新しい物をつくるっていうのを、
一番の優先にしようと。
- ──
- それは大きなチャレンジですね。
- 櫻井
- そうですね。
- ──
- 櫻井さんがなさろうとしている新しいことというのは、
具体的なアイデアがあるんですか?
- 櫻井
- 方向的には、「履く」靴だけじゃなく、
もう少し楽しいっていうか、
アート的なものをつくってみたいって思っています。
- ──
- entoanの初期、
「木にぶら下がる実のような靴」
という作品がありましたが、
(左右の靴が底面で磁石でくっついて
ひとつの実のようになり、
それが木の枝につくようになっている)
そんなような?
- 櫻井
- そうですね。そういう系のものも
つくってみたいですね。
でも正直具体的なことはまだなくて。
- 富澤
- こんなにノープランで
大丈夫かなって感じですけれど。ふふふ。
- ──
- 以前TOBICHIでも「こぐつ」(子ども靴)を
やっていただきましたが、
家族が増えたことで、
「こぐつ」にバリエーションが生まれたりは?
- 櫻井
- そうですね、もう少し大きいサイズを
つくりたいなと思ってはいるんです。
17cm、18cmぐらいまでのものかな。
そのサイズを超えると、
子どもの足じゃなくなって、
男性靴、女性靴になっていくんですよ。
- ──
- 子どもの足の卒業間近のサイズまで
広げてみたいっていうことですね。
- 櫻井
- そうですね。
- ──
- あの丸っこい印象で
大人の靴があったらかわいいのにな、
と思うんです。
- 富澤
- 結構、いろんな方から言われますね。
- 櫻井
- よく、言われます。
ありがたい意見なので、
僕もつくりたいとは思うんですが、
なかなか形になりません。
まだ考えを「ためている」状態ですね。
- ──
- それとは別に、「ほぼ日」とは、いま、
あたらしい革小物を計画していますよね。
まだ、具体的には発表できないんですけれど。
- 富澤
- そうなんです。
それも、結構、進んでいますよ。
もうすぐサンプルが完成すると思いますよ。
ぜひ楽しみにしていてください。
(おわり)
2024-03-08-FRI