HOBONICHI HARAMAKI HOBONICHI HARAMAKI

くすっとくるアイデアをデザインにのせて。
笹尾光彦さんインタビュー
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オードリーヘップバーンの映画「パリの恋人」。
パリに憧れるおのぼりさんのアメリカ人の三人が、
シャンゼリゼ(凱旋門)やエッフェル塔をめぐって
歌い踊る曲、「ボンジュール!パリ!」。
そんな気分で、パリの街を描いた
ドローイングのハラマキが生まれました。
デザインしてくださったのは、画家・笹尾光彦さんです。
今回のシリーズが生まれた経緯や、
5つのアイテムのデザインにこめられた気持ちを
ハラマキチームでうかがいました。 笹尾光彦さんプロフィール
パリが好き。

展覧会が無事オープンできたところで、
お忙しいなか、貴重な時間をありがとうございます。

いえいえ。ハラマキも間に合ってよかったです。

▲取材にうかがったのは、ほぼ日曜日で
「PARCOでSASAO展」がオープンしたばかりの頃でした。

はい。ハラマキ、けいとのぱんつ、
レッグウォーマーが1柄ずつと、ゆたんぽが2柄。

どれもよく仕上がったんじゃないでしょうか。

とてもおしゃれだと思います。
でもまさか手描きのドローイングになるとは
思っていませんでした。

そうでしたか。

笹尾さんといえば画家としての
「レッドソファ」のイメージがあったので。
ここにあるような油彩画を描かれるのではないかと
想像していたんです。

油絵をベースにしたような
多色のデザインということですね。

はい。ただ「ほぼ日ハラマキ」は
機械織りのニットということもあり、
使える色の数に制約があります。
それをお伝えしつつ、
笹尾さんがどう表現なさるのかと思っていたら、
ドローイングという答えを出してくださって、
「おお‥‥!」と。

デザインってどんな仕事でも
制約がありますからね。
今回の制約だと、
やっぱり普通の絵画を再現することはできないんです。
でもそれがあったから
ドローイングという形を考えられたので、
よかったんじゃないかと思います。

ええ。線がちょっと揺れている感じも、
ニットの表現と合っている気がします。

そうそう。
このドローイングが建築みたいに
ぴしっと表現できたらつまらないですよ。

展覧会のみなさんの反応を見てると、
「かわいい!」と声がきこえてくるので、
本当によかったと思いました。

それはよかったです。

今回ハラマキのテーマとされたパリに、
笹尾さんは毎年のように
いってらっしゃいますね。

もう、50回以上は行っていますね。

野暮な質問かもしれませんが、
笹尾さんは、どうしてパリがお好きなんでしょうか。

僕は中学生のときの誕生日に
マティスの画集をもらったんです。
そこで初めてマティスという存在を知って、
大好きになったんです。
マティスが18歳から
南仏ニースに移る48歳まで住んだのがパリ。
それから大人になって
初めて仕事で海外ロケにいったのがパリでした。
当時はなんにも知らなかったけど、
美術館に行って、本屋さんに行って、
カフェにも行って。
それがとにかく、
居心地がすごくよかったんです。

まぁ、こんなふうに
理由を言うこともできるんだけど、
人の出会いでも
「どうしてあの人好きになったの?」って
言われても、わからないでしょ?

わからないですね。

うん、わからないと思うんですよね。
だけど僕にとって、
たまたまその出来事があったことで、
パリを好きになっているんです。
もう何度も行っているけど、
いまだに「フランス語がしゃべれない」っていう
フランス語が言えるだけで(笑)。

以前、ほぼ日の奥野が
パリに旅行に行くとき、
笹尾さんが「おのぼりさんのためのパリ案内」という
メールを奥野に送られましたよね。
4日間でパリを観光する計画を、
とても丁寧に書いてくださった内容で。

あのメールはね、すごく楽しく書いたの。
おのぼりさんのためにね。
奥野さんもそのとおりに動いちゃってさ。
あれを全部こなしたなんて、すごいよ。

社内でも「すごいメールが来た」って
話題になったんです。
あの、「おのぼりさんがパリに行く」っていう
ちょっとひょうきんな雰囲気が、
今回のシリーズにも感じられて、
すてきだなと思います。

ちょっとバカらしくて、いいでしょ? ちょっとバカらしくて、いいでしょ?

笹尾さんはこれまでも、
「ほぼ日のホワイトボードカレンダー」の数字や
「ほぼ日曜日」のロゴ、「111枚のちいさな絵」など、
ほぼ日でいろんなものを作っていただいていて。

そうですね。

今回はハラマキを作ってみて、どうでしたか?

「ほぼ日ハラマキ」ってほぼ日の中で、
伝統のある商品じゃないですか。
アーカイブコンテンツもたくさんあって。

ほぼ日手帳と同じくらい、
もう20年以上、作り続けている商品ですね。

うん。これまでに僕の憧れの方が何人も
「ほぼ日ハラマキ」のデザインをしていました。
だから、頼まれてすごくうれしかったです。

そう言っていただけて光栄です。

でも逆に、
過去に作られたデザインがたくさんあるものだから、
自分が何をやっていいか全然わからなくて。

だから、まずはみんなで
アイデアを出しあうことにしたんだけど、
そこでハラマキチームの一人がね、
ちょっとおバカなアイデアを出してきて。
パリの凱旋門の形は、けいとのぱんつに
ぴったりなんじゃないかと。
手書きのメモで、凱旋門のスケッチの横に
小さく「ウソ」って書いてあったんですよ。

笹尾さんといえば、パリのお花屋さんや、
マティスの作品を取り入れた絵だと思ったんです。
それで、パリをテーマにするのもいいなぁと思って、
パリといえば、凱旋門があるなぁ‥‥と。
冗談みたいだけれど、
アイデアのきっかけになったらいいかな、
程度だったんです。

僕はそのメモを見たとき
「あ、これはいけるな」と思ったんですよ。
けいとのぱんつには凱旋門を、
ドローイングで描こうと。
そしたらハラマキは何にしようかと思って、
僕の憧れでもあるオペラ座にして。
レッグウォーマーは細長いじゃない? 
これはもう、エッフェル塔しかないからね。
あとはゆたんぽも作れるから、
フランスの国の花のアイリスと、
国鳥の雄鶏にしようと。
凱旋門から、ほかのアイデアがどんどんでてきた。

まさか本当に描いてくださるとは
思いませんでした。

ちょっとバカらしくて、いいでしょ?

すごく新鮮です。
あと、後ろ側にフランス語で
「美と健康を!」の文字が入っているのが
かっこいいです。

「あたたかいぱんつは体にいいですよ」って、
伝えたかったんですよ。

ほかのアイテムにもそれぞれ、
違うことばをあててくださっています。

なにかメッセージのような、
絵だけじゃない方法で
コミュニケーションをとれたらいいなと思って。
オペラ座のハラマキは、
バレエのレッスンのように「アン・ドゥ・トロワ」。
エッフェル塔は、「よい一日を!」。
ゆたんぽはおやすみのときに使うから、
「おやすみなさい」にしました。

「ほぼ日ハラマキ」みたいに、
くすっとするようなアイデアをデザインにのせて、
みんなの体をあたためるウォームグッズを作り続けるって
とても意味があることだと思うんです。
僕はそこに、新しい提案ができたらいいなと思って
このデザインを考えました。

ひとつひとつのデザインに、
笹尾さんのあたたかさを感じます。
本当に、ありがとうございました!

(おわり)

撮影(商品):大江弘之

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Bonjour Paris! HARAMAKI

販売インフォメーション

販売時期:2024年1月24日(水)午前11時
販売方法:数量限定販売
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