ひとつひとつ、ていねいに作られています ひきだしボックスができるまで。

おおきい、ちいさい、姉、ポケットと
仲間が増えてきた「ひきだしポーチ」シリーズに、
あたらしい仲間「ひきだしボックス」が加わりました。
‥‥そうなんです。今回の新商品は、
ポーチではないんです。

とはいえ、「なんでも、好きなものを入れられる」
「机の上や、部屋の中を整理できる」
「ひきだし代わりに使える」という特徴は、
ひきだしポーチと同じです。
いわば、お家やオフィスに
「置いて使うタイプ」のひきだしなんです。

これまで、ほぼ日手帳カバーや
ひきだしポーチシリーズを企画してきたチームが
今回ゼロから企画した「ひきだしボックス」。
実は、大きな工場で大量に生産している既製品と違い、
ひとつのボックスが作られるまでには
時間と手間が、たっぷりかかっています。

この「ひきだしボックス」のお披露目にあたって、
便利に使えることだけでなく、
「ていねいに作られている」ということも
あわせてご紹介できたらと、
いつもほぼ日手帳でお世話になっている印刷・製本会社
「ナカバヤシ」さん
の協力会社、
「岡山紙器所」を取材しました。
まさに「製作、真っ只中!」のようすをお届けします。

ひきだしボックス工場見学!

東京都豊島区高田にある「岡山紙器所」。
1951年より、本や辞書などを入れるための
さまざまな形状の紙箱を作り続けている工場です。

試作

「ちいさい」「まんなか」「おおきい」の
3サイズ展開をするひきだしボックス。
今回は新商品なので、手描きで型紙を作り、
細かな部分の寸法を検討する工程からスタートしました。
ふたと本体がうまく噛み合うか、開き具合はどうかなど、
何度も試作を重ねながら、型紙が完成。

型紙作り

決定した型紙データをもとに、
型作りの専門業者にて
木の板に刃を差し込んだ「打ち抜き型」を製作。
箱の土台となるボール紙「芯ボール」の型と、
表面に貼るための紙や布用の型、
箱の内部に貼る「内貼り用紙」の型の3種類。

箔押し加工

箱の表面に貼る紙や布に
金箔、銀箔、空押しのいずれかで
「HOBONICHI」のロゴを入れます。
この道47年のベテラン小林さんが
箔押し機にセットし、ひとつひとつ
手作業で箔をつけていきます。

打ち抜き加工

「ビクトリア」という打ち抜き機に
「打ち抜き型」をセットし、芯ボールなどを
一枚一枚手動で抜いていきます。
愛称は「ビク」。この工程は業界用語で
「ビク抜き」と呼ばれているそうです。

こちらは、外側に貼る薄紙や布を打ち抜く機械。
もともと印刷機だったドイツ製「ハイデルベルグ」を
打ち抜き機として改造したもの。
愛称は「ハイデル」で、この工場で30年以上も動かしているそう。

内貼用紙両面テープ加工

表面のデザインに合う色紙が選ばれている
内貼り用紙。
のり付けだけでは接着が弱いため、
よりしっかりと貼れるように
両面テープ加工の工程を加えています。

芯ボール土台組み加工

ビク抜きされた芯ボールを組み立て、
専用の機械を使って、紙テープで四隅を固定。
形を美しく整え、また表面の紙などを
ピシっと貼るために重要な土台作りの工程です。

身・フタ貼り加工

組み立てた芯ボールの上に、
のりで紙や布などを貼っていきます。
底面、側面、のりしろ部分、と
職人さんたちがすばやく流れ作業を行います。
シワやヨレが出ないよう
細心の注意が必要となる工程です。

組みネジ取り付け加工

本体とフタを接合する穴に
組みネジを手作業で取り付けていきます。
開閉がきつすぎたり、ゆるすぎたりしないよう
微妙な調節をおこなっています。

検品

組みネジによる開閉具合や
内貼り用紙の浮きがないか、汚れがないかなどを
厳しい目でチェックしていきます。
検品済みの商品は、包装・出荷します。

以上が、ひきだしボックスができるまでの
おもな工程です。
取材を通して、たくさんの人の手によって
ひとつひとつのひきだしボックスが
作られていることが伝わってきました。
最後に、社長の井上さんにお話をお聞きしました。

「わたしたちの工場は昔から、
出版社さんからのオーダーに応えるかたちで、
あらゆる本の箱を作れるようにと試行錯誤してきました。
おかげさまで徐々に機械もそろい、いまでは
いろいろな形の紙箱を作ることができます。
たとえばDVDやビデオなどはサイズが均一ですが、
本の箱の場合はバラバラなので、なかなか
効率的にいかない難しさがありますが‥‥(笑)」

「今回は、本を入れるための箱ではなく、
箱として使うための箱を作るということで
わたしたちにとってもチャレンジングでした。
通常の箱作りより、工程も多いですし、
普通ならば機械でできる部分も、手作業でやっています。
型紙作りでも、机上の計算通りにいかない部分もあり、
最初に試作ができてから、いかに改善していくか、
というところでも少々苦労しましたが、
とてもいい経験になりました」

ひきだしボックスを
ていねいに作ってくださった、
岡山紙器所のみなさん、
ありがとうございました。
ここで生まれたひきだしボックスたちが、
たくさんのかたによろこんでもらえますように‥‥。

(おわりです)

2020-01-31-FRI

ひきだしボックス

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