ベトナム刺繍のサンプルを見せていただいた時に、
まずはじめに思いついたのが、
シンプルなスモック風のブラウスでした。

ともすると子どもっぽくなってしまいがちな形ですが、
そこは具体的なデザインを担当する
岸山沙代子さんにお願いして
女の人の体をきれいに見せてくれるパターンを
引いてもらいました。
岸山さんは“saqui”というブランドを
立ち上げたばかりの服飾デザイナーです。

襟ぐりも袖ぐりも細身にしてありますが、
着心地は抜群。
服の形は微妙なさじ加減がものを言いますが、
これに関してはパターンはもちろん、
袖口や身頃のギャザーの分量など、
どれもが絶妙なのです。

シンプルな形にしたことによって
引き立つのが刺繍の繊細さです。
白と黒で刺繍の仕様や幅など、
まったく違うものにしたのですが、
それもよかった。
最初、どちらを自分のものにしようかなぁ
と思っていましたが、
今日、ゆり子さんが着ていたのを見て
どっちも！　そう思いました。

どちらにも言えることは、
きりりとした清潔感あふれる服であるということ。
当初、私が考えていた
「大人のための刺繍の服」というイメージに
ぴったりのものができて、
本当によかった。（伊藤まさこ）

白いブラウスと黒いブラウスは、
白と黒で後ろ姿が違います。
白は前身ごろだけ、腕のあたりまでの幅の太い刺繍。
黒はステッチが特徴的な幅の細い刺繍を、
ぐるりと囲むようにほどこしました。

白と黒両方とも、刺繍の技法は
「ドロンワーク」です。
生地がとても細い糸で織られている為、
ミシン糸を使って刺繍していますから、
とても繊細な印象です。
空間が多いので、
アクセサリーなどで引っ掛けないよう
気をつけてくださいね。

こういったデザインの服は
刺繍テープをパターンに挟んで
縫うことが多いのですが、
これはヨークのパターンに
そのまま刺繍をしているので、
まさにオートクチュール（高級仕立て）そのものです。
また、身頃部分は
刺繍のかわいらしさを引き立てるために、
贅沢にたっぷりとギャザーをとっています。

素材は、CHECK&STRIPEオリジナル
コットンシルク。
日本で紡績した５０番単糸の
細いコットンシルクの糸を使い、
浜松で織っています。　
（シルクで細い糸を作るのは大変難しく、
日本の技術ならではの糸です。）

染めは倉敷で行なっています。
シルクは蚕からできていて、
コットンは植物からできています。
その二つが混じった布を染めるためには
コットンは反応原料、
シルクは酸性原料で染めないといけないため、
それぞれの染料を二度に分けて染めています。
手間はかかるのですが、結果、色に深みが出ます。
白は、シルクならではの柔らさがある、
少しオフホワイトといっても
いいかもしれない印象です。
どちらの色も、シルク独特のぬめり感が。
夏には涼しく冬には暖かい、
シルクの肌触りの良さを
感じていただきたいと思います。

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