ウルグアイの羊のセーターは、なぜ、こんなに気持ちがいいのか?その2:糸づくり 深喜毛織株式会社

MITTANの定番のセーターは、
ウールなのにまったくチクチクしなくて、
素肌に着てもとても気持ちいいんです。
カシミヤのようになめらかでやさしくて、
しかもウールらしいハリがしっかりあって、
からだのラインがきれいにカバーされる。

ウルグアイの羊ってなんでこんなにいいんだろう?
その理由が知りたくて、たずさわっている方に
お話をうかがいました。

大阪・泉大津の深喜毛織へ。
セーターの原料となる糸、
ウルグアイの羊の糸について、
取締役の今田剛さんと、
チームリーダーの深井喜章さんにうかがいました。

深喜毛織

深喜毛織株式会社

「カシミヤのフカキ」と称される深喜毛織(株)は、
1887年創業の毛織物メーカー。
日本で唯一カシミヤ製造業者の国際団体CCMI
(カシミヤ及びキャメル製造業者協会)に加盟。
原料の調合から糸を作り上げる、
ミュール紡績・織・染色整理までの
一貫工場は日本でここのみ。
原毛の段階で染色する製法は、
「後染め」よりも色のムラができにくく
光沢を殺さずにより深みのある色と表情が生む。

深喜毛織株式会社
http://www.fukaki.co.jp/

カシミヤ並みの細さを持ったメリノウール。
そして、腰がある。

これができあがったセーターですか。
え?これU-ブリッドちゃうな。
カシミヤや。カシミヤちゃう?
うちのU-ブリッドなんですか。そうですか。

金泉さんが、編んだ後の膨らまし方がすごい上手で、
U-ブリッドを、なおカシミヤタッチに持ってきてる。
洗いをかけて、ちょっと圧縮してますね。
ちょっと詰まってる感じでね。
これ、渋谷くんのやったやつかな?

深喜毛織(株)の深井さん(左)と今田さん(右)

ウールなのに、素肌に着てもチクチクしない、
そのひみつ、ですか。
それはね、
カシミヤと同じ太さなんですよ、繊維の太さが。
U-ブリッドっていうのは、
ウルグアイの特別細いウールから取り出してるんです。
繊度が15.5ミクロン。

一般的に繊度というのは繊維の直径を言うんです。
断面の直径ですね。
カシミヤはね、だいたい15.5ミクロンぐらい。
これもそれぐらいなんです。同じぐらい。

だからこれ、私だって間違えますよ。

1ミクロン違うだけでも、結局ね、
半径×半径……面積がね、だいぶ変わってくるんでね。
たかが1ミクロンっていっても、
かなり変わってくるんですよね。
U-ブリッドはカシミヤ並みの細さを持った
メリノウールと言えますね。
太さっちゅうのはやっぱり大事ですね、風合いに。
U-ブリッドは腰があるんですよね。

これはね、ウルグアイの羊の毛なんですけど、
その羊が特別な種類っていうわけじゃないんですよ。
メリノ種、つまりメリノウールなんですね。
で、毛の細さを言えば、オーストラリアにもありますし、
ニュージーランドにもあることはあるんですけれども。
もともとウルグアイに、ちょっと細い毛を持った
羊の群れがいて、そこに、
オーストラリアの細い毛の種羊を持ってきて、掛け合せて。

だから、このウルグアイのは、
「ハイブリッドウール」って、
うちで名前付けてるんです。

ウルグアイ・ハイブリッド。
それを略してU-ブリッドって言うんです。
生産量がひじょうに少ないんですね。
今、刈れる毛の量が、
年間で6トンぐらいでしょうかね。
それでもちょっと増えてるんですよ。

で、特長はね、オーストラリアに比べて、
クリンプ、縮れですね、これがちょっときついんですよ、
ウルグアイのこのメリノが。
縮れが多いということは、バルキー性に富んでる、
ちょっとこういう、弾力性が出る。
オーストラリアのものよりも弾力性があるということで。


今、金泉ニットにいた渋谷くんが、
ウルグアイのその牧場に行ってますよね。

彼が、牧場行って毛刈りをしたいって希望があって、
じゃ、オーストラリア行ったらいいんじゃないのと。
いい場所がありますしね。
でも彼はね、どうしてもウルグアイに行きたいと。
っていうのは、彼はこの原料使った糸を
いちばんたくさん使ってくれた男なんですよ。

後染めとは全然違う、
深く光沢のある色合いの秘密。

工場を見てみますか。
うちは、もう創業130年になるんですけど、
カシミヤとかアルパカとか、いわゆる高級素材を
原毛から仕上げまでやってます。

うちでは、トップ染めとか原料染めと言うんですが、
わたの状態のものを染めるんです。
トップ染めは、色のムラも出来にくくて、
カシミヤなんかだと光沢が生きるんですよ。
後染めとは全然違うんです。

それで、染めあがったものをブレンドして色を出す。
単色のものでも、1、2色は混ざってると思います。
原料で染めて紡績をすることで、
単色に見えるものであっても杢調になる。
後染めになると、色がね、ベタッとなるんですよ。

染めもね、80%ぐらいザーッと染めて、
あと20%でアジャストしていくんですね。
1発では難しいですから。
その時の気象状況とかによっても、
多少変わってくるでしょうしね。
職人技ですよ。

洗濯槽のような金属の円筒に綿を詰めて、
水槽のなかに入れて、洗いですね。
今回ってるところに、中心から染料が出て、
循環させていくんです。
このあと、中釜、大釜となっていく。

それで、温度と時間とでコントロールしてます。
染め上がった原料を、遠心脱水で脱水して。
それから乾燥です、乾燥機。

温度を上げずに、低い温度で傷めずに乾燥させる。
90度ぐらいですね。
染めも全部100度以下で、90度でやってます。
さばいて、ゆっくりと時間かけて乾燥したものを、
紡績工場に持って行くわけです。

染まってきた綿をここから放り込むと、
機械の中のツメがガーッと回ります。
ほぐされたのが、ダクトを通って、
上に吸い上げられて、タンクに入ります。
これ実際、風で飛んでるんですよ。
きれいやね。
上から雪のように降って、溜まっていく。

これはライトグレーになるんですが、
ブルーや薄いブルーが、隠しカラーっていうか、
深みのある色にするためにね、入ってるんです。

黒は黒、ブルーはブルーで染めて、
染めない白と、無造作に入れますから、
なかなかこれきれいに混ざってないんですね。
それをまたほぐして、また飛ばすっていう。
徐々に混ぜていくんですね。

この山が4つあるんですよ。
4つの山越えて、やっと、ライトグレーに。

手間はかかりますよ。
コストもかかります。 
でもまあやっぱりね、値段関係なしっちゅうか、
いいものを、自分が欲しいものをっていう形で作ると、
みんなこうなるんですよね。
ただ、こうなると、値段が上がるんで、
大手さんはなかなかよう売らない。

実際われわれがほんま感じてるのは、
うちみたいな会社のほうが、いい素材でいいものを作れる。
で、いいお客さんが付いてるんで、
そこそこの値段でもきっちりと買っていただけると。
いや、長持ちしますからね。
気に入ったものは、着ているうちに、
風合いも変わってくるんですけど、
それが愛着となっていきますからね。

(おわり)

第3回は、糸を編み、仕上げ加工をほどこす
ニットメーカーの金泉ニット(株)さんの
お話をうかがいます。

MITTANの服、販売は
2019年12月6日(金)午前11:00からです。
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2019-11-29 FRI