できた。できた。ほんとうにできました。
あの「コーギ」に、三國万里子さんがデザインした
マフラーをつくってもらったのです。
‥‥といっても、
「えっ、犬がマフラーを編んでくれたの?」
なんて思うかたも、いらっしゃるかもしれませんね。
2018年のはじめごろ、わたしたちは、
いつも「ほぼ日の水沢ダウン」の裏地でお世話になっている
三國さんに、こうもちかけました。
「三國さんがデザインして、コーギになにか、
ニットのアイテムをつくってもらいませんか?」
そのとき、三國さんは目をぱっと輝かせて、
即座に「はい、やりたいです!」と答えてくださいました。
そう、ニットに関わる人、ニットが好きな人にとって、
「コーギ」という名前は、ちょっと特別なものなのです。
「Corgi(コーギ)」、正確には
「Corgi Hosiery(コーギ ホージリー)」社は、
1893年に英国サウス・ウェールズで創業した
ニットメーカーです。
「ホージリー」というのは靴下のことで、
創業当時、ウェールズの炭鉱ではたらくみなさんに、
あたたかいロングソックスを
履いてもらいたいという願いから、
ハンドメイドの靴下をつくり出したのがはじまりです。
1960年からは、ハンドフレーム
(日本では「手横」と呼ばれる手動編み機)による
ニットウェアの生産を開始、
のちにカシミア素材もあつかうようになり、
パリの高級メゾンにも認められるようになります。
そして1988年、
プリンス・オブ・ウェールズ(チャールズ皇太子)が
10年間にわたって
ニットウェアとソックスを愛用した実績により、
ロイヤル・ワラント(王室御用達認定証)が
認められました。
コーギのことをご存知なくても、
このタグをご覧になったことがあるかたは、
いらっしゃるのではないでしょうか。
タグの右がわに描かれているのが、
チャールズ皇太子の紋章です。
いまでは、世界のトップメゾンがこぞって生産を依頼する
ニットメーカー/ブランドとして、
コーギの名前はひろく知れ渡っています。
いつもは手編みで作品を編む三國さんが、
ハンドフレーム用にニットアイテムをデザインしたら、
どうなるんだろう?
三國さんのデザインを、
もしもコーギにつくってもらえたら、すてきじゃない?今回の取り組みは、そんな思いつきからはじまりました。
コーギに打診したところ、
さいわいにも快く引き受けてもらえることになり、
ここに「Corgi × 三國万里子」のアイテムが
誕生しました。
「ほぼ日の水沢ダウン2018」のために
三國さんがデザインしてくださったフェアアイル柄を、
コーギの編み機に合うよう移植しました。
使う糸やゲージ、パターンにするための目数など、
手編みのときとは条件がちがうので、
ダウンの裏地とはすこしニュアンスがちがいますが、
「DICE」と呼ばれるひし形のパターンや、
グレーから白への、色のうつろいは共通しています。
Corgiとのコラボレーションのために
三國さんにあらたにデザインしていただいた柄です。
規則的なようでいて、ほんのすこしランダムな感じで
たくさんのトナカイが並んでいるのがかわいいです。
黒ではなく、濃いチャコールグレーです。
ハンドフレームは、機械編みではありますが、
糸を1本1本、手で編み機にかける、
たいへん手間のかかる方法です。
映像をご覧いただければおわかりになるように、
編み図(というか完成図?)を目視しながら、
ほんとうに1目ごとに糸をかけているので、
とくに「フェアアイルのマフラー」のように、
色がグラデーションで変化するようなデザインは、
編むのに膨大な時間がかかります。
それもあって、ふんだんな数は用意できなかったのですが、
どちらのマフラーも、この秋の販売でお目見えいたします。
(こちらも抽選になります)
英国王室御用達ニットメーカー・Corgiと、
ニットデザイナー・三國万里子さんとによる、
貴重なコラボレーションアイテム、
くわしい紹介を、どうぞたのしみにしていてください。