笹尾さんのご自宅をたずねました。
自分たちなりにベストを尽くしたこともあって、
その日の天気とおなじ、晴れやかな気分でした。
こじんまりとした、しかしさすがに瀟洒な
笹尾さんのお住いには、
「ちいさな絵」に描かれたアイテムが
そこかしこに並んでいました。
はい、できました。これです。
このページをご覧のみなさんも、ごいっしょにどうぞ。
わあ、ほんとですか。
ありがとうございます!
「すばらしい。びっくりした。
こんなふうになるとは、想像してなかったなぁ。
すごくうれしいです。
いやあ、なんか興奮してきちゃった」
ああ、よかった。
わたしたちも、うれしいです。
実は、絵だけ抜き出したのも試してみたんですけど、
やっぱり額入りのほうがいいかなと思いました。
これもいいなぁ。
でも、うん、こういうのなら、ほかにもあるかもね。
やっぱり、さいしょに見せてもらったやつがいい」
そうですか、なんか、ほっとしました。
「実はこれ、むずかしいデザインだなと思っていたんです。
おまかせとは言ったものの、
ちょっと心配してたんだけど、だいじょうぶでしたね」
そう、たしかに、むずかしかったのです。
笹尾さんから112枚の「ちいさな絵」を受けとってからが、
わたしたちのほんとうの冒険のはじまりでした。
「ダウンのなかに、ちいさな絵の展覧会がある」
というコンセプトは、たいへんすてきですが、
実際にデザインするとなると話は別です。
写真に撮った112枚の「ちいさな絵」を
ただふつうに並べるだけだと、
なんだかシュールになってしまって、
洋服の裏地として成立しづらい感じがあるのです。
絵の部分だけを抜き出してみたりして、
つい逃げたくなってしまうのですが、
でも、それだと、つまらない。
デザインとして安定はするけれど、おもしろくないのです。
やはりまず、笹尾さんのコンセプトを信じ切らないと。
途中でそう思い直しました。
最終的に、絵が飾ってある感じと
洋服の柄みたいに見える感じのあいだが、
わたしたちが出した答えだったように思います。
これでひとまず、笹尾さんと手をたずさえて出かけた、
わたしたちのささやかな冒険はおわりです。
さいごに、せっかくの機会なので、
笹尾さんのアトリエを拝見させていただきました。
ブラインドごしに陽光がふりそそいで、
いかにも居心地がよさそうです。
「ちいさな絵」も、もうすこし数を増やすべく、
描きつづけていらっしゃいました。
笹尾さん、ありがとうございました!
(おわり)